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「完成させた」ということが尊い――「メタモルフォーゼの縁側」を見た

この前、映画の『メタモルフォーゼの縁側』を見た。連載当時漫画版を読んでたなぁ~と思って。

最後まで見たあとに私が思ったことは「創作っていいね」だった。それに絡めて、創作について管を巻きたいと思います。

がっつりと内容に触れることはしませんが、一応ネタバレは注意しておきます。こわいので。


愛をえがけば大丈夫

うららちゃんの初めての漫画、めちゃくちゃパワーを感じませんでした……!?
ストーリーが良い。絵本みたいで心に残る。たしかに元気が出る。
それはなぜかというと、「愛がある」からなんじゃないかと私的には思う。

「売れる要素を入れよう」「みんなこういうのがいいんでしょ」とかじゃなくて、本人が好きだと思ったものを登場させている。はじめての作品でそれが出来るのがすごい。その中に雪さんとの日々で見つけたものが入っているのがまた「泣きポイント」なんですけれど。

私は、作者が「これっていいよね」とかまたは「これっておかしくない!?」とか具体的なメッセージを込めている作品を面白いと感じる。やりたいことをちゃんとやってる作品も好き。絵や文章の技術が高いとか低いとかは関係なく。

そういう作品を読むと「はじめて物語を作ろうと思ったときのピュアな気持ち」を思い出す。だからあれは「元気を与える作品」になったんだと思う。

誰にも奪えない経験値

うららちゃんみたいに「下手だからやらない」っていう人は、少なくないと思う。絵が下手だから漫画は描けない、語彙力がないから小説は書けない、とか。

それでも、少しでもやってみたいと思うならやってみてほしいんですよ。なぜなら完成すると楽しいから。自分の楽しさだけを追い求めてほしい。作ったら必ず人に見せなきゃいけないわけじゃないし、気軽にチャレンジしてみてほしい。

で、やってみると色々なことを考えたり試行錯誤したりする。めっちゃ時間がかかる。行き詰ったり自分の拙さが嫌になったりする。
でも、そういう過程を経てなにかひとつのものを完成させる経験は絶対に自分の血肉になる。趣味だけじゃなくて仕事にも役立つかも。ステータス画面を開くと経験値が入ってるはず。

もし下手だとか複雑骨折だとか言われても、経験を積んだこちらの勝ちです。
それに比べ、あなたを罵ってきた人には経験値が1も入ってない。どちらが意味のある行動かは明白です。どんなに短くても何かを完成させたことがあるというだけで、あなたは一歩先を行く。

それに、意外とみんな他人の作品が下手であることに興味がないと思う。
私は気にしない。平凡な私が気にしてないということはみんな気にしてない。てか下手だからって怒る人は心が狭いからいいよ気にしなくて。

人の意識の中心は「自分」だから、自分に関係ないものは興味ないんですよ、基本。みんな「自分」に関係のない他人に興味がない。
大多数の人は、見知らぬ誰かの作品が拙かったからって怒ったり具合が悪くなったりはしない。

意識の中心が自分である以上、本人は自分の下手さに苦しむとは思うんですが、考えすぎだと割り切ろう。私はもう、そういうことにしてる。オタク特有の自意識過剰ってほんとうに無駄だったりする。


「趣味を大っぴらに話せない悩み」「推し作家さんがやめちゃう悲しみ」とか、オタクには共感できるポイントは多いと思う。
あたたかくてかわいくて元気になる作品だった。みんなが優しい。
雪さんみたいな素敵な老女になるぞ。

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