息子の歯が抜けた日。ネズミのペレスとトミカの関係。
息子の前歯がやっと抜けた。
ある晩、小学校1年生の息子の仕上げ磨きをしていたら、まだ乳歯が抜けていない前歯の裏側に大人の歯が生えてきているのを見つけた。
やばい。これはいいのか??どうしたらいい?
なんかどう見てもおかしな状況じゃないか。
ちょっと前に目にしたネットニュースで、すごい数の歯が口の中から見つかったというインド人少年の写真が目に浮かぶ。
焦った私は急いでネットで検索。
とりあえず前歯は慌てることはないらしい。
自分でしばらくグラグラさせてみて、それで数日たってもどうしても抜けないようなら歯医者に行ってみようと決めた。
そこから私と息子の歯グラグラ作戦が始まった。
2~3日続けていると思っていたより早く歯がグラグラし始めた。
やっぱり歯も抜けたがっているのね。
そして土曜日の夜。
「あ、やっべ。これもう抜けるって~!」と遠くで叫んでいる息子の声。
どれどれ。確かにだいぶグラグラ。そろそろ抜けそう。
そこから家族総出で抜きにかかる。
でもやっぱり怖がる息子はすぐ逃げてしまう。
じゃ、糸でやろっか。ムリムリ~!
じゃ歯医者行くか。いやだ~!
ならママにやらせて! 優しくしてくれるなら良いけど・・・。
やっぱムリだって~!
ひたすらこの押し問答。
そしてついにはしくしく泣きだしてしまった息子。
「いや、どうしたの?君がどうしても抜きたいって言うから
やってみてるけど、無理に抜かなくてもいいんだよ。
そのうち自然に抜けてくれると思うしさ。」
すると、「絶対今晩じゃないとダメなんだ!」と言う息子。
訳を聞くことにした。
以前娘が学校で「はがぬけたらどうするの?せかいのこどもたちのはなし」という絵本を借りてきて、
世界のそれぞれの国の歯が抜けたときの風習を楽しく学んだことがある。
世界には、歯が抜けたとき1つをとっても、実に様々な風習がある。
その絵本の日本という所にも書いてあったが、私は自分の歯が抜けるといつも、上の歯は軒下、下の歯は屋根に向かって投げていた。
田舎で育った私は昔ながらの平屋の一軒家育ちなので、
軒下も屋根もそれに対応できた。
しかし現在は東京のマンション暮らし。もちろん軒下も屋根もない。
これはある意味、国際結婚でのメリットであると思うが、一つがダメならもう一つの方法を選べる。日本方式がだめなら、スペイン方式。あるいはその時の気分でどっちもやれる。
スペインでは歯が抜けると、その歯を枕の下に隠して寝る。
すると夜中にネズミのペレス君がきて、歯を持っていく代わりにコインやプレゼントを置いて行ってくれるという流れである。
わが家ではこの風習を取り入れていて、毎回ペレス君は歯一本につき500円玉を置いて行ってくれる。
トミカが大好きな息子。
歯がグラグラしだしたころから、その500円の使い道は決まっていたようで、せっせとトミカカタログを見てほぼ目星をつけていた模様。
「今日は土曜日でしょ。今日抜けて、寝てる間にペレスが来てくれないと明日トミカ買えないじゃんか!
明日抜けたら、次の日は月曜日でもう学校あるし、次の土曜日までトミカ買いに行くの我慢しなくちゃいけないんでしょ!」
メソメソの理由はこれだった。
そうだよね。1週間も待つなんて、7歳の君には大問題だ。
「じゃ、分かった!もし今日抜けなくても、どっちにしろ明日トミカは買いに行こう。ママがお金貸してあげるから、歯が抜けてペレス君から500円もらったらそれでママにお金返してね。」
この提案、良いか悪いか賛否ありそうだけど、とにかくこのままではいつまでも寝てくれないし、周りもちょっと疲れてきたし、とりあえず本人は少しだけ落ち着いて寝床に入った。
朝5時。まだ真っ暗な中、隣でしくしく泣く声で目が覚める。
理由は分かってるけど、念のため。
「どうしたの?」
「まだ歯が抜けてない~!」
そりゃそうでしょうよ。寝てるだけでは抜けませんよ。
そうして、そこからもさんざん大騒ぎして、朝ごはんも歯が痛くて食べれない~とメソメソしてソファーでテレビを見ていると、「抜けた。」と一言。満面の笑み。
良かったね!本当に良かったね!大騒ぎした割には、あっけなく簡単に抜けたね。丸一日めそめそしてたね。とにかく、家族みんなほっとした。
その日は早速トミカを買いにトイザらスに。
夜にはしっかりティッシュにくるんだ歯を枕の下に置いて静かに寝た息子。
朝にはちゃんとペレス君から500円が届き、そのまますぐ私から借りていた500円も返却。無事今回の初めての歯が抜ける一大イベント終了。
今回”まえがり”という技を覚えた息子。
そして、借りたものはちゃんと返すこと、お金の計算と使い方。
日々の生活の中で学んで成長していく息子。
トミカ買えて良かったね。まだ1本目だから、まだまだいっぱいトミカ買えるから、また次もがんばろうね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?