【第198回】 Winter '25 リリース 注目の新機能 Marketing Cloud ハイライト
Salesforce Marketing Cloud の 新機能 Winter '25 の情報が公開されましたのでハイライトの記事を書いてみたいと思います。
今回のリリースは 2024 年 10 月 4 日から 10 月 25 日の間にリリースされます。今回、私の目に留まった機能の 1 つは、Automation Studio 関連のデータビューに対して、リアルタイムなアクセスが可能 になったことです。
これは素晴らしいアップデートだと思います。以前は 24 時間以上前のデータしか取得できませんでしたが、このアップデートにより、当日のトラブルシューティングがはるかに簡単になります。
以前に私が note に投稿した「Automation Studio の各ステップにおけるオートメーションアクティビティの実行時間を一括取得する」という記事で紹介したテクニックを使用すると、当日のオートメーションまでもが可視化できるようになります。以下の記事を参考にしてください。
それでは、今回もたくさんのリリースがありますので、新機能 Winter '25 でどのような機能がリリースされたのかを順に見て行きましょう。
■ 前回の Summer '24 も記事にしていますのでご覧下さい。
■ Automation Studio 関連
① Automation データビューからデータをリアルタイムで取得
前段でも述べましたが、Automation Studio のデータビューをリアルタイムでクエリできるようになりました。以前は、過去 1 日(24 時間前)から 31 日間に実行されたオートメーションのデータのみを取得できました。
早速使ってみましたが、当日分がしっかりと取得できました。このアップデートに合わせて、私の以下の記事も、当日分を取得するようにコードを書き直しました。このアップデートにより、当日のオートメーションのトラブルシューティングが格段に楽になりそうですね。
SELECT TOP 10000
AutomationName COLLATE japanese_cs_as_ks_ws AS [AutomationName],
ActivityName COLLATE japanese_cs_as_ks_ws AS [ActivityName],
ActivityInstanceStep,
CONVERT(VARCHAR(19), DATEADD(HH, 9, ActivityInstanceStartTime_UTC), 120) AS [ActivityInstanceStartTime],
CONVERT(VARCHAR(19), DATEADD(HH, 9, ActivityInstanceEndTime_UTC), 120) AS [ActivityInstanceEndTime],
FORMAT(DATEDIFF(S, ActivityInstanceStartTime_UTC, ActivityInstanceEndTime_UTC) / 60, '00') + ':' +
FORMAT(DATEDIFF(S, ActivityInstanceStartTime_UTC, ActivityInstanceEndTime_UTC) % 60, '00') AS [Duration]
FROM
_automationactivityinstance
WHERE
AutomationName = 'XXXXXXXXXXXXXXX'
AND DATEADD(HH, 9, ActivityInstanceStartTime_UTC) >= CONVERT(DATE, DATEADD(HH, 15, GETDATE()), 111)
ORDER BY
CONVERT(DECIMAL, ActivityInstanceStep) ASC,
DATEDIFF(S, ActivityInstanceStartTime_UTC, ActivityInstanceEndTime_UTC) DESC
② Automation Activity Instance データビューに Job ID が追加
オートメーション内にメール送信アクティビティがある場合、Automation Activity Instance データビューに Job ID が追加されることで Sent、Open、Click などの別のデータビューと結合をスムーズにさせます。
③ ファイル転送アクティビティで復号化の失敗をエラーで返す
ファイル転送アクティビティにおいて、GPG または PGP キーの設定ミスにより、ファイルの復号化に失敗した場合は、システム内のエラーとして報告されていましたが、ユーザー側のエラーとして返すようになります。
④ Amaonz S3 バケットのファイルの場所に関する仕様変更
S3 ファイルの場所を作成または変更すると、AWS バケット名フィールドに相対パスを含めることができなくなりました。以前は、このフィールドに相対パスを指定することができました。
AWS バケット名フィールドには「バケット名のみ」を、AWS 相対パスフィールドには「相対パスのみ」を指定するようにしてください。
■ Journey Builder 関連
① Journey Builder 専用の監査ログが登場
過去 30 日以内のジャーニーに加えられた変更を可視化 して、ジャーニーの変更を監視し、チームにおける説明責任を維持します。ジャーニーの作成、変更、アクティブ化、非アクティブ化、停止、および削除した時間とユーザーの情報が表示されます。以下の History(履歴)の画面よりアクセスできます。
日付は、ローカライズされており、CST ではなく、日本時間です。
残念ながら、ユーザー名に関しては日本語対応しておらず、漢字やカナは「?」で表示されます。
日付とアクティビティのフィルターを使用して、表示される情報の絞り込みも可能です。ここで選択したフィルターオプションは、フィルターパネルを閉じた後も保持されます。
また、テーブルに列を追加または削除して、その結果を CSV にダウンロードできます。クリップボードにコピーして、エクセルに貼り付けも可能です。
