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ウェブショップで豚を売るのなら〜やってわかったECのコツ 出品編〜

私は「豚肉」を取り扱ったウェブショップを2年ほど運営してまいりました。

具体的には、商品の企画/製作、商品文章作成、画像/動画撮影、価格づけ、販促、顧客対応、保守作業など全ての工程に携わっています。
銀行から借入や資金の調達はせず、あくまで自己資金でできる範囲で取り組んできました。
産直に絞った形ではありますが、自社EC以外にマーケットプレイスへの出店もしております。

現在、これまで実店舗で販売をしてきた事業者は、この環境変化にどう対応すべきか、頭を悩ませているところと思います。
そこで、これからウェブショップでの展開を頑張っていきたい方のお役に立てたらと思い、私がこれまでの経験を通して学んだことをお伝えしたいと思います。

ウェブショップに自社商品を出品することを推奨する書籍はたくさん存在します。
しかし、業態や商品種目によって、ビジネス形態や顧客層は当然、異なります。

書籍に掲載されている方法はあくまで汎用的な展開方法です。
最終的には自社の商品にあったオリジナルの出品方法を考えていく必要があるでしょう。

インターネット販売での商圏は、当然ながら世界中です。
幅広い顧客を相手で商売ができる反面、競争は激しくもあります。

特に、ここ最近は、マーケットプレイスには商品が溢れ、EC出店も増え、SNSにも多くの情報が溢れ、インターネット上での情報量がどんどん増えていっているように感じます。

私はTwitterを中心にインターネットを閲覧することが多いのですが、Twitterのタイムラインの流れも以前と比べて速くなってきているように思います。

そのような競合数多の中、いかに自社を露出させるか?どれだけ尖るか?(ニッチな分野を攻めるか)等、色々なことで悩むと思います。

しかし、そんなときこそ、基本に立ち返るべきではないでしょうか。

来てくださったお客様にしっかりと商品を理解していただくこと。
少しでもお客様に商品を魅力的だと感じてもらうこと。

細かい販売戦略を整える前に、まずはこういった基本に立ち返ること。その上でウェブショップを捉えるべきだと思っています。

※本記事に関しては専門用語的なものは排除し、読みやすいことを意識しているので些か稚拙に感じる部分もあるかと思いますが何卒ご容赦ください。

どこで売ろう?

販売については大きく分けて
・モール型(Yahoo!、楽天、Amazonなど)
・カート型(BASE、Stores.jp、カラーミー、Shopifyなど)
の二種類です。

これについては下記記事がとても参考になります。(1年前のものです。)

ちなみに私はWixで自社HP/webshopを構築したのち、現在はShopifyというサービスを使っています。

大事なことは自分たちの販売する商品特性を見極めること。
価格競争がある商品か、集客は自分たちでできるか等、あくまで商品に合わせてショップをカスタマイズすることが大切です。

例えば、決済手段においても
在庫売り切りで販売する商品の場合、決済手段に銀行振り込みがあると、売り切れたはいいものの結局振り込みがなくてキャンセルに。
ロスが生まれて、その1つのためにまた販促をかけるも賞味期限が、、というリアルなゴタゴタが起きたりします。

全てを予知予測はできませんが、細かい選択の中ではいかに自身の商品の特性を理解しているかが重要です。
勿論、スタートする前に悩むより、やりながら変えていく形をとるのもありだと思います。

あなたの商品の特長は?

自分の商品特性を理解し、把握することが大事だという旨のことを申し上げました。
それはどんなことか、細かく書いていきます。

例えば、豚肉の特長・短所は

一般的な食品である
色んな部位がある
部位によって取れる量は違う
個体差はある
家庭でよく食べられる
牛肉より安価、鶏肉より高価
家庭料理の種類は豊富
加工品の種類も豊富
一般的にスーパーなどどこでも売っている
日持ちはしない
冷蔵必須
etc..

