喫茶店でひとやすみ:珈琲貴族エジンバラ
高寺 野田さん、ゴールデンウィークは世界一周してきたそうで。
野田 そうなんですよ。といっても、自宅で、ですけど。
高寺 えっ、自宅で? そ、それはいったい!?
野田 あの〜、すごくわざとらしいんですが。
高寺 うっ、スミマセン。じつはここでお知らせが。野田さんが漫画配信サイト「スキマ」でグルメマンガを発表したんです。
野田ふとん『トマ美のおいしい世界一周』
https://www.sukima.me/book/title/tomami/
野田 マンガ家としてのペンネームは〝野田ふとん〟なんですけどね。平成最後の日、商業媒体でデビューできたというのは、なんとも感慨深く。
高寺 内容は、いわゆるひとつの飯テロ系。わたくし、トマ美さんのせいで、用もないのに阿佐ヶ谷のカルディに行ってしまいました。
野田 超かんたんなレシピものっていますので、よかったら、お読みくださいませ。で、宣伝はさておき、この小芝居じみた会話はいったい……?
高寺 えーっとですね、スタートして1か月くらい経過したので、そろそろ『新宿ふらふらふしぎ地図』をはじめた経緯を語ってほしいなと。
野田 はい? もともとは高寺さんが誘ってきたんでしょ。「いっしょに街歩きしませんか?」って。
高寺 そうでしたっけ?
野田 そうですよ。
高寺 でもね、この企画を思いついたのは、野田さんが新宿の画をたくさん描いていたから、なんですよ!
野田 と、うかがっております。
高寺 表参道で個展を開催したとき、テーマが新宿だったでしょう? ギャラリーでイラストを拝見して、「これ全部にキャプションつけたい!」とライターならではの衝動に駆られたんです。
野田 ほほう。
高寺 微妙すぎるスポットばかり描いていたのも魅力的でしたし。
野田 たしかに、微妙といえば微妙かも。
高寺 野田さん、こんなコメントを書いていました。
みなれた街ではあるけれど、美しいとも形容しがたい
なぜか心にひっかかる風景がところどころにあります。
日本有数の繁華街である新宿の
見おぼえのあるようなないような風景を切りとり、描きました。
高寺 〝見おぼえのあるようなないような風景〟というのは言い得て妙。とにかく「こんな場所、ふつう描かねーよ!」みたいなところが多い。わかりやすくいうと、全然インスタ映えしない。
野田 ん? それってほめてます? でも、わたしにとっては、どれも前々から気になっていた風景だったので。
高寺 むしろ、そういうところが大事というか。野田さんならではの視点や目線が感じられるし、視線が一貫しているのもよかった。
野田 ふふふ。
高寺 なので、野田さんがイラストレーションを描いて、わたくしがテキストを書いていくのを、ちんたらつづけていけば、新宿という街のありようが、多少なりとも立体的にみえてくるかなと。そう考えたのが、そもそもの発端。
野田 なるほど。まあ、どこまでいっても〝極私的な新宿〟にしかなりようがない、という気もしていますが。
高寺 それでいいんです。どうせ note なんだし。
野田 どうせ note ってアンタ……。
高寺 というわけで、今後ともどうぞごひいきに。
珈琲貴族エジンバラの「貴族ブレンド」(850円)
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