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僕の夢物語 理想の町10                                 ~買い物難民解消~

 公共交通が発達していない地方では、家庭に1台ではなく、一人に1台の車を持つことが普通の社会になっている。車を運転できなければ、買い物もできず、生活に支障をきたすことばかりである。
 高齢者でも運転しなければ生活できないので、無理して運転を続ける高齢者も多く、極めて危険な状態にある。
 歩くこともままならない高齢者が、杖代わりに車を運転しているような状況もたくさんあり、その運転は交通事故を引き起こしかねないような危ういものである。
 高齢社会を迎える日本全国とも共通の課題となっているようである。
 殊の外、買い物ができないというのは致命的である。

 夢野市でも、郊外に大型ショッピングモールやコンビニができ、車を運転できる人にとっては大変便利になっている。
 一方、山間地域をはじめとした郡部では、これまで住宅の近くに有った商店が次々に閉店し、食料品をはじめ日常の生活物資を身近で手に入れることができない状況になっている。
 パソコンを使いこなせば、自宅に居ながら買い物ができるサービスもたくさんあるが、高齢者にはなかなかパソコンの操作も難しく、生鮮食料品をはじめ生活必需品を賄うには高いハードルがある。
 スーパーなどの移動販売や、生活協同組合の宅配なども行われているが、それだけでは買い物難民の抜本的な解消には至っていない。

 吾一が夢野に進出してまずやったことの一つは、ケーブルテレビを活用しての買い物難民の解消だった。
 夢野市ではケーブルテレビが運用されていたが、加入率は50%を下回り、運営もままならない状況にあった。
 吾一は夢野市進出早々にこのケーブルテレビ会社を買収し、再生させた。
 初期費用を無料にし、利用料を下げ、更に、ケーブルテレビを視聴することで様々なサービスが受けられる特典を付与するなど、あっという間にほとんどの世帯を加入させていった。
 パソコンには抵抗感のある高齢者もテレビには抵抗感はない。
 インターネット環境のない高齢者も双方向でのケーブルテレビを通じ、簡単に、自宅での買い物環境を手に入れることができた。
 ケーブルテレビをベースに、地域ごとに買い物を手助けする人を配置し、エリア内の高齢者の自宅を訪問させ、必要なものを届ける仕組みを作り上げた。
 この仕組みは、行政とも連携し、高齢者の安否確認や要介護者への配食サービス、あるいは社会福祉協議会などが運営するデイサービス活動なども取り込み、買い物支援にとどまらず、官民挙げての複合的な事業として実施されていった。
 行政だけ、民間だけでは実現できない安心して地域で住み続けることができるサービスが、夢野市では、様々に実現されていった。
 
 僕の夢物語 理想の町11 ~中心市街地活性化~ へ続く


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