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【日記】なにもない日々が不安だったなってはなし

つい先日、春先から取り組んでいた仕事が終わった。

依頼を受けて制作していた絵が全て納品できたのだ。お題に頭を悩ませつつも、持てる力を全て使っての制作はとても楽しかった。

その全ての工程が無事終わったことに心からホッとしている。

と、同時に大変心もとない気持ちになっている。

それもそのはず、次の仕事がなにも決まっていないからだ。マジでなにもない。まっさらである。こまったこまった。

というのも、私は会社や組織に所属していないマンガ描き。
毎月の仕事が約束されている立場ではない。仕事をするには誰かから依頼をいただくか、もしくは新しい企画を編集者と相談したりなどして自ら作るしかない。

が、残念ながら今のところどちらも目処は立っていない。大雑把に言うと無職である。大変心もとない。

心もとないが…最近はこんなまっさらな時間があってもよい気がしている。

いや、いいわけないだろ。はよ仕事探さないと!!と、少し前の自分なら絶対そう思っていた。この心の変化に自分が1番びっくりしている。

なにせ私はスケジュールをぎゅうぎゅうにしておきたい人間なのだ。予定なんてあればあるだけいい!と思っていた。なのでこんなに予定がないのはマンガの世界に入ってから初めてだったりする。

勘違いのないように言っておくが、それはお仕事が途切れない売れっ子マンガ家だった…という意味では全然ない。全くない。細々とマンガのアシスタントに入ったり、いろんなアルバイトをして日々を過ごしていた。それ以外にも人と会ったり、ときには学びに出かけたりと絶えず予定を詰め込んでいた。

うまく調整できなくて多少の無茶をしていたときもある。一時期は朝4時に起きて早朝バイトしてから昼の10時にアシスタントに入って、夜中の1時まで作業をしていた。そんな生活を何ヶ月か続けたら体を壊したのでホントに無茶をしていたなと思う。

なぜそこまで忙しくしていたのか。もちろん大前提として生きていくために稼がねばならなかったというのもある。けどそれ以上に予定が何もないと不安で心が潰れそうだったからだ。

これは理解してもらえるかわからないが、私はときどき自分が世の中に必要のない人間な気がして強烈な不安に襲われるときがある。どーしようもないぐらい心が不安定になるのだ。
でも予定が入ってるとその不安が和らぐ。

だってその時だけは私を必要としている誰かが確実に存在している。その事実が心を落ち着けてくれるのだ。恥ずかしい話だが、そんな理由で私は人との約束で日々を埋めていた。

それともう一つ。今になって思えば忙しくしていたのは言い訳がほしかったからでもあると思う。

「忙しいからマンガが描けない」という言い訳だ。

正直に言おう。子供のころからマンガ家を目指して生きてきたが、途中から私は全くマンガが描けなくなった。何時間かけようが何日かけようが全くだ。少しも形にならない。何を描いていいかわからなくなった。

描けない時点で諦めればよかったのだが、幼い頃からの夢は私の存在理由になっていた。だからカンタンに手放すことはできなかった。

「もう自分にはマンガしかない。描けないのであれば自分には価値がない。」でも描けないという事実に向き合う勇気ももてない。八方塞がりだった。

しかしそんな生活も5年前に限界を迎えた。自分をごまかし続けることができなくなって、自分自身と向き合わざるをえなくなったのだ。その結果、自分に対する無価値感とも言える自己否定的な感情はかなり薄れた。
(詳しくは発売中の書籍を読んでいただけたら幸いだ!)

そして無理に予定をつめこむことはなくなった。すると不思議なことにマンガも描けるようになっていた。根っこは同じ問題だったらしい。

そんなわけで仕事も予定もない日々を前にしてもかつてのような絶望感はない。
もちろん金銭的には不安だし、大変心もとない。そして少々孤独でもある。

でも今の自分ならきっとやりたいことで日々を埋めることができると思う。
だから少なくとも、今年いっぱいはこのまっさらな時間を思う存分楽しみたい。

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※とはいえ仕事は募集中だ!!やれるもんならやりたいさ!!!

勉強がすきなので、学んだことをわかりやすく伝えるような児童書・コミックエッセイのお仕事が来ますように!

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