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扉が閉まるオーブン

オーブンを買い換えました。

うちのオーブン、コロナ前、たぶん5年くらい前からドアが壊れてたんですね。

右下のヒンジが劣化して折れちゃってまして、そのままガバッとひらくと、ドアがガシャンと落ちる仕組みになっている。

開けるときは中腰になって右ひざでドアを押さえるようにしながら開ける。閉めたら、整体師が肩を入れるような感じでドスッドスッと膝蹴りを加えて閉める。今までこれでなんとかやっていた。

ある時、うちにフランス人の知人が、手作りのでっかい洋ナシのタルトを持ってきて「これはネー、温めなおしてバニラアイスクリームを添えて食べると美味しいのヨー」と言いながら、こちらが「あちょそれこわ」と止める隙もなく、いきなりオーブンを開けたので、ドアがドスンガチャンと落ちた。あぶないところであった。やっぱ買い替えよう。

そもそも、人が来てるときに何度もおりゃ!おりゃ!とオーブンにケリを入れてる姿はあまりエレガントではありません。人目を忍んでケリを入れるのにも疲れました。

で、お店に行ってオーブンを買ったんですが、

オーブンって買っただけじゃダメなんですね。ガスと電気に接続するので、設置工事の人に来てもらう必要がある。当日やってきた「工事の人」は「ボリス・ジョンソン前首相」にそっくりなおじさんである。ボリスは「これ高さ大丈夫かいな?」「ガス管は?」といろいろ聞いてくる。お巡りさんに道を聞かれてるみたいなシチュエーションだ。

作業の途中でボリスは指を切っちゃったらしく、バンソーコを渡すと「こんなのサ、オレラの仕事では日常茶飯事なわけヨ、この前なんてさ」とやたらとタフガイアピールを繰り出してくるのがミステリアスである。

帰った後、新しいオーブンを見たら、血の指紋がペタペタくっついてた。その「血の指紋」にシュカシュカと洗浄スプレーを吹きかけてジッと眺める。なんか私ちょっと鑑識のオジサンっぽいではありませんか。

さて新しいオーブン。

新しい気づき;オーブンに「ケリ」は必要ない!手だけで開けられる!

...でも無意識にヒザが出ちゃうんですよ。

「すぐ手が出る人」の気持ちは分からないけど、「すぐヒザが出る人」の気持ちはわかる。考えるよりも先にケリを入れてしまう。だって5年かけて磨き上げた習慣だから。

習慣と理性、どっちが偉いかはっきりしてほしい。

このままでは危ういのであります。ケリが必要のないオーブンにケリを入れ続けて、ケリが必要なオーブンにしてしまうというのはちと酔狂すぎる。この「習慣」にケリをつけなくちゃ。

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