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第2話 まるでアットホーム!川口農場

3年小笹瑠唯 3年池森千夏 2年加藤蓮

私たちは川口知紘さんをはじめとした川口家のみなさんに受け入れていただき、川口農場で畑作体験をさせていただきました。この記事では、私たちが川口家のみなさんとお仕事をさせていただいた中で感じた人柄や、どんな仕事、暮らしをされているのか紹介したいと思います。

1.「じゃがりこ」の芋の生産者ってどんな人???

家族構成は川口知紘(ともひろ)さんと、その奥さんの舞さんはなんと元保育士とのこと。そして父親の修さんと母親の亜矢子さん、祖父の一男さんと祖母の時子さんで、三世代で家族経営しています。耕地面積は56haで、北海道の平均耕地面積が27haのため、ほぼ倍になります。

1年の農作業の流れはこのようになっています↓

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生産物は畑作4品の小麦、豆類、ビート、馬鈴薯と切り干し大根用の大根となっています。まず、4月の上旬にビートの苗を植えます、そして下旬から5月中旬ごろにかけて、いもとビートを植えます。5月下旬から6月にかけて小豆、手亡の豆まきをし、豆まきが終わる頃に草とりをし始めます。そして7月から8月にかけて秋まき小麦を収穫し、8月下旬から9月にかけては私たちもお手伝いさせていただいた馬鈴薯を収穫していきます。9月は中旬から秋まき小麦を撒き、10月いっぱいで豆の収穫、中旬から同時にビートを収穫し、下旬から11月にかけて、畑の整備をして1年の仕事を終えます。
お仕事されている期間はずっと畑に入っている状態で、私たちが体験させていただいた9月はとても忙しい時期になります。農業は収穫量などで収入が変わるにもかかわらず、受け入れてくださったことにありがたさを感じました。

また、冬場は作業ができないため、知紘さんは除雪のお仕事をしたり、舞さんは隣町にアルバイトをしたり、時には海外などに旅行に行くそうです。農業は、春から秋にかけて大変ではありますが、冬の過ごし方は自分たちで決めることができるため、思ったよりも自由度の高い暮らしぶりです。

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川口知紘さんをはじめとする川口家の皆さんとのヒアリングは終始和やかな雰囲気で、かつ真剣な眼差しで質問に答えていただきました。ヒアリングの中で私たちが特に印象に残る話を紹介したいと思います。まず、知紘さんによると、検査の厳しいカルビーにあえて出荷しているのだといいます。その理由は、「自分の作る生産物に自信があるから」とのことです。このような内容を熱弁してもらいましたが、知紘さんは横のつながりも大切にしています。特に収穫期の忙しい時期には、友人に手伝いに来てもらっています。つながりを大切にしているからこそ、ときには気心の知れた人を呼んで忙しい収穫期を乗り越えています。

また、後ほど説明しますが2年前から豊頃団志の活動をきっかけに東京で特売を経験し、生産者と消費者が互いに顔が見える状態で売買したことで、「下手なものは作れない」「これから成長していく子供たちのためにも安全なものを作らなければいけない」と実感し、生産者としての責任感が増したとのことです。そして、「他の生産者にも感じてもらいたい」という思いも同時に芽生えたそうです。

2.馬鈴薯の収穫体験 **

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馬鈴薯の収穫は、ハーベスターでこれらが往復しながら収穫するのですが、収穫してコンベアーから流れてきた馬鈴薯を選別し、ハーベスターが方向転換したらまた次の馬鈴薯が流れてきて選別し、これを何度か繰り返したら、ハーベスターはコンテナが置いてあるところまで移動して大量の馬鈴薯をコンテナに注ぎ込み、そこで収穫のときに見落とした規格のあっていない馬鈴薯をある程度取り除き、馬鈴薯でいっぱいになったコンテナをカルビーの工場まで運びます。この流れを繰り返します。

