見出し画像

3.メリット・デメリット - はじめての通信販売&Eコマース

※本記事は2005年に作成し、自身のホームページ(Chikunai.net)で2016年ごろまで公開していた記事をnoteに転記したものである。私の管理不行き届きで、ホームページを失ってしまった。なるべく2005年の頃のまま転記するため、今読むと古臭さのある点は、ご理解いただきたい。このシリーズのトップはこちら→「はじめての通信販売&Eコマース

次に通信販売という業態の特徴です。基本的には店舗業態と相反している事は誰にでも分かると思います。消費者と直接対面して取引きはせず、広告や通信を利用した取引きです。通信販売を企業と消費者側でメリット、デメリットをまとめると、以下のとおりになります。デメリットをフォローしつつも、いかにメリットを生かすか。それが通信販売で成功する戦略だ。

企業側のメリット

  • 立地の良い場所に店舗を出展しなくても良い。家賃や販売員の人件費などの店舗運営コストがかからない。

  • 対象となる消費者が広い。広告をうった範囲だけ顧客となる。広告の効果測定も可能。

  • 中間マージンの排除。直接販売なので中間マージン分を自社利益、もしくは商品の値下げに利用できる。

企業側のデメリット

  • ウィンドーショッピングされない。店舗を持たないため、消費者にブラっと来店されない。

  • 広告に依存。広告の内容によって売上の成否がかかる。

  • 代金後払いの場合、商品到着後に代金が支払われるかかわからないリスクがある。

消費者側のメリット

  • 仕事などで忙しくても自宅で買い物ができる。

  • 遠隔地の特産品など店頭に置かれない商品が簡単に手に入る。

  • ネット通販の場合、価格の比較が簡単である。

  • 物を運ばなくて良い。

消費者側のデメリット

  • 商品を手にとれない。形、品質がわからない。

  • 代金先払いの場合、商品が届くかわからないリスク。

  • すぐに商品が手に入らない。物が届くまでに時間がかかる。

企業側にとって、通信販売のもっとも大きなメリットは、商品は宅配便など運送会社を使って届けるため、店舗を持たなくて良いところです。大都市、駅に近い、人通り大通りに面しているなど、立地の良く家賃の高い場所に店舗を出す必要がないので、店舗運営コスト(家賃・人件費など)があまりかかりません。本社も都市部に置く必要がありません。このメリットを享受している企業は以下のとおり。首都圏に本社を置いていません。

  • 大阪府:株式会社千趣会(ベルメゾン)

  • 香川県:株式会社セシール

  • 福岡県:株式会社やずや(やずやの香栖)

  • 福岡県:キューサイ株式会社(キューサイの青汁)

  • 長崎県:株式会社ジャパネットたかた

ベルメゾン、ジャパネットたかたと、意外な企業が挙がっていて驚かれているのではないかと思います。これから分かるとおり、通信販売は地方でも十分ビジネスチャンスがあります。むしろ、特産品・名産品などある地方のほうが通販としては面白いです。ただし、都市部から離れすぎても問題な事もあります。それは企業経営にとって重要である優秀な人材確保が、都市部から離れれば離れるほど難しくなるためです。もし、事業が軌道に乗ってきたら、市や県庁所在地へ本社を移転したほうがいいでしょう。
 また、店舗をもつ業態は店舗開設などの初期投資にお金がかかります。アントレなどの独立開業本に例が掲載されていますが、お店を開く初期投資に1,000万円ぐらいは使っています。店のデザインをこだわればこだわるほど値段が跳ね上がります。これで成功すればいいですが、失敗した場合のリスク(1,000万円の損失)は大きいです。しかし、通販の場合は自宅を本社にしてしまえば、初期投資がまったく抑えられます。初期投資でかかるのは、商品の発注仕入れ(もしくは製造)、広告費、受注を取るための電話があればいいです。自宅から小さくビジネスを始められるのです。

中間マージンを排除できる事も特徴です。メーカーにとっては店舗は持たず、スーパーや大手量販店に卸しているケースもあります。この場合、量販店や仲介となる商社に対し安い値段で卸します。しかし通信販売の場合は、メーカーと消費者が直接取引できます。卸価格の値引き分が自社利益となったり、販売価格の引き下げ努力につなげられます。もちろん、通信販売の運営コストがかかるので、丸々自社利益とはいえません。

消費者側には、自宅で購入できて商品を届けてくれるメリットも大きいです。サラリーマンやOLは、平日仕事で忙しく買い物に出かける時間がありません。せっかくの休みを買い物に一日中駆け回りたくないものです。通販であれば、昼休みに電話や会社のパソコン、夜は自宅のパソコンなどで購入申し込みができます。地方や離島に住んでいる人は、自宅からハガキやFAXなどで商品の購入申し込みができ、わざわざ都市部の百貨店・デパートまで出掛けなくとも買い物できます。重い商品の持ち運びを敬遠したい高齢者、病人、女性は、自宅まで商品を届けてくれて便利です。高齢化社会にはぴったりの業態と言えます。
大抵どこの通販企業でも、フリーダイヤルや郵便料金受取人払といった購入申し込みにかかる費用を通販企業側が負担しています。また、商品のお届けについても、商品の購入金額が一定金額以上に達した場合、送料を無料にするなどの措置をとっています。消費者が購入しやすい環境を提供しているのだ。

大きなデメリットは、消費者が商品を手に取れないところです。本やCDなど、どこで買っても品質の変わらない物には不安が無ありません。しかし、洋服や靴などは届てみないと、色、形、質、性能がわかりません。商品によって購入を躊躇してしまう不安要素が存在します。企業側は消費者の不安を取り除く売り方をしなければならない。通信販売において買いやすい売りやすい商品は、品質が変わらなく、どこでもある一般的な商品です。以下のものがあげられます。ただし、どこでも取り扱っていて競合他社が多いデメリットもあります。

  • 書籍

  • CD、DVD

  • ゲームソフト

  • パソコンソフト

  • 保険

  • 株式

支払いの後払い方式については選択の一番最後としたいところです。後払いの代金回収率はよくないため、債権が回収できないリスクを背負わなければなりません。後述しますが、先払いの支払方法に限定したほうがシンプルで運営しやすいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?