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ニュージーランドの総合診療科医 General practitioner の1日

ニュージーランドで、ジェネラルプラクティショナー (総合診療科医 GP)、ライフコーチなどをしています。

ニュージーランドの医療システムは、日本とかなり異なります。
イギリスと基本的には同じシステムで、同じく『大英帝国』の国であるオーストラリアも同じようなシステムを使っています。

ジェネラルプラクティショナー General practitioner GPと呼ばれる、総合診療医がプライマリーケアの担い手となります。
つまり、どんな医学の問題でも、基本的にはかかりつけの GPに受診する訳です。

そのため、GPが診る疾患は小児科から、皮膚科、外科、精神科、老年科など、多岐にわたります。

GPの中にはサブスペシャリティーを持っていて、例えば
整形外科やスポーツ医学が得意で、関節注射や鍼をするGPや
婦人科関係が専門で、子宮内避妊具やペッサリーを入れたりするGP、
皮膚癌の切除をするGP

などがいて、ほとんどそういった分野の患者さんをみることもあります。
(私のサブスペシャリティーはメンタルヘルスです。)

ただ、基本的には、GPは全ての科のトレーニングを受けて、まず総合診療科の専門医になり、オールラウンドに患者さんを診ます。


そのGPによっては、1週間に数日働く人もいるし(多いのは、子供がまだ小さい女性のGP)、毎日5時ごろまで患者さんを診ている人もいます。

(ただ、実際に患者さんを診る以外の仕事(ペーパーワークと呼ばれる、検査の結果をチェックしたり、結果に応じて必要な連絡を送ったり、紹介状を書いたり)の時間が多いので、毎日5時まで患者さんを診ていると、平日の夜遅くまで、または週末の休みの日まで、仕事をすることになります。)

また、学校のクリニックやセクシャルヘルスのクリニックに週に何回か行って働くGPもいます。
老人ホームを専門にしているGPもいます。

私の1日

私は自分の個人的な理由から、週日の朝から午後の3時頃までクリニックで仕事をしています。

基本的に患者さん一人のコンサルテーションは15分。(ほとんどのGPクリニックは15分ですが、もっと短いクリニックもあるし、GPによっては20分にしている人もいます。)

複雑な問題や、メンタルヘルス、婦人科の診察が必要な患者さんには30分の予約を勧めます(でもみんな、診療費を節約しようと複雑な健康問題や、いくつか相談したい事がある時でも15分で予約するんですよね。
これ自体は大きな問題なのです。)

救急のクリニックはほとんど予約なしで受診できるシステムなので、この15分枠に予約するわけでは無いのですが、大体の診療時間は15分程度が目安です。

以下は、以前、日本の人向けに自分の1日がどんな感じか発表した時に使ったスライドのコピーです。

(これは、午前中の一部で、1日全部のスケジュールではありません。)

朝のHuddleミーティングは、クリニックのマネージャーから、医者、看護師、事務の人など、全てのスタッフが集まり、その日の連絡事項を伝えます。

Phone triage 電話によるトリアージュというのは、

  1. その日に診てもらわないといけないような症状がある患者さんが、まずクリニックに連絡する。

  2. その名前が、連絡順にリストに載る。

  3. triageトリアージュの当番の医者や看護師、クリニックのスタッフであるパラメディックスが、リストの患者さんに連絡する。

  4. 患者さんの話を聞き、次のステップ(薬の処方、診察の予約、救急外来への受診の勧めなど)を決める。

というシステムです。


先に書いたように、ペーパーワークにかかる時間は、この予定にある15分よりもかかるので、GPはタダ働きの時間が多いです。

私は、朝はやくクリニックに来て、ペーパーワークをはじめ、昼ごはんやお茶の休憩もペーパーワークをやり続けることで、家に帰ってからペーパーワークをすることを避けています。

また、人口が老齢化し、複雑な健康問題を持つ人が増えてきているため、15分で患者さんの診療を終わらせることが難しい。
(日本の3分間診療は、どうやっているのか知りたいです。)
なので、患者さんは15分ぶんの料金を払うのですが、実際はもっと診療に時間がかかっています。

このタダ働きが多い部分(そして給与が病院の医師に比べ低い部分)が、若い医者が専門としてジェネラルプラクティスを取るの避け、GP不足の元凶の一つであります。

でも、ニュージーランド政府はそれを改善しようとする努力に欠いています。

GPは、患者さんを全人的に診られ、家族も含めてケアできるという、素晴らしい仕事なのですが、多くのGPは燃え尽きています。

なんとなく、日本の学校の先生の働き方に似てますよね。

近い将来、改善が見られることを、期待しているのですが。


もしも、ニュージーランドのシステムにご興味がある方がいらっしゃったら、コメント欄からご連絡ください。

ご要望に従い、更に詳しく説明をする記事を書きます。


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