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その中で今回私たちが担当したのは馬鈴薯の収穫の部分です。私たちは朝8時過ぎから馬鈴薯収穫用のハーベスターに乗り、馬鈴薯の収穫を手伝いました。私たちが担当したのは、コンベアーから流れてくる大量の馬鈴薯を選別する作業です。馬鈴薯は写真奥から手前にかけて流れてきます。ある程度小さいものは流れてくる途中に落ちていくのですが、それでもまだ小さいものは取り除きます。ほかにも、舞さんに教えてもらいながら緑化している物、形が欠けているものや変形しているものなどを取り除きました。
この作業は、最初は単純作業に思いましたが、大量の馬鈴薯が一気に流れてくるため、作業に慣れていない私たちは明らかに腐っているものを選別するのが精いっぱいで、取り除かないといけないものを見つけた時には届かないところまで流れてしまっていたり、ほかの馬鈴薯の中に埋もれて見失ってしまうなど、コンベアから流れてくるスピードについていくことができませんでした。
昼頃の中盤になると慣れてくるのですが、馬鈴薯が流れてきた始めのほうで学生3人がかりで選別したつもりでも、最後のほうで選別している舞さんが常に手を動かしていて、わたしたちが選別していてもまだまだ規格に合っていないものがあるとのことでした。明らかに腐っているものなどのほかに、にぎるととてつもなく柔らかくて中身が腐っているものもあり、触らなければ腐っていることがわからないものや、私たちがこの大きさなら大丈夫かなと思ったものでも全然小さいものもあり、目で追うだけでは不十分です。そのため、流れてくる馬鈴薯は少し怪しいなと思ったら触って確かめる必要もあります。見落としが多いと、この後に出荷するカルビーの工場で検査されるときにひっかかってしまう確率が上がってしまいます。せっかく収穫した立派な馬鈴薯を、たまたま入っていた規格に合っていない馬鈴薯が検査に出されてしまうと、検査時の点数が下がってしまうのです。
このことを知り、しっかり選別しなければという責任感を持ちながら真剣に取り組みました。

そうした一方で、作業中はコンベアーから流れる音楽・ラジオの下で天気も良く壮大な景色の中で終始和やかな雰囲気で作業ができました。また、川口農場のみなさんが、「おやつ休憩は大事」と口を揃えておっしゃっていたように、作業の合間にあるおやつ休憩を楽しみにしていますが、「作業中はとにかく無心」であることもお聞きし、同じ作業を毎日続けている中でおやつ休憩などの楽しみを見出しているのは面白いなあと思いました。私たちも、途中でおやつ休憩があることで「よし、がんばろう」とメリハリつけることができました。

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2.カルビーの工場への出荷

馬鈴薯を収穫したあと、私たちは特別に出荷先であるカルビーの工場まで同行させていただきました。私たちがつい先程まで収穫していた馬鈴薯が目の前で検査されて、フォークリフトで倉庫へ運ばれます。
まずカルビーの工場に到着するとコンテナを検査台のところまで持ち込み、検査員の方がコンテナに入っている馬鈴薯の一部を検査にかけます。その際、馬鈴薯についている泥などは水で流し、馬鈴薯の中まで緑化していたり腐っていないか、切りわけて確認します。いくつかの馬鈴薯を検査し、点数化することでそのコンテナに入っている馬鈴薯の価値がきまります。

カルビー工場まで連れ行ってくださった、川口知紘さんのお母様、亜矢子さんは「収穫した馬鈴薯を検査され、評価をつけられるときが緊張する。だから工場に出荷するときは最後に念入りに傷んでいるものがないか確認している」と話しているように、カルビーの工場は品質検査の基準が厳しいため、コンベアーから流れてくる馬鈴薯をしっかり分別することは大切なことなのです。そして、検査されたあと、その馬鈴薯がじゃがりこやポテトチップスになって私たち消費者のもとに届きます。


3.和やかな雰囲気での農作業が楽しい

普段、関わることのない農作業だったので、初めは戸惑いを覚える場面が多かったです。しかし、アットホームな雰囲気に迎えられて、私たちの戸惑いや緊張は解消されました。川口家は、おやつ休憩のときは外の自然に囲まれた中で、籠をテーブルがわりにして和菓子やチョコレートをたくさん持ち寄り、ジュースを飲みながら家族でコミュニケーションをとっています。川口家のみなさんは話し上手で、父の修さんに対して智紘さんが時々ツッコミを入れるなど賑やかで、まるでアットホームな安心感がありました。また、仕事にメリハリがあり、1日が終わった時の達成感がありました。

