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マネーロンダリングはじめました

マネーロンダリングしてますか?

マネーロンダリング

日本語で言うと「資金洗浄」

いや、やっぱりマネーロンダリングのほうが馴染みがありますね。

過去2年、こちらではマネーロンダリングする人がずいぶん増えました。

もちろん「それ、私もやってる~!イエーイ!」と声を大にして叫ぶ人は少ないですから、実際、人口の何割くらいがやっているのかはよく分かりません。

でも、たまに「もう家に帰ったらすぐにやらないと気持ち悪くって!」と言う人もいます。

やったことない、と言うと「え?やってないの!?うわぁー」と慌ててこちらと距離を取って、悪霊退散!おりゃー!みたいなポーズをとる人もいます。
 
オーストラリアの紙幣を見たことはありますか。

プラスティックでできています。

破れにくいです。

水に強いから、雨にぬれても、間違ってポケットに入れたまま洗濯しても大丈夫。
 
去年とおととしは「プラスティックの表面にウィルスがつく」ということがまことしやかに言われました。

日本ではどうでしたか。

うちでは、一時期、スーパーから戻ると、プラスティックに包まれているもの、パックに入っているものの表面をせっせと除菌シートで拭いてから家の中に運び入れました。

...と、書くのは簡単ですが、実際にやるのはたいへんです。

買い物袋の中から品物を出すのに、どうしたってまず、手で触らなければいけません。その「触った手」を除菌シートで拭いて、それを捨てて、新しい除菌シートでパックを拭いて、あ、除菌シートが入ってるいれものの表面にもついた!?と慌ててあっちを拭いてこっちを拭いて...を繰り返しているうちに、もうどうにでもなるがいい!ウィルスたちよ、広がるがいい!ワハハハハ!という終末的で猟奇的な気分になりました。

まるでギリシア神話のようではありませんか。
ミダス王の物語。

触ったものがすべて...

あれは「菌」ではなく「金」に変わるのでした。

んー、菌と金だったらどっちがいいかなー。

ちょっと考えたら「金」なんですけど、ミダス王の手で触られたら自分が金になっちゃうしな。「菌」の手で触られても免疫部隊がなんとかしてくれるけどさ。

命の危険があるのは「金」であります。

ミダス王も、最初はなんでもかんでも黄金にして喜んでいたけど、娘まで金になっちゃって、嘆き悲しんだのです。金じゃなくてよかった。

 さて、オーストラリア。

やべ、うちらの「お金」もプラスティックじゃね?

と国民が気づくのに時間はかかりませんでした。
去年とおととし、家に帰ってくると何はともあれ!という感じで、洗面所でお財布からガサッ、ザラザラっとお札とコインを洗面所のシンクに出して、ざぶざぶと「資金洗浄」する人たちが少なくなかったそうです。

マネーロンダリング大流行。

「お金は汚い」と真剣な顔で語る人もいて、何かのメタファーかと思って、とりあえず真剣に頷いてしまいました。
 
「ウィルスの広がり」と「気分の広がり」は似てますね。あっという間に増える。伝染する。

紙幣の上をウィルスがニタニタしながら、人の手から、人の手を移動して、ぶわぶわ増殖しているようなイメージが想起されて、オーストラリア国民の恐怖心を煽ったのであります。お金を触った後に、よーく手を洗えばいいんじゃないかと思うけど、財布の中で、ウィルスが増えていくようで、きもちわるいんだよねー増えるのがお金ならいいんだけどねーと知人は言いました。

去年は多くのお店のレジで「No Cash, please」のサインを見ました。
「現金は汚い」教のおしえは「常識」になりました。

「汚い」だけじゃなく、キャッシュレスの波も後押しして「時代遅れ」の形容詞までくっつけられることとなりました。

現金は汚い。現金は時代遅れ。
 
現金厳禁
 
現金が使えないってどういうことですか。

なにそれ、世も末だから!と頭を抱えた、ほどではなかったけど、ナンダヨモー!と鬱憤がたまった。私は現金が大好きなのです。大声で言う。私は現金です!
 
現金を扱う店では、いちいち「資金清浄」したり、紫外線がウィルスを殺してくれるらしい、と太陽に当てたりしていました。
 
むかし、巣鴨の地蔵通りを歩いていたら、高岩寺の境内で、ボランティアの男性が外国人観光客の案内をしていました。これはね、ほら、あれだよ!マネーロンダリング!と言うドラ声が聞こえたので、お寺の不正を暴いていているのか!あのおじさん、ナニモノだ!?と見たら賽銭箱に「浄財」と書いてありました。

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