私は朝散歩が大好きだ。理由は単純で、気持ちがよいからである。 休みの日に寝だめしてしまうことは少なくないが、そういう日に限って体がだるいのだ。 すこし無理して、重い足を引きずるように散歩にでると、ふしぎとけだるさが吹きとんでしまう。 運動すると疲れるのはあたりまえである。ところが、散歩をするとここちがよくなるのだ。 その「ここちよさ」に一役買っているのが脳内ではたらくセロトニン(別名、幸せホルモン)なのだ。 幸せホルモンってなんだろう? っと疑問をおぼえたので
私は愛犬のかき氷とゆず(仮名)をつれて散歩にでかける。 けもの道をくだっていくと、たちまち視界がひらける。ここは、見わたす限りの草原である。色とりどりの蝶が舞い、草花が生い茂る。まるで楽園だ。 かき氷は女の子。中型の雑種である。毛並は純白で、ぴんとたった大きいな耳、くるりとまるめたモフモフした尻尾が特徴だ。 ゆずは男の子。ヨークシャテリア風(血統証明書がないので風である) チョコレート色にシルバーがまじり。ふわっふわの毛並みである。 かき氷は猛暑日に我が家にやっ
「おめでとう」 さわやかな新緑の頃、わたしはここち良い、森の神様のことばで目覚める。陽光が降り注ぐなか、やわらかな土から小さな緑の命が芽吹いた。そう、わたしは樹木の新芽。 ここは草木の生い茂る森の中。ふわふわ、ひゅーっと、やわらかいそよ風が吹いている。 近くから動物たちの声がきこえる。 小鳥やリスたちが、わたしを祝福してくれる。 小鳥の美しい歌声は、しずくの波紋のように森のすみずみまで祝福の歌をとどける。 リスたちは手を取り合い、よろこびのダンスを見せてくれ
「おんぎゃあ」っと元気な声が分娩室にひびきわたる。きみの最初のことばだね。あの時のことは何があっても忘れはしない。 念願かなって出産に立ち会えたことが私の一生の宝物だ。 きみは温かな羊水に包まれている。ことあるたびにママのお腹に話しかける。 「おはよう」「ママのお腹が動いたよ」「仕事に行ってくるね、また夜に会おうね」 私は思う。きみを抱きしめたい、と。 私の小指にみたない小さなきみを見るために、エコー画面を見つめる。 目の前で一生懸命生きている。手足をちょこ