と、良いも悪いも様々なものが挙げられます。
一般的なスーパーで売っている食材は、シンプルにネットショップに出品しても
まず売れません。
スーパーで買えるからです。
付け加えるなら手にとってみる事ができないからです

豚や食材に限らずとも
世の中の大体のものは近くに売っているものや代用が効くものです。
特に、生活に根ざしていたり必要とされるものなら尚更です。

と、身も蓋もない話をしてしまいました。
しかし、最終的に大切なのは買い手目線に立つことです。
自分の商品だろうが、シビアに買う人の目線にならねばなりません。

注文するのは貴方ではないからです。
大切な商品、売りたい商品だからこそ希望的観測や愛情は捨てて考えることが一歩目だと私は考えます。

こだわりの詰まった豚肉はただの知らない肉
愛情を込めて作ったきゅうりもただのきゅうり。
丁寧に作ったハンドメイドアクセサリーも、無名のアクセサリー。

きっとすでに販売をされている方は、一度この現実に直面されていることと思います。

だからこそ、まずはたまたま立ち寄ってくださった方が「おっ」と思ってもらえる形を目指すことが第一歩だと考えます。

ネット販売にも向いているものは何か

と言う質問があれば、パッといくつか出てきます。

・品薄で需要が高いもの
・中古品や一点物(替えの効かない価格や価値がある物)
→売り手が限られる商品
・人前で購入することが憚られる物(店員と対面でやりとりしたくない物)
・ダウンロード型の商品(無形)

こういった、人の購買においての潜在的な需要を考えてみると
自身の商品はどうか?が少し見えてきます。

あなたにしかない価値を見つけよう、届けよう

例えば、私は養豚農家で、商品は豚肉やその加工品です。
販売しているのは肉やハムなのですが、少し離れてみると
私は作り手であり、販売者です。
同じものを売るにしても小売業者さんとは少し文脈は違います。

そういった立ち位置にも意味はあります。
貴方の売る商品にはどんな価値があるか。

・質が明確に違う(良い)
・他所にはないバリエーションがある
・柔軟に対応できる
・他所よりも安く作れる
・広く認知されている
・デザインが良い
・作り手や売り手として愛されている
・ブランドが確立されている

同じジャンルの商品でも、様々な理由で優位性を持つことはできます。
(商品作りについてはまた別の記事の時にお話します)

他に、同じジャンルのものが身近にある中で、
どうしたら私の商品がいい!と思って/感じてもらえるのか?

ここを徹底して深堀してみましょう。
なければ、その価値を作っていけば良いのです。
それは少し長い道のりになる確率が高いのですが、地道にやることが全てです。

全ては想起にある

私は、何かを作ろう、販売しようとするときに想起することに多くの時間を使っています。想起というか、妄想というか。

つまり、この商品が世に出たとき、どんなニーズがあるのかな、とか
どういったシーンで使われるかな、とか

そんなことをイメージする作業です。
例えば、ベーコンを販売するとしたら
購入した後、お家に届いて、開封するときに驚きや興奮はあるかなとか
朝食べるか、夜食べるか、パンと合わせるか、パスタに入れるか。
3mmの厚さなら野菜に巻くかな、
1cmの厚さならバーベキューとかキャンプみたいなアウトドアシーンも、ポトフに入れてもすごく旨味が溢れていいよねとか
そういったシーンを想像した時

色んなことが見えてきます。

昔、ある方に「しゃぶしゃぶ肉売るならポン酢も、鍋も売れ」という言葉をもらいまして。
そういった掛け合わせが持つ価値もあると思います。(未だそこには至りません)
茶葉を販売する人が急須を一緒に売るとか、そういったシーンを想起した商品構成に取り組む事にも意味はあります。

どんな人に届けよう?あなたのお客さん候補は?

自分たちの商品はどんな方に向けて届けよう?
所謂ターゲットを考えるということです。

豚肉という素材でいうと

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こうみると、「家庭で家族と食べる角煮」のようなシーンが見えるし

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こうみると「友人や仲間と囲むバーベキュー」が見えてくる。

一つの素材でも、様々なターゲットやシーンがあり、それは時期や季節によっても変わってくるし、その時代の出来事でも変わってきます。

例えば、2020年5月現在、外出自粛の世の中において
「みんなで集まってBBQするのに最適なセットを売ろう!」というのは少しナンセンスだったりします。

自分の商品は
どんな年代の
どんな性別の
どんな趣味の
どんな地域の
人に向けるか。

そういった想起をすることが大切ではないかなと思います。

どれくらいの量がいいだろう?

