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スヌーズ機能と陸上、そして寂しさ

どうぶつの森並みのスローライフを送っていたGW期間。すっかり身体がなまってしまったぼくは、再び深夜のランニングを始めた。最近の再生リストはもっぱら阿部真央さん。

いつもの用水路コース。ふと道沿いの公園に目をやると、灯りに照らされた大学生くらいの男女が2人で愛を育んでいた。BGMのせいか恋愛映画のワンシーンの中にいるみたいで、路駐してある彼の車の初心者マークすら、何かの暗示のようにみえた。

二人からすれば、ぼくは10分おきに時刻を知らせるスヌーズ機能だったかもしれない。多分うざかったと思う。すまんかった。

スヌーズ機能は思春期だ。お母さんに7時に起こして!って言っておきながら、いざ起こされるとイラッとしてしまう。困ったことに、未だにスヌーズ機能を無視して寝続けてしまうのだが。いつまでもあると思うな、親とスヌーズ機能。みんなも心に刻んでおこう。

そんなことを考えていたら、もう1周してしまった。公園の二人は砂場のブロックのうえで、忖度手押し相撲をしながら愛を深めていた。こころのダメージもあってか、いつもよりも早めにバテた。

体力がなくなってきたときは、踵を遠くに出す意識で走ると、脚が前に出て楽になることを見つけた。誰に習ったわけでもないが、身体の動きを意識すれば走り方ひとつとっても工夫ができる。

ただの深夜ランナーでさえそうなのだから、陸上選手の技術の量は相当なものだろう。100mであれば、10秒の中に思考や技術や努力が詰まっている。そうしてようやく0.1秒縮むかどうかという競技。すげぇ。

誰が1番走るのが速いか。そんなシンプルな競争を、創意工夫で競技に発展させてきた人間って面白いな。人類が走ってきた歴史の壮大さを感じてか、ぼくの走るスピードも上がっていた。

しまった、さっきよりも早く1周してしまった。走る喜びから一気に現実に引き戻された。スポ根はラブロマンスには勝てないのか。二人からすれば、スヌーズ機能がアドリブで時間を縮めた挙句、音量まで大きくしてきたのだから驚いたと思う。本当にすまんかった。

再生リストも最後の曲になったし帰るか。公園を背に帰路に着く中、聴こえてくる「叶わぬ恋を夢見ては、今日も一人眠りにつく、、、」という歌詞。唇を噛みしめながら帰宅。ヤケ酒ならぬヤケプロテインをキメた。

もうあのコースで阿部真央さんを聴くことはないだろう。


みんな、ぼくにイチ推しの曲を教えてください。


(終)


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エモいじゃ、もったいないよ。

乞うご期待。

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