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「毎日同じ場所からグラウンドを見ててみな。」

直近貪る様に読んだ『嫌われた監督』は2000年代のドラゴンズ黄金期を築いた落合博満の監督時代を描いたルポ。その中で落合監督は同書の筆者で、当日中日担当の記者であった筆者に冒頭の言葉をかける。

この言葉は「ルーティン」x「観察」の効果を教えてくれている。

落合監督時代のドラゴンズの象徴の一つは野球史に残る名二遊間コンビのアライバだが、セカンド荒木-ショート井端で始まったコンビを落合は彼の任期の途中からセカンド井端-ショート荒木にポジションを交代している。
それぞれのポジションで野球界トップと言われた二人のポジションをわざわざ交換したのは何故か。

毎日ベンチの同じ席から試合を見ていた落合監督はある年、いつもと同じ様にグラウンドを見る中で二人の選手が“目でボールを追いかける”様になったのに気づいた。彼らはプレーの再現性が高い余りに打球を見ただけでそのボールを捕れるかどうかが分かるようになってしまい、捕れないボールは捕りにいかなくなっていたそう。
きっと素人目には捕りにいったけど届かなかったという風に見えていたものが、毎日同じ位置から見つめる落合監督には違って見えていた。
選手は脚が動かなくなったら終わりと分かっていた落合監督は二人のポジションを交換することで慣れを払拭し、もう一度自分をストレッチする環境を作ることで現役としてプレー出来る期間を伸ばすことを狙った。

当日物議を醸していたコンバートの背景にこんなストーリーがあったこと、落合監督のその観察力に圧倒されると同時に昔上司に聞いた話を思い出した。

その上司は、入社したての頃に自分の担当するコモディティ商品の価格を毎日ノートに付けていた。価格がなぜ変わるのか、その理由は理解していなかったけれどとにかく毎日上げ下げの様子を書き続けている内に最初は傾向が見えてきて、次にはイレギュラーな価格の動きが分かる様になったという。そしてなぜそうなったのかを調べ、同僚や取引先に伝えることで信頼を勝ち得ていったそう。

別に今の時代、毎日何かを手書きでノートに付けるべきだとは思わないけれど、身体の健康でもいいし、仕事のポイントでも、子どもの成長でもいい。日々の大事にしていることでルーティンを作り、観察をすること。毎日繰り返す行動があれば、漫然と繰り返すのではなく、それに観察を加えること。

ちょっと意識を変えるだけで学びを得られるのだという今日の野球からの学び。

https://www.amazon.co.jp/dp/4163914412/ref=cm_sw_r_cp_api_i_GD8GZVH8ANF3P89EQG8Q

PS
文内で出てくるアライバコンビの守備は本当に芸術のレベルなので、是非一回見てみてください!
https://youtu.be/0eAEotclTM4


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