【第129回】 Einstein 送信時間最適化(Send Time Optimization)について
今回の記事では、Einstein 送信時間最適化(Send Time Optimization)について書いてみたいと思います。現在、Corporate Edition と Enterprise Edition を利用している企業であれば「無料」で使用できる機能なので、どんどん活用していきましょう。
■ 機能概要
Einstein 送信時間最適化(Send Time Optimization)機能は、送信対象となる連絡先の過去 90 日間のエンゲージメントデータを機械学習し、自動分析することで、送信されたメッセージに対してエンゲージする可能性が高い最適な送信時間を予測する機能です。
この機能においては、過去 90 日間のエンゲージメントデータを機械学習しますので、新規顧客の場合や、過去 90 日間のエンゲージメントデータが不十分である場合にどうなるかと言いますと、その連絡先は「一般化されたモデル」(システムが決める最適な時間)に従ってメッセージを受信することになります。
この評価(分析)に関しては、週に 1 回だけエンゲージメントデータが評価されるという点と、Transactional の送信分類のメール送信は評価されないという点は押さえて置いて下さい。
またデータ品質スコアを上昇させたいと思った場合は、数多くの連絡先に送信することが必要なことは言うまでもありませんが、なるべく週の多くの時間に対して分散して送信することでも上昇させることが可能です。
■ 設定時の考慮事項
この Einstein STO アクティビティは「待機アクティビティの一種」という理解で問題ないと思います。各連絡先にとっての最適な時間になったら、待機が終了して、メールアクティビティに流れていくようなイメージです。
Einstein STO アクティビティでの待機終了後、メールアクティビティへ流れ始めるタイミングはすべて「正時(しょうじ)」となります。正時とは「◯時 00 分」のことです。
ここで「AM 10 時 00 分から送信をスタートさせて PM 17 時 59 分までに送信を完了させたいシナリオ」を具体的な例として挙げておきます。
この場合、以下の 8 つの正時が含まれます。
この 8 つの正時のタイミングに、Einstein STO アクティビティからメールアクティビティ側へ連絡先が流れ始めるイメージになります。Einstein STO アクティビティから連絡先が流れ始めて、メールアクティビティに到着し、送信処理がなされてから、受信ボックスへ届きますので、処理時間のトータルとしては、数分~数 10 分はかかることは計算に入れてください。
そして、この例の場合は Einstein STO アクティビティ上の設定は「8 時間」という設定にしてもらう形となります。
ここで何を以って「8 時間」の設定であると判断したかと言うと「8 つの時間帯」というイメージで設定すると分かりやすいです。以下のようなイメージです。
また、もう一つ大事なこととしては、上の ① とは 10 時 00 分に Einstein STO アクティビティから離れ始めることを意味しますので、9 時 59 分以前に Einstein STO アクティビティに到着して、Einstein STO アクティビティで評価を受けている(=待機状態となっている)必要があります。
(↑ これはとても重要です。)
具体例を上げますと、1 万レコードのエントリーソースの場合、9 時 50 分にエントリーを開始していれば、9 時 59 分までの 10 分間で、その 1 万レコードを Einstein STO アクティビティへ届けて、評価までさせることができると思います。但し、これが 100 万レコードを超えるエントリーソースの場合はどうでしょう?おそらく 100 万レコードのすべてを Einstein STO アクティビティへ届けて、評価までさせるには 10 分以上かかってしまうと思います。
このような時は、ある程度時間的に余裕を持ってエントリーをさせる必要があるわけですね。例えば、9 時 00 分に前倒してエントリーを開始しすれば、100 万レコードであれば、9 時 59 分までに評価が済みます。
Einstein 送信時間最適化(Send Time Optimization)機能は仕組み上、個別の連絡先ごとに、到着した時間以降の正時を開始の時間として 時間を計算しますので、仮に上の例で 10 時 00 分を過ぎて Einstein STOアクティビティに到着した連絡先は、同じ「8 時間」という設定であっても、下記のような形で評価されます。
見てお分かりの通り、到着が遅れた連絡先は、配信時間が 1 時間ずれ込むことになりますので注意して下さい。
以下に、別の具体例も出しておきます。
このジャーニーのエントリーのスケジュールは、AM 10 時 55 分です。上段のパスは AM 10 時 58 分に STO アクティビティに到達したとします。一方、中段のパスは STO アクティビティ の前に 3 時間の待機アクティビティがありますので、3 時間遅れの PM 13 時 58 分に STO アクティビティに到達します。ここで、上段のパスでは、STO アクティビティで 3 時間の設定がされており、中段のパスでは 4 時間の設定がされていますので、以下の時間帯でメールの送信が開始します。
この通り、個別の連絡先が、いつ STO アクティビティに到着するかで送信時間が変わってきますので、注意して下さい。
■ プレビュー機能
Einstein 送信時間最適化(Send Time Optimization)には、プレビュー機能があり、事前にそのデータエクステンション内の連絡先が該当の時間帯においてどのような分布をするかを確認することができます。
事前に確認するメリットとしては、そのデータエクステンションに対して Einstein STO アクティビティを使用しないで、一括でのバルク送信をする際に、どの時間帯で送信をすべきかのインサイトを得ることができます。
手順は以下の通りです。
Einstein Overview を開きます。
2. プレビュータブを開きます。
3. 任意のデータエクステンションを選択後、確認したい期間を選択します。
4. 表示を確認します。下記の結果から 13 時台が最もボリュームゾーンであることが分かります。
いかがでしたでしょうか?
皆さんも、この Einstein 送信時間最適化(Send Time Optimization)を最大限に活用することをお勧めします。 この機能は、高度な機械学習を利用し、過去 90 日間のエンゲージメント データに基づいた最適なメール送信時間を予測します。 特に大規模なメールキャンペーンを管理している人にとって、貴重なインサイトを提供します。
ただし、この STO アクティビティを構成する際には、特に複数のメールアクティビティを扱うような場合は、戦略的な配置と配慮ある時間設定など、慎重な考慮が必要となります。上で説明した内容を踏まえて、細心の注意を払ってセットアップに取り組み、最高のマーケティングジャーニーに乗り出しましょう!
今回は以上です。
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