見出し画像

本気で学び挑戦する先生たちの母校 【週刊新陽 #169】

新陽高校は、7月25日から8月22日まで夏休みです。

学校祭明けの7月16日以降、札幌でも最高気温30度を超える日があり、短縮授業で午後カットにするなどしてなんとか乗り切りました。

この期間、短縮日課だった中には年間予定で最初から決まっていた日もあります。それが、教員の校内研修の日です。


科目選択に向けた校内授業研修会

まず7月19日(金)に行われたのは校内授業研修会。

今年度、6回開催される授業研修は、講師をお招きし近隣の小中学校や他の高校など外部の方にも参加いただける公開授業研究会と、テーマを絞って新陽の教員だけで実施する校内授業研修会があります。

どちらもベースにあるのはカリキュラム・ポリシーです。

カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)
「生徒の数だけ学びがある」を基本理念とし、グラデュエーション・ポリシーに掲げた資質・能力を育む教育課程を編成し実施します。
・学習者を中心とした学習設計の自由度が高い教育課程を編成する
・様々な学習の機会と環境を最大限に活用した教育活動を展開する
・学習集団における対話とリフレクションが繰り返される授業を実施する

今回は、9月に生徒たちが行う科目選択のための研修を教務部が企画してくれました。

2022年度に単位制カリキュラムに移行してから3年目。全年次が単位制となった状況であらためて教育課程を確認し、現在の新陽高校にどのような学びがあるのか、どのような進路を支援できるか、理解を深めるのが目的。

生徒の気持ちになって時間割を作成しながら、教育課程や科目選択プロセスの課題を明らかにし、必要に応じて改善を加えるための研修です。

前半の時間割作成はまず個人ワークから。過去にいた生徒や現在受け持っている生徒を具体的に思い浮かべたり、志望するキャリアから架空の生徒を想定したり、自分自身をそのまま生徒に当てはめて考える先生も。

最初は黙々と紙の資料やPCの画面に向き合っていましたが、「選択群別の科目一覧」や「科目選択の手引き」など複雑な資料を読み込むだけでも大変です!すると、実際に生徒が科目選択をする時と同じように、自然とあちこちで相談が始まりました。

後半はグループワーク。それぞれが作成した時間割を共有し①〜③を整理しました。
①どんな生徒をイメージして作成したのか
②今の新陽の教育課程の強み
③今の新陽の教育課程の弱み

「生徒の数だけ学びがあり、生徒の数だけ進路がある」新陽だからこその良さと、実現する中での難しさはありますが、秋の科目選択シーズンに向けて今回の研修を活かして準備を進めていきたいと思います。

まずは個々に作業。生徒の気持ちになることで
見えてくるものが色々あります。
生徒役と先生役になりきって相談する先生たち
研修のかたわら、先生たちの意見を聞きながら
プロセスや資料を改善しようと考える教務メンバー

キャリアステージ別研修x「中つ火」

7月23日(火)は、今年3回目の中つ火を囲む会(通称:中つ火)

教職員の対話の場として行っている中つ火ですが、今月はキャリアステージ別研修とのコラボ開催です。

キャリアステージ別研修は今年度から始まった取り組み。企画してくれた号刀先生は、新陽で教員をやりながら福井大学連合教職大学院で学ぶという二足の草鞋を履いていて、福井大での学びや実践研究ラウンドテーブルの形式を持ち込んでくれています。

若手の先生たち(研修者)を対象に、不安や課題に寄り添いながら成長を支援するための仕組みで、伴走者となるベテランの先生たちを核としながら組織がチームとなって、働き方や教員としての考え方、同僚性などをコーチングすることを目指しています。

研修者と伴走者の日常的な対話を通した学びが中心ですが、不定期に行われるカンファレンス実践報告会は、研修者と伴走者が現状やそれまでのことを振り返り周囲からフィードバックをもらう貴重な機会。この実践報告会(中間と最終の2回)を、中つ火の場を使って実施することにしました。

毎日なにかと多忙な先生たち。研修や対話の時間の確保は常に課題なので、いくつか組み合わせて行おうとしたという背景もありますが、研修者と伴走者だけでなく全ての先生が当事者として課題に目を向け省察的で主体的な実践者としての力を培っていけるのではないか、と考えたのが、この研修と中つ火をコラボさせた一番の理由です。

