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不適切な表現

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「季刊レポ」発行のメルマガ「メルレポ」2012年7~9月配信分の記事を再構成したものです。
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2015年4月の記事一覧

トルコがソープに変わった日

トルコがソープに変わった日

 トルコがソープに変わった日のことを覚えているだろうか。
 事の発端は1984年9月、一人のトルコ人青年が「愛する祖国の名前が、いかがわしい風呂屋の名前になっている」と当時の渡部恒三厚生相に直訴。それを受けて渡部氏は「貴国の風呂とは何の関係もないのに、いつの間にか俗称が使われている。いますぐ行政の力で命令することはできないが、自粛するよう呼びかける」と約束した。
 厚生省は、公衆浴場に外国の国名、

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阪神はめんどくさい

阪神はめんどくさい

 しかしまあ、何だかんだ言っても相手が出版社なら、まだマシだ。一般企業のPR誌とか、クライアントの顔色をうかがいながら作ってる媒体はもっと面倒くさい。基本的にはそういう仕事はあまりやらない。が、それに近い仕事を受けてしまったことがある。

 一部で知られているとおり、私は阪神タイガースの熱心なファンだ。どれぐらい熱心かというと、開幕からぶっちぎりで優勝した2003年、何がなんでも胴上げを生で見るぞ

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中吊りのオキテ

中吊りのオキテ

 電車に乗ると、つい見てしまう中吊り広告。雑誌、とりわけ週刊誌にとっては非常に大事な広告媒体であり、いかに読者の目を引くか、各誌しのぎを削っている。
 しかし、実はあれも何でもアリというわけじゃない。掲示に際しては鉄道会社側の審査があり、表現の変更を求められることもある。結果的に、雑誌本体の見出しと中吊りの見出しが食い違っているケースも出てくるのだ。
 この件については以前に「SPA!」で記事にし

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用字用語集の不思議

用字用語集の不思議

 校閲・校正者が一般の国語辞典とは別に“座右の書”としているのが用字用語集というやつだ。『記者ハンドブック』(共同通信社)、『朝日新聞の用語の手引』(朝日新聞出版)、『読売新聞用字用語の手引』(中央公論新社)など、いくつかの種類がある。
 国語辞典と違って、単語の意味を解説するものではない。載っているのは、漢字や送りがななど表記の基準、類語の使い分け、外来語の表記、紛らわしい法令関連用語の使い分け

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「未亡人」と「寡婦」

「未亡人」と「寡婦」

 かれこれ10年以上、朝日新聞でマンガ評を連載している(南信長名義)。アサ芸と違って老若男女幅広い読者が対象なので、紹介する作品も厳選するし、原稿もそれなりに気を使う。なるべく誰にでもわかりやすい平易な表現を心がけ、チンコマンコとかは最初から書かない。私にだって、そのぐらいの分別はあるのである。
 しかし、それでも思わぬ問題が出てくるから油断は禁物だ。

 タイ・カッブ、ニコラ・テスラなど歴史に名

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