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今週のBloombergより

◆米経済の足腰強く、リセッションリスクはますます低下している。年前半のM&A(ディール金額ベース)はまだ前年比▲4割と低調だったが、パイプラインは着実に増えており、M&Aは今後増加に向かう。Evercoreはそれに備えてハイスキル人材を積極的に採用中。

◆FEDは「ガイダンス皆無/100%データ次第モード」に入り、金利の不透明感は本来高まっているはずだが、今局面での債券市場の落ち着きは特筆に値する。

◆需給がタイトなサービスから、供給余力のあるモノに需要がシフトしているのはインフレ退治にとっても朗報。90年台のインターネット同様、AIが生産性の向上(インフレ抑制要因)を(特にアーリーアダプターで)既に引き起こしつつある可能性もある。AI投資は米内需のサポート役にもなっている。

◆カーブのインバートで債券市場はずっと読み間違え続けている。来年の利下げ織込みがこれから更に剥がされる可能性は十分ある。しかし、過去の低金利局面と違って、今の債券には非常に高いクーポン(インカム)があるので、それを享受するため(トータルパフォーマンスは2の次でよい)と割り切って投資すれば十分魅力的。

◆但し、ハイイールド、レバローン、プライベートクレジットなどは今後金利更改が進むにつれて利払いコストが大きく上昇するので、注意して見ておく必要がある。

◆日本の金利正常化はまだ始まったばかり。円金利はじりじり上昇するだろうが、よほどのバランス変化がない限り、外債から円債への回帰(海外長期金利の上昇)を引き起こすわけではない。0.57%まで上昇した10年JGBの今後の動き次第(既に材料消化済/混乱収束と見做すのは危険)。

◆米国と違って、ユーロ圏では金利急騰が企業借入急減による予想以上の景気減速を引き起こしていることが判明した。

◆経営難のパックウェストがカリフォルニア銀に買収されたが、同様のディールは今後も散見されることになりそう。地銀の統廃合は超長期トレンドで今に始まった話ではなく、金融システムを揺るがすようなこともないが、その度に低所得者層、マイノリティ、零細企業などが銀行アクセスを失っていくのが問題。

◆今週のサプライズはFEDでもECBでもなく、BOJから来た。YCC柔軟化はBABYステップではあるが、金融引き締めに向けた非常に重要なアクション。インフレ退治のバトンがFEDからようやくBOJに渡った格好。

◆日本人投資家の円債回帰で、外債が売られるかもという懸念があるが、円債の利回り上昇は非常にゆっくりしたものになるはず。少なくとも今のところ米債需要は非常にしっかりしており、心配なさそうに見える。

◆米ハイイ―ルド債スプレッドは、経済のクラックなきインフレ低下とキャリー/インカム選好環境継続を好感して370bpまでタイト化。かなり値上がりしている株との対比ではまだバリューありそうに見えるが、そろそろ慎重になるべきか。

◆5.25%もの急速な利上げを受けても経済がまだ底堅いのは、個人も企業もバランスシートが意外と堅固/健全だったということだろう。しかし、大きな氷山のように、氷は少しずつ融けている。


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