4.一方で大変なことも

私たちは生産者の側に立って、農産物を生産する一端に触れました。その立場になってはじめて、生産現場の大変さに気づきました。学生のうちの一人はハーベスターに酔ってしまったり、後半になると馬鈴薯を選別するとき目が疲れるなど、、、
しかし、川口知紘さんの奥さんである舞さんが「もう少しでお菓子休憩だから頑張ろう!」といってくれたり、「私も馬鈴薯の分別に慣れるのに時間がかかったよ」と話しかけてくれて、舞さんの明るく穏やかな人柄に癒されました。
印象に残っていることとしては「週間天気予報がシフト表」であるということです。数日後に雨が降るなど、事前に天気が悪くなることがわかれば、いつもより長く畑に入り収穫しておくように心がけています。雨の日には畑に入ることができないため休みとなります。このように、常に雨雲レーダーや複数の天気予報を見比べ、天気を把握することで畑仕事の時間を調節することから、「週間天気予報がシフト表」といえます。天気などの自然条件に左右されやすい点は大変ですよね。また、私たちが伺った9月は繁忙期真っ只中にありました。忙しい時期には朝から日が落ちるまで畑に出ることもあるそうです。
そして、農業は酪農とは違い、1年単位でしか収入がわからないため、できるだけ多く、効率よく収穫することが重要になります。

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5.大変だけどその分収穫できた時の喜びは大きい

上記でふれたような大変なこともありますが、「自分で一から育てた作物を収穫する時の喜びは大きい」と知紘さんは話しています。私たちもたった1日ではありますが、収穫した馬鈴薯をカルビーに卸しに行った時は嬉しかったです。農作業を手伝い終えた時の達成感も心地よいものでした。やはり、大変なことが多い分、その後の喜びも一入です。体を動かした後のビールはとても美味しかったです(笑)。

6.農業以外の活動:豊頃団志

上記でも触れましたが、知紘さんは豊頃団志のリーダーとしても活動しています。豊頃団志とは、豊頃町在住の住民が町のPRや町づくりを目的として結成した団体のことで、ワークショップやイベントの開催、モニターツアーのアテンドなどを行なっています。以前は豊頃町に住む若い男子が中心となっておこなってい活動でしたが、現在は、町づくりに関わっていきたいという町の方々が参加できるようになり、豊頃団志は町のみなさんで豊頃町について考えるコミュニティの1つとなっています。
知紘さんは、豊頃団志の活動を通し、生産者として直接消費者の方に売買することで消費者の声を聞くきっかけになりました。この経験は商品を作っていく中でのモチベーションにつながっているそうです。

豊頃団志の活動は、最近は2019年の2月8日から10日までの間に、豊頃町モニターツアーを開催し、豊頃町への移住体験プログラムを実施しまして、西村ゼミからも数名参加させていただきました。今回は道内外合わせて12名が参加し、酪農体験や氷上遊び、チーズづくり、ジュエリーアイス を実際に見るなど、冬ならではの豊頃町が満喫できるようなツアーが行われました。智紘さんはこのツアーにも、豊頃町を活気づけるためリーダーとして参加されました。

↓モニターツアーの様子です




7.おわりに

川口家のみなさんは家族で畑仕事をされていますが、家族で営んでいるからこその、アットホームな雰囲気に魅力を感じました。私たちが体験したのは1日だけですが、この1日だけでもすごく疲れてしまいました。だからこそ、この作業をみなさんは毎日行っていることに尊敬しました。大量に押し寄せてくる馬鈴薯を分別するとき、目を凝らして見極めるにはとても頭を使います。しかし、みなさんの明るくて元気な人柄と気さくにたくさん接してくれたことで、楽しく作業することができました。
農業は大変なイメージが強いと思いますが、それ以上に達成感があり、川口家のみなさんのように、メリハリつけながらも支えあいながらやることで、大変さも喜びも分かち合えます。

川口家の人柄の良さがこの記事を通して少しでも伝われば嬉しいです。

今回の農業体験を受け入れてくださった川口農場の皆様に深く感謝の意を申し上げます。ありがとうございました。

このページを書いた人

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氏名 池森千夏
所属 北海学園大学経済学部3年
出身 札幌
豊頃町のイメージを一言で表すと 気さくで元気な人がたくさんいる町だと思います。川口知紘さんは豊頃団志として活動しているなど、豊頃町の町づくりに積極的な方もいる町です。
一言感想 農業は大変なイメージしかありませんでしたが、実際にハーベスターに乗って作業したときに酔ってしまうなど、苦労した部分もありましたが、その分の達成感は大きいです。壮大な自然の中で作業することも開放感があって楽しかったです。貴重な体験をさせてくださり、ありがとうございました。

氏名 小笹瑠唯
所属 北海学園大学経済学部3年
出身 足寄町
豊頃町のイメージを一言で表すと 大根と朝日堂のドーナツが有名
一言感想 

氏名 加藤蓮
所属 北海学園大学経済学部2年
出身 札幌
豊頃町のイメージを一言で表すと アットホーム

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