![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54016799/rectangle_large_type_2_2f3609315cf955782f194ca6a2d38a8e.png?width=1200)
【イラスト付就活体験記】にらんでくる面接官に臨機応変の答えで乗りきった話
「わたしの強みは◯◯です!」
「自身の長所を生かし御社では〜〜〜……」
一体、何回こんな発言したのでしょうか。
その都度会社に合った文言を考え、少しでも印象に残ってもらおうとアピールする就活面談。
今回はわたしが内定をいただいた会社で、ちょっとおかしな強みを披露したお話です。
時は遡り、2016年。
大学4年を迎えるわたしは学生最大のイベント「就職活動」を控えていました。
生協で配布される証明写真の案内やインターンでもらった会社のパンフレット、そして大手企業に就職するのには絶対登録しておくべきサイトの数々。
就活本番の準備時点ですでに「はぁ……」とため息が漏れるくらい翻弄されていました。
そして迎えた3月1日。
お笑い芸人の有吉弘行がイメージキャラクターを勤めたマイナビ就職が解禁し、多くの学生が説明会の予約をし始めました。
当然わたしも志望していた物流業界の会社を隅から隅まで調べては、参加予約ボタンを押す作業を繰り返し、延べ50社ほど応募しました。
マイナビのホームページを開くたび「がんばれ!夢は叶うよ」的な表情で応援してくれる有吉を見ては、企業からの「残念ですが……」から始まるお祈りメール。
「あ〜〜〜〜〜〜早く終われ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
と言ってる間に、セミが本格的に鳴き出す7月に突入していました。
3月に始まり、4ヶ月経っても会社が決まらない。
それに加えて黒のスーツにパリパリの髪の毛。
かしこまったちゃんを続けていた当時のわたし。
「なんで?なんでわたしだけ決まらないの?いつまで就活続くんだ……」
もう半分セミ状態だったわたしを同情してくれたのか、マイナビから『のどかさんおすすめ!会社案内』のメールが届きました。
「上場企業!女性が活躍できる物流会社へあなたもエントリーしてみませんか?第5クール募集中」
第5クールがどのくらいなのか分かりませんでしたが(のちに分かりましたが最終募集でした)絶命状態のわたしからしたら、神が差し伸べてくれたチャンスだと思い、すぐさま応募。
7月の中旬に面接を行い、なんとそのあとトントン拍子で選考が進み、気づいたら役員面談との最終面接までたどり着いたのです。
「あともうすこしで就活が終わる。なんとしてでも……、なんとしてでも受からなくては。」
なぜこんなに焦っているかというと、最終面接の10日後にあたる8月15日に日本を経つ予定でした。
卒業制作の課外学習に1ヶ月間のオーストラリア滞在を控えていたわたしはなにがなんでもこの会社に受からなければいけなかったのです。(もはや就活とは笑)
そして迎えた当日。
人事部の方から「大丈夫!緊張しないで、素ののどかさんで話せばきっと受かります!」と確証がない声援をいただき、いざ最後の砦へ。
「(ノック音)失礼しますッッツッツ!!!!!!」
扉を開けたら「ここ空気通ってるのか?」というくらい重く固い雰囲気。
奥には役員を始め、なんたら部長とやら上の役職人物が延べ4人座っていました。
「……どうぞ、お座りください」
四天王のボスが低い声で指示してきます。
「はいッ、失礼しまッ(⤴︎)ス」
どこからそんな声が出る?ってくらい声が裏返り、緊張マックスでした。
「……では、当社を志望した理由を教えてください」
「はい、御社は〜〜〜〜〜〜……」
テンプレートにはめられたいつも通りの質問事項。
もう正直、答えた内容は覚えていません。
緊張のせいで心ここにあらず状態、もはや幽体離脱で魂どこかいってたのでは?と思うくらいでした。
しかし、役員のある質問でわたしの魂は一気に引き戻されました。
「あれ、きみうちの会社を1月から知っていたみたいだね。んん〜?あぁ、合同説明会で来てくれていたんだ」
まさかわたしが答えたアンケートからそこを突っ込まれるとは……。
兎にも角にも年が明けてすぐのこと、物流会社の合同説明会が行われ、この会社もブースを構えて学生たちへ説明会を行なっていたのです。
「(たまたま前を通りかかって、たまたま名前”だけ”を覚えていただけなのに。なんで1月から会社を知っていたってアンケートに書いたの!バカ!)」
と頭の中で自分自身を後悔をしたところ、役員の口から次の質問が飛んできました。
「1月から知っていて、今8月……。半年も経っているねぇ。なんで半年後にうちの会社を応募したんだい?理由を聞かせてくれる?」
もうね、怖過ぎ。「この人、わたしのこと殺すんか?」ってくらいオーラがすごくて、千と千尋の湯婆婆みたいな目つきでわたしを凝視するんですよ。
ビクビクした千尋は予想外の質問にしどろもどろ状態でした。
「(なんでって言われたって、早く就活終わらせたいからだよ!そして安心した状態でオーストラリアに行きたいんだ!でも正直にこんなこと答えたら絶対受からない。わたしには次がない!あぁ、でもいまは時間はない!湯婆婆が見てくる!どうしよう、答えなきゃっ。あぁ……!!)」
そして口を開いた瞬間、
「……あっあっ、あたためてました!!」
えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!なにその答え。
わたしも無意識のうちにこの答えが口から出てきてもうなにがなんだかわからない状態。
しかしわたし以上に驚いていたのは湯婆婆に扮した役員でした。
「あ、あたっ、あたためてたぁ?」
「はい、御社のことは前々から知っておりましたが、業界全体を知った上で挑戦しようとしていました。この半年もの間、やはり御社はAとBの点が長けており、この業界内でも特に将来性を感じたので志望しました」
もうね、人は「本当にヤバい」状態だとこんなに口がうまくなるものかと思うくらい変化するんですね。
自分でも驚くくらい見事な饒舌っぷりを披露し、まるでニュース番組のアナウンサーのように演じきりました。
わたしの答えに目がテン状態の役員たちは、驚いた状態からも「ふふっ」と笑い出し、
「はっはっはぁ〜っ!いやぁ、きみいいねぇ。」
とご満悦な状態でわたしを評価してくれたのでした。
まるで千尋を迎え入れてくれた銭婆のよう、それまで張り詰めていた空気は一気に和やかになり、面接は無事に終わりました。
後日、荷物のパッキングをしていたわたしに人事部から1本の電話が鳴りました。
「こちら◯◯株式会社の××です。のどかさん、おめでとうございます!最終面接合格のお知らせです。」
やった〜〜〜〜〜〜〜!!やっと終わったぁ!
長かった就活戦争がようやく終わりを迎えました。
これまでの苦労が報われたと目に涙を浮かべながら、今後の流れについて話されました。
そして電話の最後で、
「役員ものどかさんの答えに驚いてらっしゃいましたよ。きっと用意してこなかった質問にもとっさにいい感じに答えられていて。その切り替えた速さを褒めていました。」
「(知ってたんか〜〜〜〜〜〜い!)」
いじわるな湯婆婆に対して心の中で叫び、人事部へお礼を伝え電話を切りました。
就職活動でこれほどまでアホっぷりを見せる学生さんは少ないと思いますが、
「自分がどこでどんなふうに評価されているか」分からないこともあるんですよ。
いま就活を頑張っている学生さんに少しでも笑いのタネになりますように!
※「あたためてました」を使われる場合は、しどろもどろな状態で発言ことをおすすめします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?