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おじさんとうさぎ #4「チョコとララのロマンス」

今日もうさぎさんたちは元気いっぱいです。
環境順応性の高いおじさんは、すっかりうさぎさんの世話にもなれ、えさをあげたあとにたんたんと小屋の掃除を終わらせました。
その後、おやつにうさぎ達は大好物、新鮮採れ立てのサンチュをおじさんからもらって、みんな大喜びで食べていました。

「君達これは、サンチュだぞ、サニーレタスじゃなくて、本物のサンチュだぞー」
おじさんの会社で育てている、そこらの焼肉屋さんでもなかなか食べられない本物のサンチュをあげていることに、おじさんは奇妙な喜びを感じ土木のおじさんは毎回サンチュをあげるときそう話すのでした。

サンチュを食べているときのララと子供達は、どういうわけか無念夢想の境地といった、いぶしぎんな顔をする。
おじさんはそんな顔をみるのが大好きでした。

無念無想のララの顔

おじさんは、お父さんのチョコにも同じようにサンチュをあげながら、チョコとララが初めてであったときのことを思い出していました。

うさぎたちのお家がまだ豪華二階建てに変貌を遂げる前、チョコはララ御殿のとなりにひっそりとケージと本当に小さなお庭のついたお家にすんでいました。
日も当たらず、チョコの運動場といえば、ケージからちょいと飛び出して前の小さな小庭を行ったりきたりする程度で、隣のララの家とは比較にならない惨め生活でした。
そしてそのうさぎ達の上、二階は使っていないタイヤが積まれており、おじさんは最初そこを改造する気などありませんでした。 

ララとチョコは御互いを意識しているようで、おじさんの目からはどうやらチョコはララに一目ぼれしているように思え、土木のおじさんはそのまま二人隣同士にしてあげたいという粋な親心を抱いていました。

しかしそんなある日、事件が起きました。
なんとチョコの家の前に大きなムカデが現れたのです。
土木のおじさんは
「うわ、このやろう」
一瞬驚いた直後すばやく長靴でムカデをぐしゃっとやっつけたのでした。

しかしその翌日、おじさんがチョコのケージの下を片付けているとなんとすのこから落ちたチョコのえさに大きなムカデがへばりついているでありませんか・・・
おじさんはその時、日当たりが悪く風通しも悪いチョコのお家を二階のタイヤ置き場に引っ越そう、そう考えました。

こうしておじさんの最高傑作の豪華二階建てハウスが誕生、はじめは戸惑っていたチョコもそのすばらしい眺望、そして広い住環境をかなり気に入った様子で、毎日中でのそのそ歩きまわっていました。

豪華な二階フロア

そんなある日、おじさんはある行動をとったのです。
なんとララとチョコをつなぐ、一階と二階の仕切りを取り外し下のララの部屋からチョコの部屋への通路をつなげたのです。
おじさんはニコニコしながら小屋の前に腰をおろし香取線香に火をつけて、じっと豪華うさぎハウスをみつめました。

早速異変に気が付いたのは、好奇心旺盛のララです。
ララはおじさんが作った木箱をぴょんぴょん飛び跳ねて、そのまま一気にチョコの部屋へ・・・
愛しのララが目の前に現れてチョコもびっくり、まるでロミオとジュリエット、おじさんは二人の恋の行方を静かに楽しそうにながめていました。

愛しのジュリエット、ララの登場にチョコは大興奮!いきなりララに飛びついて腰振りダンス、ダンス、チョコのランバダダンスのはじまりです。
これにはおじさんも驚き、
「チョコ、おとなしい君もやっぱり男だったんだな」
そんなことをうれしそうにつぶやいて、静かに様子をながめていました。

驚いたララはあわてて逃げ回りチョコのランバダをかわしながらとびはねていました。
しかしララも只者ではなく、そのドサクサにチョコのご飯をぜんぶ平らげてしまいました。

およそ20分ふたりは、せめぎあいを繰り返しては、かなり疲れたのか休み、またせめぎ合っては休みそんなことを繰り返していましたが、やがてチョコはおてんばララに逆転され、今度はララに覆いかかられたじたじでした。

土木のおじさんはしかたなく二人を引き離し、ララを自分のお家にもどしました。
はじめてのララとのロマンスに敗れたチョコは、きょとんとした顔でおじさんを見つめていました。

「チョコ、君の求婚はかなわなかったなー」
おじさんはそんなチョコの頭をやさしくなでながらやさしく語り掛けました。
その後おじさんは、いきなりチョコに操を奪われそうになって驚きを隠せないララの元に顔を出し
「ごめんな、ララびっくりしたか」
そういいながらララの大好物の乾燥パインを手の平にのせララの前にさしだしました。
しかし、傷心しきったララはパインに見向きもせず、小屋の奥でおちこんでいました。

おじさんはそんなララに、なんども「ごめんな、ごめんな」とあやまって、その日は家路につきました。
初めての求婚にふられてしまったチョコ、おどろきの体験に動揺しながらも見事にチョコのエサを平らげたララ・・・
離れ離れにされた二人の上には、少し掛けた綺麗な月がやさしく輝いていました。

つづく

※うさぎさんの繁殖について、おじさんは当時軽い気持ちでララとチョコを一緒にしてしまいましたが、生まれた子ウサギの里親さんのことや、母うさぎの子育て放棄など、いろんな問題もありますので、おじさんのように軽い気持ちで行うことは危険です。振り返ってこのことだけはお伝えします。

今回も可愛いララとチョコの子ウサギたちの写真を紹介します^^

最後まで読んでいただきありがとうございます。このお話は2007年から約9年間、おじさんの会社でみんなから愛されていた可愛いロップイヤーウサギと土木のおじさんの楽しいエピソードです。
今では月に帰ってしまったウサギたちですが、可愛い写真に心和ませていただけたらうれしいです。

続きはこちらです↓

前のお話はこちらです↓

おじさんとうさぎ目次です↓

土木のおじさんのWEBサイトです。
可愛いイラストなど公開しています^^↓


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