ネットショップでは、量り売りというのは難しかったりします。
できないこともないのですが、基本的にはパッケージとして出品したものをご注文いただいて、その商品を発送する形。

やはり、ここでも想起。

極端ですがお世話になった方に送るであろうギフトセットで、お得だったとしても10kgの肉とか、20kgの野菜とか送る方はあまりいないでしょうし
逆に200gの豚肉パッケージとかも格好がつくかというと、、ということです。(色々意見はあるとは思いますが)

しかし、自宅用でだったら1食分の小分けのパッケージの方が使いやすいので重宝されるとか。

そういった利用シーンを想定して、「これちょうどいいじゃん」と思っていただける形態で出品することが大事ではないかなと考えます。

この、量と価格はとても重要です。
これは、リアルな部分ですが
小さいパッケージがウケるからといってそういった商品を並べれば注文毎に
工数は増えます。一つ一つを包むわけですから
件数が増えれば、梱包の手間や包装剤費も、伝票発行の手間も増える。
その割に小パッケージだから単価が小さい、、と。

これで疲弊する方も少なくないのでは、と思います。
特に原価ベースの価格づけをしてみたら、手間がめちゃくちゃかかるのに、利益が上がらない!という嘆きを聞いたことがあります。

これは特に小規模事業者として感じることで、ポジショントークに聞こえてしまいますが
小さくやるとしたら品質や、特性を振り切って、しっかり単価の乗るものにしていくことは重要です。

そして家庭に届ける上では少量で売る形が主になりますがネット販売で必ずと言っていいほど食い込んでくるのが送料との兼ね合いです。
これが、とにかく重い。

レターパックやネコポスなどの低価格なもので送れたら話は変わりますが
基本的に宅急便は常温でも700円ほどが最低ラインですし、クールや遠方への発送となれば1000円くらいは軽くかかります。

低単価なものを少量、というニーズにこの送料がかかって
500円の商品に700円の送料、のような買い物は基本的に好まれません。

私も今日、醤油をネットで買ってみたのですが
数百円の醤油、送料などが乗っかって、2000円。
やはりストレスを感じました。

商品のボリューム、単価、重さ、一般的な消費される量、(食品などなら)日持ち等のバランスを考えることが大切だったりします。

豚肉だと、基本的には500gをベースに販売していますが
1人だと3,4食分
2人だと2,3食分
4人だと1食分
をイメージしています。
日持ちに関しては届いてから、残りの分を冷凍していただくなどで対応される方が多く、これは冷凍可能な食材の特性かなと考えています。

詳しくは後述します。

どんな体験ができるだろう?

これまでは商品の「機能」を中心に書いてきました。
次に、これを買うことでどんな体験や思いができるか、「意味」があるかということを想起していきます。
なかなか、最初からイメージしきれるものではありませんが、販売をしていく時もこの便益を意識することは非常に大切です

例えば、私はギフト箱に入ったレトルトカレーを販売していますが
「美味しい」という機能が中心ながらそれ以外に

「箱がカッコ良くてワクワクした」
「孫が食べたらとても喜んでくれた」
「疲れて帰ってきた時、手軽に食べられる」
「備蓄できるごちそう」など

美味しい以外の価値があることに気づきました(手前味噌ですが)
ブランドバッグで言うと

バッグの機能以上に
・自分の気持ちが上がる
・経済的なアピールになる
(下世話ですが)こういった意味の機能を備えています。

こうした体験の価値はは遡れば
購入を検討している段階から発売/購入まで
購入した瞬間から、届くまで、
届いてから開封するまで
開封してから使うまで
その体験を他者と共有するまで
商品特性に関わらず
長く楽しむことができます。

そういった体験の価値を自分たちの商品にいかに付与できるか、というのも重要です。

誇張表現には気をつけねばなりませんが
購入を検討している方が「おお、これは気になる、、」と思ってくださって
そこから楽しみな気持ちを折ることなく、届け、
萎えることなくその商品を楽しめる

買ってすぐ使えない(買ってから発送、受け取りまでのスパンがある)からこそ、
そういった経路の設計が大切です。

基本的に、我々の場合は
家庭用はシンプルに。
ギフト商品はワクワクできるように。
と、分けています。

逆に過剰な包装は、処分が手間だったりして逆に不満を生んでしまうことをお客様から学びました。
「普段食べるために買ってるからゴミは少ない方がいい。」
それも全くもってごもっともです。

その包装やサービス、いる?

