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「率」のマジック。効「率」だけではなく、大きなスケールで考えてみる

ビジネスでお金を使って行うこと、例えば「広告」などでは、当然ながら「費用対効果」「効率」が求められます。あるいは仕事の仕方そのものに「効率的に」というコトバが使われたり、「効率化実現」を謳うツールが存在したり。もちろん「効率」は大事なんですが、あまりにもここに縛られると、本末転倒、なこともあります。
「率」はマモノで、これを改善することに集中すると、”規模の拡大”とのバランスが崩れたり、率は実現できてもビジネスとしては成功していない、なんてことも。効率だけではなく「数字」「率」の”使い方”を考えてみます。


野球の話。

プロ野球の「最強の打者」って誰でしょう?イチロー?松井?実はそれを超えた選手がいます。打者を評価する数字に「打率」(打席に立った数のうちヒットを打った率)があります。その観点で見ると、プロ人生で「1打数1安打、それもホームラン」という選手が二人いるとのこと。1950年の塩瀬選手、1991年シュルジー選手。「打率10割」の選手です。イチロー(3割2分2厘)のはるか上を行く...ピンときませんよね。彼らがプロでヒット1本なのに対して、イチローは4,367本のヒットを打っているのですから。
極端な例ですが、効率を求めるばかりに、「絶対数」「スケール」「拡大・拡張」の優先順位が下がってしまうことが、少なくありません。率を求めることは大切ですが、「規模の拡大」をしないと、特にビジネスではカタテオチ、本末転倒になってしまうこともある、という意識を持つようにしましょう。


広告の話。

インターネット広告があたりまえになって、従来のマス広告と比べて「効果測定」ができるようになりました。これにより「効率」が誰でも見られる環境になります。企業はお金を使って広告を出稿するのですから、その広告の効率を上げることが求められます。一方、広告を出稿する、ということは「より多くの人に知ってもらいたい。買ってもらいたい」という認知、購入といった目的のために実施するわけですから、「何人のおきゃくさまに知ってもらいたいか、買っていただきたいか」という「出稿にあたってのゴール」があるはずです。その「ゴール」に向かうための手段が「効率」であるはずです。
...考えてみましょう。「100人のおきゃくさまに買っていただく」ことがゴールであるのに、広告費を抑えて10人に買っていただいた、広告効果は抜群だった。一見成功例に見えますが、これは「ゴール」に達していないのです。もちろん、10人に買っていただいた、ならば広告費を10倍にすればいい、という考え方は間違っていません。が、少なくとも当初設定した”絶対的な”ゴールから見れば「未達」に過ぎません。
広告、特にネット広告ではこの「目的と手段」に陥ることが少なくありません。「10人」のケースは、「ホントはゴールまでいけたのに、差し引き90人のおきゃくさまの機会損失を発生させている」ということもできます。


もっと大きな話。

「数字・率」は確かにビジネスで使う際に有効なツールです。目標や、改善点・課題の抽出にも役立ちます。ただ、その「数字」がビジネスゴールのどこの部分にあたるのか、という点を意識していないと、”一部の成功”にとどまっちゃうこともあります(結構多くの場合、そうなりがちです)。
「数字・率」を使うときに、広告効果などの個別施策における「数字・率」とは別に、
大きな観点から見る「数字・率」
を意識すると、実は考え方が変わってくることがあります。例をあげてみます。

ひとつめの例。広告Aが上手くいっているとします。これにさらに費用を投下して拡大したいと考える。ここで考えたいのが、広告Aが上手くいった今、事業全体はどれくらい上向きになっているのでしょう?また広告Aは事業全体の上昇に寄与する規模まで拡大することができるのでしょうか?
ふたつめの例。化粧品の通販(EC、D2C含む)である場合、その化粧品の通販全体の市場におけるシェアは何%であるのか、何%まで行きたいのか。ライバル企業とは何%離れているのか、何%追いついたのか。差を埋めるために何をすれば何%近づくことができるのか。

といったように、「大きな視点→個別の施策」という順で考えるときに、「数字・率」というツールを使うと、より「現実」と「目標」が明らかになる場合があります。今の自分を知って、これからの自分を考える。このプロセスが、新しいアイデアを生み出しやすくします。


...ちょい「上から」みたいに書きましたが、私自身も「担当者」だったことは、「目先の数字・率」ばかり追いかけていました。だから、これはチームや部署全体で持つべき視点なのかもしれません。

そして、そんな「視野の狭い」私を変えてくれたのは、ある方のコトバです。最後にこれを共有します。

        「率だけじゃあ、メシは喰えないよ」

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