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民俗学漫談

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2021年8月の記事一覧

【民俗学漫談】七五三

前回通過儀礼の時に七五三について触れました。 まあ、通過儀礼も儀礼ですからね。祭りの一種です。 七五三の解釈 七五三。ゴロがいいですよね。七五三。 まず、三歳。赤いおべべでお宮参り。 五歳、男のこどもが袴履いてお宮参り。 七歳。再び女の子が着物を着てお宮参り。 何で女子は二回なんでしょうかね。 まず、三歳。女子も男子もこの時から髪を伸ばします。それまでは剃っていたようです。 五歳、男子が袴を履く。 七歳、女子が大人と同じ作りの帯を締める。 これらの通過儀礼

【民俗学漫談】通過儀礼

今回は、通過儀礼についてです。通過儀礼。とある儀礼を通過します。通過して、どうするかと言うと、とある共同体、組織に入れます。そういう面から言えば、加入式とも言えますね。 社会的な共同体でも、宗教的な団体でも、存在している以上、すでにそこに権益があります。権利と利益ですね。それをやたらと開放するわけにはいかない。秩序がありますし、人間の心理もあります。フリーではない、何かを通過してきたということにして、自分たちの権威づけをする場合もあります。 ただ、人は入れたい。門戸を閉ざ

【民俗学漫談】お稲荷さんはどうして多いのか

東京の通りを歩いていると、小さな朱の鳥居を見かけることがあります。 ビルの間に挟まれているようなものもあれば、公園の一角にひっそりとたたずんでいるものもあります。 白い狐の像に赤いのぼり、稲荷社は、江戸の世に流行し、合祀などを経て多く、今に伝わっています。 稲荷社は、おいなりさんと呼ばれることの方が多いですよね。 江戸時代の流行神祀ってあるのは、稲荷神で、うかのみたま(宇迦御魂・倉稲魂・稲魂などと書く)とも呼ばれ、元は食物をつかさどる神様で、おそらく、稲の霊を神とした