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大学教員のリフレクション:FD研修について

1月22日、昨秋Zoom で実施した北海道教育大学全学FD研修に引き続き、札幌の現地で、実務家教員を対象としたワークショップ研修を担当させていただきました。

来年4月からの授業に役立たせたいというニーズは、まるで学校教育現場の先生のニーズでしたが、現実的にはそれも大切です。そこで、すぐに使えるワークも取り入れました。これは、明日の今年度最後の授業で問いかけたい、来年度の授業スタートに向けて今日の学びを活用して準備したい、と思っていただけたようです。

さて、リフレクションはしばしば技術だと思われているようです。獲得するという意味では確かにそういえるのですが、リフレクションは、取り出して使う技術であると同時に、日ごろから自然に使う思考習慣でもあります。
自分がやったことを、その場で、あるいは後で、そこに関与している当事者の視点メガネをかけて振り返る、というルーチンを身につけることです。

習慣づけのためにワークで練習しますが、身体化のためには一回の練習では身につかず、自分で、あるいは仲間と共に、思考トレーニングを継続する必要があります。

今回のように、3時間で理論の解説とミクロからメゾまでのリフレクション体験はとうてい無理です。私が現場に必要だと思うのは、教育の価値観の転換ですので、それをお伝えしようとすると、「明日の授業に役立つ」ワークの時間が足りなくなります。

でもだからといって、3時間でできる技術の部分を伝えて終わりという研修は、私の本意ではありません。ほんのさわりを体験していただくことしかできないとしても、ミクロ、メゾ、マクロのリフレクションがあって、日本の教育にはマクロのリフレクションが必要である、ということを理解してもらいたい。そう思っています。

使ったテキストは、かつて熊本県教育委員会で現職教員の皆さんを対象に、一年間かけて実施したミドルリーダー研修で使った冊子を基に作られた「教員のためのリフレクション・ワークブック」(学事出版)でした。

(いまは残念ながら高価な中古本しか手に入りませんので、自分の持っていたテキストを放出して何とか対応しました)

出版当初から、教師教育者のために、テキストの解説本の出版が必要と話していたのですが、まだ着手できておらず…。これから改めて学事出版さんとご相談です。


さて、日本のFD研修は、1時間半~2時間の一斉型の講演を前提としていることが多いように思いますが、使える技術を身につけるためには、最低1-2日はかかるものでしょう。あるいは、熊本県の教員研修のときのように継続研修が必要です。技術を身につける前に、それが必要であるということを納得していただくための時間も必要です。今の日本の教師教育に必要なのは、技術のみならず価値観の転換である、ということを理解していただくところからがスタートなのでしょう。知識を実践に結び付けるプロセスを、大学教員が理解して初めて、学生たちにそのプロセスを体験する時間を確保することができるようになるのだと思います。


今回は実践を積まれた退職校長先生たちが主たる参加者で、思考の転換の必要性も実践の方法も、ざっくりと感覚的につかんでいただけたように思います。でも、新しく身につけたことをこれから研究しながら使っていく時間が長くて数年というのは残念です。今後は若手の大学教員や指導主事さんたちに学んでいただく機会があればと願います。

※ フェイスブックのグループページ「教師教育学研究会」には、「こういう会がありますよ」という広報は投稿されやすいのですが、「この教師教育でこんな成果がありました」という投稿はあまりありません。もし教師教育学研究会のグループページで広報が掲載された場合は、ぜひ、報告まで投稿していただければと思います。それが次回の広報になると思います。

また、実践の力のある教師教育者の方が、個人で友達限定で投稿しておられるのですが、友達でないと読めないのが残念です。公開の投稿が増えればいいなあと思います。

ちなみに、広島大学EVRIのウェブサイトには、いつも研修内容の報告があるので参考になります。そういうページがここにもあるよ、という大学や教育委員会はぜひご紹介ください。

#教師教育 #リフレクション #FD #北海道教育大学  

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