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今週のニュージーランドの新聞記事より-お酒は自殺を防ぐ、と発言したメンタルチャリティ創始者

週末です。
かなり暖かくなったニュージーランドですが、この週末はちょっと風が強くて寒いです。

今日の新聞記事は、元コメディアンで、メンタルヘルス活動家のマイクキングの発言に関するものです。

こちらが関連記事です。

事の発端は、オタゴのポリテクの生徒が、自殺を防止するためのファンドレイジングとしてファッションイベントを計画。

そのイベントで、アルコールを販売するためのライセンスを申し込んだところ、「自殺防止という目的のためのイベントで、アルコールを許可するのは妥当でない」と警察や他の機関に反対された。

この一件に関してメンタルヘルス活動家のマイク・キング氏が、ラジオ番組の中で意見を求められたところ、「それは典型的な行き過ぎだ。ドラッグやアルコールは、依存者にとって問題ではない。苦しんでいる人々にとって、助けが得られるまでの一時的な解決策として、アルコールが役立つかもしれない(Drugs and alcohol are not a problem to addicts, they are a solution to our problem until a proper solution can be found)」と発言しました。

この発言は色々と波紋を呼び、
彼の創始したチャリティーに、政府が2400万ドルを払っている事に対し、
意義があるかどうか、という疑問が投げかけられました。
この彼の創始したチャリティーに関しては、以前に既に、監査が入った時に同じ様な疑問が生じたのですが、結局は政府がお金を払い続けている様です。

(私としては、この2400万ドルがどの様に使われているのか、明確に公表して欲しいです。公表されているのかな。)

彼は自分の言った事には根拠がある、と言いつつも、根拠がどこにあるのか示しません。

私の想像としては、彼自身がメンタルヘルスや薬物依存で辛い思いをしていたときに、アルコールが助けになった、という経験があるのでは、と思います。

問題は、名の売れていて影響力がある、でも医療のプロでない人が、自分自身の経験だけから、この様な発言をする事にあると思います。

彼は、誰でも自分の意見を表明するのは許される、と言っていますが、やはり影響力がある人は、公言する内容についてはそれなりに責任を以って欲しいと私は思います。

ニュージーランド政府の、メンタルヘルスへの対応策として、lived experience、つまり自分がメンタルヘルスで大変な思いをしたり、依存症を経験した事がある人を、メンタルヘルスに現在悩む人へのサポートとして導入するというものがあります。
プロフェッショナルの数は足りないし、お金もかかる、という背景があるためでないかと私は思います。
勿論同じ様に辛い思いをした人にしかわからないこともあり、そういう人にサポートしてもらうのは意味があるでしょう。

ただ、時々患者さんが「サポートワーカーが、この薬が自分に効いたから、医者に行って処方して貰ったら、と言っていた」とか「サポートワーカーに生活保護を勧められた」とか、言って受診する事があります。
サポートワーカーが、隣のおじさん、おばさん的発言を根拠も無く行い、患者さんがそれに影響される、ということもあるのです。

あー、ニュージーランドの医療界は、まだ問題山積み。
(医療界だけではないか…)

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総合診療科医のだのり@ニュージーランド
「親も育つ子育て」を広めるために、私の持っている知識、経験、資料をできるだけ無料で皆さんに届けたいと思っています。金銭的サポートが可能な方で、私の活動を応援していただける方は、サポートをしていただけると嬉しいです。