--- メソッド
GET
--- エンドポイント
[REST ベース URL].rest.marketingcloudapis.com/interaction/v1/interactions/[ジャーニーID]/audit/all?versionNumber=[バージョン番号]
--- ヘッダー
Content-Type:application/json
Authorization:Bearer [アクセストークン]
② Journey Builder 監査強化 - Slack 通知機能が登場
Journey Builder において 監査目的の Slack 通知機能 がリリースされました。ジャーニーキャンバス上の「前に戻る」ボタンの左側に、Slack Notification Settings のボタンが表示され、そちらより設定が可能です。
設定画面を開くと、以下の通り、様々な通知設定ができるようです。
私の方で設定を試みましたが、現状は失敗に終わっています。
これに関する公式のヘルプドキュメントはまだ存在しません。特に Slack チャネルとの接続の部分がどこで行われ、どのように記載すれば良いのかなどの詳細が必要です。
ちなみに、私の環境において、以下を試しましたが、これらを単純に Slack チャネル名の箇所に記載するだけでは接続されませんでした。
このセットアップについては、公式による詳細が出てから、再度レビューしたいと思います。
こちらの機能について、Salesforce から以下のコメントがあったそうです。どうやら将来的なリリースのようですね。
③ ジャーニー検証中にハイスループット送信を推奨
ジャーニーの検証中に、Journey Builder はパフォーマンスに影響を与える可能性のある構成を見極め、メールアクティビティでハイスループット送信が有効になっていないドラフトやアクティブなジャーニーがある場合、Journey Builder はメールのパフォーマンスを向上させるためにハイスループット送信の設定を有効化することを推奨します。
Journey Builder ではテナントごとに 1 時間あたり最大 200 万件のメール送信を処理できます。このハイスループット送信を使用すると、一般的な基準として、2 倍以上のハイスループットを実現できます。
ハイスループット送信に関する考慮事項
④ デフォルトのメールアドレスの連絡先データ側の UI の改善
連絡先データからメール属性を取得する場合に、より正確にデータ選択できるようになりました。
これまでは、以下のように、例えば、すべての購読者のメールアドレスを選択する際は、まず「Email Addresses」を選択して「Email Address」を選択するという仕様になっていました。
これが、まず「連絡先データ」からスタートし、すべての購読者のメールアドレスを使用する場合は、「System Data」を選択して「Email Addresses」の「Email Address」を選択することになります。
この辺りの UI が、これまで少し初心者には違和感のある表示になっていましたが、他の機能に合わせる形で改善されました。ホームボタンも登場しています。
⑤ ジャーニーの「履歴」タブにおける不要行の排除
ジャーニーの「履歴」タブにおいて、不必要な行や、アクティビティ名が「空」または「完了」のステータスの行が表示されなくなりました。ジャーニー履歴ダウンロード API においても、アクティビティ名が「空」または「完了」のステータスの行は表示されません。
■ Einstein 関連
① Einstein 生成 AI を使用した件名・本文作成が多言語対応
これまでは、日本語を使っての「リクエスト」の入力はできましたが、「応答」が英語で返されていました。それが Winter '25 の新機能リリースで「多言語対応」され、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、ポルトガル語、スペイン語で利用が可能になりました。
ローカライズされたコンテンツをすばやく作成して、メッセージをより幅広いオーディエンスにメッセージを届けることができます。
早速、以下の通り試してみました。リクエスト画面では以下のように入力しました。
免責事項のチェックボックスにチェックを入れて「作成」ボタンをクリックすると、右側にドラフトのメール件名が「日本語」で 5 つ表示されました。
② 新しい監査エクスポート機能で AI コンテンツを監視
過去 90 日間の生成 AI コンテンツの包括的な監査(入力、出力、ユーザー フィードバックなど)をエクスポートすることで、安全性コンプライアンスの取り組みをサポートします。コンテンツをレビューして、ブランドガイドラインに準拠していることを確認します。エクスポートされたデータを使用して、ブランド アイデンティティと個性を洗練し、すべての AI 生成コンテンツで一貫性を確保します。
Einstein コピーインサイトのセットアップ画面からエクスポートできます。
■ アプリ関連
① グッバイ!Social Studio が 2024 年 11 月 18 日 に完全廃止
Social Studio は 2024 年 11 月 18 日に廃止されます。既存の契約が終了するか、2024 年 11 月 18 日のいずれか早い方で、Social Studio にアクセスできなくなります。顧客データは 90 日後に削除されます。
いかがでしたでしょうか?
改めまして、今回のリリースは 2024 年 10 月 4 日から 10 月 25 日の間にリリースされます。この記事を発表した現時点では、まだ機能がリリースされていませんのでご注意ください。
また、今後 Salesforce 主催での新機能リリース説明会も開催されると思いますので、そちらも開催されたら、そこからもしっかりとキャッチアップして補足して行きたいと思います。
▼ Salesforce 公式の解説が公開されました。(2024 年 10 月 21 日追記)
今回は以上です。
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