と言うことで包装やサービスの問題です。

例えば、商品を包むものから、外装となる宅配袋やダンボール。
ショップカードや感謝のお手紙など、様々な形があると思います。

私個人の考えではっきりいいますが、小さくスタートするにあたっては
そう言うことはある程度売れてから考えたらいい、必要最低限で良いと思っています。

体験をデザインする、と言う上ではそういった細部までしっかり作り上げるのはとても意味があるし、決して無駄、と言うことではありません。

ただ、最初から完成されたものを作ろう、届けよう、としていると
製作費や各アイテムの製造ロットなどの悩みが重なって枝葉末節に足を取られます。
市販品や、規格品など、少量、低コストで初めて、回転し始めてから少しずつ拡充させていくこと、そうして成長を感じていただけたら良いかな。と考えています。

簡単な手法としてはステッカーやシールだけ作っておく、それを各アイテムに貼ってあげるだけでも、形は保てると思います。

お手紙などは心がこもっていていいなと受け手としては思うのですが、書いていません。
勿論これは、人それぞれの考え方なのですが、受け取って処分しづらいかな、とか全てに書ききることができないこと、受け手のシチュエーションを考慮した結果、

基本的には最小限の包装で、質の良いものをお送りすることと、形に残らないSNSなどのやりとりをしっかり務めることに注力しています。

選び疲れに気をつけよう

出品を始めていくと
あ、こう言う商品もいいよね
こう言うセットも良さそう
パッケージ色々選べるといいかな
と、足し算が増えていきます。

バリエーションが豊かなことは一見、非常に良さそうなのですが
選ぶ側に立った時「結局どれにしたらいいかわからん」と思われてしまう恐れもあります。(書いていて、私も改めて絞る必要があるなと感じました。)

所謂「選び疲れ」みたいなものです。
バリエーションを展開するなら、シチュエーションで区切るのは一つの手です。
A商品と、B商品と、C商品と、、と広げるより
1-2名にはこのセット
2-4名ならこのセット
大人数なら、、と言うように選ぶ人で必ず分かれる各需要に提示するような置き方をすると
比較的選ぶ手間は省けます。
その上で一番自信があるものを置いて、まずは気に入ってもらうことが最初は良いのではないかと考えています。

実際の例で言うと、私はある時期にハムやソーセージetc..と様々あった加工品のラインナップはほぼ全て取り下げて
ベーコンのみを販売し始めました。

ベーコンに何よりの自信と実際の反応、そして差別点があったからです。
これは、他にはない。と明言できるだけの言語化できる魅力がある商品を前に立たせること、切り口となる一点に絞って知ってもらうこと。

そういった引き算の取り組みは苦渋の選択ですが、改めて自分たちの柱は何かを知るいい機会だと思います。
精肉でも、私は一般的には有名でフラッグシップな部位の「ロース」ではなく
バラ肉と肩ロース、細かく言えばバラは4mm厚、肩ロースはブロックに絞ってお勧めしていました。
今も最初は?と聞かれたらバラ肉を食べて見てください、どうしても脂が苦手なら肩ロース。とお勧めは固めています。

バラ肉は自社の最大の売りである「脂」の良さ(さっぱり、もたれない)を存分に感じていただけること。
一番違いを感じられる部位だと考えているからで
肩ロースは調理のスタイルを問わず、肉味のコクやバランスの良さを感じられることが理由にあります。

つまり、「悩んだら、これ。」とか「最初はこれを!」と言う商品を定めておくことが重要です。

シチュエーションをイメージしてもらおう

自分が、どんな人に届けるかを十分に想起したら
今度は逆にお客さんに想起してもらうことが重要だったりします。

例えば

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この写真からは「イヤホン」と言うことがわかります。

次にこれを見ると

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「あ、スポーツに使えるんだ」と言うイメージを持ってもらえます。

食品でも

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これは、ベーコン。それだけ。

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こう見ると、「朝食にいいな〜」とか、「ベーコンエッグにしたら旨そう」と言う想起をしてもらえる可能性が広がります。

その商品の機能やシチュエーションをイメージしてもらうことは大事だなと思います。

例えば、シチュエーションの想起以外に、動画などで

この動画からは
「あーこんなデカイ肉(原料)が入ってるのか」
「湯煎で食べるのか」
「ルーはシャバシャバ系なんだ」
「本当に肉塊でてきた」
「スプーンで切れるんだ」
と、その商品の便益がストレスなく伝わるように工夫して見ました。

言葉でも、想起はしてもらえます。

以前、1cm厚バラ肉、と出品していたものを
【サムギョプサル用】と書いたところ
反応が大きく変わりました。

そこで反省したのですが
1cm厚って、販売している側はわかっていてもイメージが湧きづらい。
どんなシーンで使えるものか、用途を示すことで大きく変わります。
今は、簡単ではありますが出品している商品の用途を書いてみるようにしています。商品の料理イメージも増やしていこうと考えています。

