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女という生き物の制約

 女に生まれてよかったと思っている。
 ファッションは男性の何倍もコーディネートの種類があって楽しいし、髪型もメイクも選択肢が多いと思っていた。最近はジェンダーレスが進んで、男性も楽しんでいるようだが。

 しかし、女性が否応なしに背負う月経というもの。まず、この痛みの強弱がかなり日常生活に影響する。痛みが弱い人は、強い人の気持ちは想像できないであろう。なんとなく腰がおもだるくて、下腹の刺すような痛みは時に貧血を伴い、立っていることはおろか座って仕事をすることすら出来ない。
 私自身は高校時代それで早退したこともあったし、大学入試のために生理日をずらした。大学時代は試験前に寝不足と疲労がかさなり、バイト先の塾で倒れ救急車で運ばれたこともある。
 20代の頃、子宮内膜症と言われたが、漢方を飲んでいたくらいで何かが劇的に変わるわけでもなかった。生理中は痛み止めを飲んで我慢して働くしかなかったし、それが普通だと思っていた。生々しい話だが、生理の時は大体レバーのような血の塊が出ていた。それは普通じゃないよ、いう人もいなかった。
 出産を経験せず迎えた40代になって、検査で子宮頸部の高度異形成が見つかり、手術。まぁ、これは仕方がないことだ。
 数年後、卵巣が10センチほどに大きくなり、卵巣嚢腫と診断。右の卵巣、卵管ごと摘出した。
 執刀医に「血液が他の臓器に癒着していて、取り除くのに時間がかかってしまった。生理、重くて大変だったでしょう」と言われて涙が出た。
 お医者さんは、私の中にあったドロドロの血の塊が、出る術もなく卵巣や他の臓器にくっ付いているのを見ているから、そこまでに至る痛みや苦しみを理解してくれる。そんなことは初めてだった。
 
 その後、訳もなく顔や上半身が火照ったり、疲れやすかったり、明らかに体調が思わしくない日が続いている。婦人科へ行き漢方薬を飲んでホルモン剤治療を受けているが、更年期の辛さを理解している職場の同僚は少ない。これも、個人差が大きいからだ。

 女性も男性と同じように働くようになった現代、それ自体はいい。
だが、女性には月経、妊娠、出産、更年期障害など、男性同様に働くことができない状況もあることを理解してほしいし、それを社会全体として認めてほしい。私の周りには生理休暇で休む人は1人もいない。更年期世代も今や貴重な働き手である。無理のないように働ける制度が、時短勤務のようにあってもいいのではないか。
 

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