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子供の「未解決の問題」は何?- Collaborative & Proactive Solutions (CPS)シリーズ3

ニュージーランド在住で、総合診療科医、ライフコーチ、Havening technique ®️プラクティショナーなどをしています。

「子供の問題行動を、子供の為に正そうとしてあげてるのに、うちの子は聞く耳持たないのよね」
こんなことにお悩みのあなた。

今回は、子供と共に問題解決をするために私が薦めている Collaborative & Proactive Solutions (CPS)に興味がある方向けに(いやいや、CPSを聞いたことない方も、殆ど興味が無い方にも是非読んでいただきたい!)
「未解決問題の決め方と子供への問題提起の仕方」について説明したいと思います。

CPSについてはこちらを参照してください。

CPSでは、まず親や教師がALSUPを参照して、
子供の問題行動を、「子供のスキル不足によるもの」として認識します
これはその子供に関係している大人だけで、子供は抜きで行います。

(よろしければ、下記の記事を参照してください。)

次に、未解決の問題が何であるかを明らかにします

今日はその「未解決の問題を決める」ステップと次のステップである「子供への問題提起」のさわりの説明です。


「未解決の問題が何か」を明らかにする

CPSでは、子供が「問題行動」を起こすのは、スキル不足のため親のポジティブな期待を満たすことができないから、とします。

つまり「(問題)行動は下流にある。上流に何があるかを探ることが大切。」なのです。

なので、まず「親(や教師)のポジティブな期待」が何なのかを明らかにしましょう

「何を言っているのか、全くわからん」と言う声が聞こえてきそうですので(笑)、うちの娘の例で説明してみます。

娘の部屋の床には、脱ぎ散らかされた服がいっぱいで、足の踏みどころもない。床の掃除はできないし、次に着る時には服はシワシワだし。

私(親)のポジティブな期待はなんでしょうねえ。
『脱いだ服はハンガーにかけるか、引き出しに入れるか、洗濯場に持っていくかする。』かな。

次にこれを『未解決の問題』に書き換えます。

この時に大切なのは、
「未解決の問題」は「問題行動そのもの」(娘の例で言うと「服を床に脱ぎ散らかす」)でなく
「大人のポジティブな期待を子供が満たせないこと」
であるとします。

CPSでは『Difficulty in meeting adult's positive expectation』を「未解決の問題」として表現します。

娘の例で言うと「娘が服を脱いだ後、それを片付ける、のが難しい」のが未解決の問題。

ただこれではあまりに漠然です。

未解決の問題』を決めるときは、できるだけ詳細に、「いつ、どこで、誰が関与するか」などを入れ込みます

娘の「未解決な問題」を書き換えると、
学校から帰ってきて、私服に着替えた後、制服をハンガーにかける、のが難しい」という感じです。

こうやって定義した「未解決の問題」は
「部屋をきれいにしない」とか「床がぐちゃぐちゃになっている」とか「親の言う事を聞かない」とかいう「問題」とはかなり違うことがわかっていただけるかと思います。

子供への問題提起の仕方


子供への問題提起のステップは、その次に来るステップです。
ここからは、子供と親(教師)が一緒にやります。

長くなるので、今日は、少しさわりだけカバーします。

このステップでも、いくつか大切な点があります。
私が一番大切だと思うのは、揉め事の渦中でなく、大人も子供も心が落ち着いた、時間に余裕のある状態で始めること

例えば、娘の例で言えば、
私が、ぐちゃぐちゃの娘の部屋を覗き見て、つい「あー、豚小屋みたいに汚いなあ。何度言っても、変わらないねえ。」と言ってしまい、娘が「うるさいな」と言って、パンとドアを閉めたとします。(笑)

この瞬間に、子供への問題提起を始めて、話し合いをするのは、得策ではありません。
二人ともムカムカ、イライラしていますからね。

またCPSでは「未解決問題」の子供への提起の仕方は
『I noticed that you have difficulty in doing xxxxxx. What's up?』
という感じにすることが勧められています。

全く同じでなくてもいいのですし、日本語にうまくニュアンスまで訳すのは難しいのですが、日本語にすると
『(お母さんが見てて思ったのだけど)xxxするのが大変みたいね。どうしちゃったのか教えてくれる?』っていう感じですかね。

最後の『What's up?』は『Why どうしてなの?』の様に尋問する感じ(笑)がありません。
「あなたやあなたの周りで何が起こっているのかしら?教えてくれる?」みたいな感じで、(私はあなたに興味がありますよ)オーラを醸し出します。(笑)

娘の例に戻ると
「お母さん気がついたんだけれど、あなたが学校から帰ってきて、私服に着替えた後、制服をハンガーにかけるのが難しいみたいね。どうしちゃったのかな?」みたいな感じでしょうか。

(もちろん、ずーっと汚い部屋だったら「お母さん気がついたんだけれど」はちょっと変ですよね。笑)

最後に

私が思うに、CPSではここまでが一番ハードルが高いかな、と思います。
私達大人が本能的にしてきた注意の仕方とは、かなり違いますものね

この記事を読んで(ちょっとCPSに興味があるなあ)と思った方は、私の他の記事を読んでいただくか、Dr. Ross Greeneの本を読んでみて、『子供への問題提起のステップ』まででもいいので、少し試してみてください。


将来、更なるCPSの説明や、良くある子育ての問題でCPSを使った例なども紹介したいと思います。
(もちろん、個々のお子さんや親によって、解決法は全く異なってきます。当事者が話し合いをするまで、どんな解決法になるかはわかりませんから。)


今日も長文を読んで頂き、ありがとうございました。

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