ただ、押し付けないのも大事です。
私はですが、「あくまでどう使うか(食べるか)はお客様の自由」と言うスタンスでいます。

商品ページ、どう伝えよう

商品ページは基本的に、画像/動画と紹介文。

目で見たイメージと言葉で場面を想起していただく事

ここは細かく読まれるかはともかく、、しっかりと便益を伝えることが大事で
この商品は、こんな商品で
こう言う時、用途に使えて
こう言う反応もいただいております、とか
あくまで誇張にならない範囲ですが、アピールポイントと熱をわかりやすく簡潔に伝えることかなと思います。
(大したことは言えません)

続けられる単価設定をしよう

原価ベースではなく、いくらで売りたいか。
ということを考えることはなかなかハードルは高いのですが

しっかり、同業他社はどういった価格で販売していて、それに対比して自分たちの商品はどうなのかも把握した上で
いくらで買っていただくに値する商品か、を考え抜くことは非常に重要なことです。
そして、送料含め思っている以上に他に出ていくお金は大きいのです。

原価以外のお金を考えると
マケプレ等なら手数料(10~30%)
自社サイトなら維持費(定額)、決済手数料(3~6%ほど)
包装代、版代
送料
消費税
などなど、、他にもデザインなど。

勿論、販売した全てがうまくいくとは限りません。
時に、何か不手際があれば、と言う不測の事態も必ずといっていいくらい起こります。
様々な出費を計算した上で、いくらなのか。
この先ある程度注文が増えた時、ちゃんと回るか。
注文数に応じてきちんと十分な収支が出るか。

その価格に納得していただくためには、商品の便益だけで賄えないこともあるかもしれません。
だからこそ、選ばれる為の努力も必要とされます。

これは個人的な意見ですが、、
価格には、販売者の自信と覚悟が表れていると、そう信じています。

置いておいて売れる、と言うことは稀有なことです。
今のマスクのように、特需により飛ぶように売れてしまうこともあるかもしれませんが、小規模事業者の販売において何より重要なのは「長く愛される」ということではないかなと思います。

この価格に見合うだけの機能、便益、価値があると、胸をはれることほど天晴なこともありません。

競合を意識する

あなたの競合は同業者だけじゃありません。という言葉を昔聞いて非常に考えさせられました。

私は販売する養豚業者ですが、販売者という枠で捉えると
同業者とはいえECで販売していない養豚業者は競合かと言えば違います。

家庭の食卓の消費財で考えると、スーパーや量販店で販売される肉が競合だったり
ギフト商品で考えてみれば、ゴディバやネクタイかもしれません。

レトルトカレーを製作して販売していますが、それはそれで市場は異なると考えています。カップ麺とか、備蓄食、冷凍食品がそこにぶつかってきたり、、。

自身が、どのジャンルでどこと比較されるのか、ということを意識すること、自分はどの市場に身を置いているかはフィールドを知る上で不可欠です。

お客様を知るためにお客様になる

結局、ネットでどんなものならいいのか。どんな形はストレスになるのか
という問いの解に最も効率のいい学びは
「自身が購買者になる」ことです。

買い物をして見て
「これだとよくわからんな」
「この決済手段あるといいな」
「こういった見せ方/言葉、わかりやすいな」
「このショップは使い勝手悪いかも」
と、色んないい点悪い点が見えてきます。

そういった顧客側の体験を積むことで、
自分が販売するにあたって改善できる点を発見できます。

そしていろんな人になり切ること。
あなたが4人家族で実家暮らしだったとすればそういった方の想起はしやすいですが、皆がそうではありません
2人暮らしや一人暮らしの人の生活や行動様式を想像してみる。

自分が異性だったら、若い人だったら、高齢者だったら、、と
様々な生活を想起して、どう感じるかを検証してみると少しずつ見えてくるものがあるかなと思います。

そして、想起し切れない部分はその人に聞いてみる。
身近な人に素直な感想を聞くことができたら何よりですが、
SNSは、そういったニーズや不満をやりとりから知ったり、いいも悪いも声を拾うことにおいてものすごく重要な存在です。
気づかなかった自分の商品の良さやストレスを様々な角度から知ることができる貴重なツールだと思います。

一歩、足を止めていただくために

冒頭にも申し上げたとおり、今は無限に情報が溢れています。

そんな中で、自分のページに足を止めていただくためには
キャッチコピーのようなものも有効です。
勿論明確な嘘はNGですが..

私はSNSだと「豚野郎」という俗称(?)にしていたり
生産している豚肉を表す言葉に「飲める脂」なんてコピーをつけています。

勿論、実際ガブガブ飲めるというわけではありませんが
「さらっとしていて、もたれない、旨味が詰まった出汁のような脂」
ということを端的に表すには良い名前だなと思っています。


終わりに

現在インフルエンサーマーケとか、SNSマーケとか、ブランディングという言葉はバズワードみたいになっていて、ジャンクな意味合いすら持ち始めてるような気がします。
人によって理解や解釈は様々ですし、何かを否定しようという気持ちはありませんが
マーケティング(いわば商売)の本質は買いたくなるように煽る、みたいなものよりも
徹底的なお客様視点/顧客起点の発想で、いかに生活を豊かにするお手伝いができるか?を考えることに根ざしてるのではないかな、と私は考えます。

顧客の購買心理を煽ってやろう、みたいな考え筋でいれば、いつかはその手が通じなくなる日が来るでしょう。すでにきているかも知れないし、自分自身にもそういったリスクはあるなと感じることはあります。
我々は、「売らない」ことは自分の意思でできるかも知れませんが、
「売る」という行動は自分の意思ではどうやってもできません。
最終的にはお客様に買っていただくことしかできない。
その意思決定を下してもらうために様々な手法を試したり、試行錯誤を繰り返していくこと、これに尽きるなと改めて思います。

正直、、どのプラットフォームだからとか、サイトが美しくないとか、いろんな懸念はあると思いますがまずは不完全でもいいから始めることが重要だと思います。

ここまで偉そうに書いておいてよく言うよ、と思われてしまうかもしれませんが、、ここまで事業者として販売に取り組んできた中での学びの一部です。
そしてまだまだ発展途上の身です。

私はどうしても自社ECで始めたくて、Wixのweb shopを数年前に作ったところがスタートでした。ど素人の手作りで見づらい上、見栄えが良いとは言えないサイトでした。
そこから様々な施策や商品製作、SNSでの取り組み、クラウドファンディング、それを遥かに凌ぐ失敗の数々を繰り返しました。
しかし積み上げることが大事でして、使いづらさを乗り越えるくらいの強い絆を繋ぐことが、美談でもなく大切だと、今でも感じています。
当時使いづらかったECに通ってくださったお客様には頭が上がりません。
紆余曲折を経て3月に新たなオンラインストアを開設しました。


1度、お客さんを呼び、購入していただくことも難しいですが
それよりも2度目、また頼もうと思ってもらうところに販売の本質が詰まっているなと強く感じます。

ネットで販売をする時、対面ではゆっくりできた細やかな説明だったり、その臨場感や熱を同じように伝えることは非常に難しくなります。皆忙しい世の中で滞在して文を読んだりゆっくり動画を見てくださることもなかなかない。
私自身、リアルでのイベントなどを通してその想いや熱含め商品の良さを体感してもらうことを大切にしていたので、今は苦難の連続です。
だからこそ想起を大切に様々な嗜好を凝らして伝えること、伝え続けることが大切だなと一層感じます。

少しズレてしまいましたが、、
冗長な記事を最後まで読んでくださり、誠に有り難うございます。

少しでも、何かお役立てできたら幸いです。

↓続編↓

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筆者の連絡先をこちらに失礼します。
もし、ご相談などございましたらお気軽に連絡くださいませ。
nobuhiro@yamanishifarm.com

自己紹介

倉持 信宏(くらもち のぶひろ)

株式会社山西牧場 代表取締役
1990年生まれ。明治大学農学部卒。卒業後家業の山西牧場に籍を置いた上で農場勤務、1年のスペイン留学。帰国後ハム工場での研修を経て自社生産豚肉の販売事業・OEMでの加工品製作に着手しました。
2018年5月に自主制作での自社サイトおよびウェブショップを製作しwebでの販売を開始。
2019年、自社サイト製作、リブランドを目的としたクラウドファンディングを実施後、2020年3月に農場直送ブランド「三右衛門/3 é mon」を立ち上げて今に至ります。
商品企画からマーケティング、営業、オンラインストア展開など、商品が生まれるところからお客様の手に届くまで全ての工程に携わっています。

もしよろしければ弊社のウェブショップも覗いてみてくださいませ。

主にTwitterで発信しています。


ちょっと、いいコーヒーが好きです