というわけで、号刀先生がデザインしてくれた今回の中つ火の流れは以下の通り。

1、チェックイン
2、5〜6人のグループで、研修者(若手教員)からの実践報告と伴走者からの実践報告を聞く
3、聞き手から研修者&伴走者へ質問や感想
4、グループをシャッフルし、前半の各グループで話した内容の共有と「私たちはどうありたいか」について対話を深める
5、後半のグループ対話の内容を全体シェア

若手からの実践報告は、授業に関するものや、メンター(クラスがない新陽における担任の先生のような役割)としての視点からのもの、生徒との関わりや自分の働き方・働き甲斐など切り口も様々。それぞれにこの3ヶ月を試行錯誤しながら全力で取り組んできたのが伝わってきて、先輩たちも熱心に聴き入っていました。

折りしもこの日は、夏休み前の授業最終日(翌日は集会とホームルームのみ)。研修者以外の先生たちも、それぞれ自分の4月からを振り返る良い機会ともなりました。

実践報告に真剣に耳を傾ける先生たち
後半の対話。ファシリテーターの号刀先生が
ゴールを再提示し対話の流れを調整。
いつもリモートで中つ火をファシリいただく
福田さんが今回は対面で参加してくださったので
場を観察しながらアドバイスしてもらいました。

先生だって学ぶ、挑戦する

全国の学校で研修会が行われたり教員が外部研修に参加したりしていますが、先生たちが学んでいることは生徒や保護者に意外と知られていませんよね。

さらに新陽では、大学院で学んだり、論文を書いたり、全く新しい資格に挑戦したり、ビジネススクールに通ったり、とそれぞれの教科に捉われずに挑戦している先生がたくさんいます。

そこで、今回リニューアルしたWebサイトでは、
・「チームづくり」
・「学びと成長」
・「挑戦する先生」
という3つの切り口で、新陽ならではの特色を紹介しています。

誰もが学んでいる学校。
「中つ火を囲む会」を始め、教員が学ぶ機会が多いのも新陽高校の特徴。外部講師を招いて研修会を開いたり、有志で集まった教員で勉強会を行ったり。生徒に探究的かつ創造的な学びの場を提供するため、教員たちも学習を繰り返し、新たな価値観との出会いを大切にしています。

外部講師を招いて行う授業研究会
1〜2ヵ月に一度は授業研究を目的とした研修を行い、そのうち年に数回は外部講師を招き公開授業研究会を開いています。通常の授業を公開したのち、協議会と外部講師による講評・講演。現状の課題や成果を把握することができます。近隣の教育関係者も集まる貴重な機会となっています。

いつでも何回でも、先生でも。
「本気で挑戦する人の母校」をスローガンに掲げる学校らしく、教員の挑戦も後押しする風土があります。休職しJICA海外協力隊に参加した教員資格を取得し国内4人目の「Google認定コーチ」となった教員 など、挑戦の形は多種多様。教員にとってもスローガンは目標のひとつになっています。

https://sapporoshinyo-h.ed.jp/about/teachers/recruitment/

そしてこの度また、新陽の学びと成長のカルチャーを体現するかの如く、新しい世界へ挑戦する先生がいます!外国語科の教員・山上徹さんです。

以下、山上先生のSNS投稿から抜粋して転記させていただきます。

***

この度、8月31日をもって現在勤務している札幌新陽高等学校を退職することになりました。そして今日は、びっくりするくらい「盛大に」壮行会を実施して頂きました。退職する人間をこんなにも温かく応援してくれる学校、どこにもありませんね…。本当に嬉しかったです。
そして次の行き先は、9月にイギリスへ渡航しイギリスにあるUniversity of Warwickの博士課程へ進学することになりました。この円安が厳しい中ですが、有難いことにEconomic and Social Research Council (ESRC)から、授業料全額負担と生活費3年9ヶ月分をカバーしてもらえる奨学金も採択して頂けました。そして指導教員は自分が学部時代から知っていた”超”が付く世界的に有名な先生で、この人の元でPhDをやるためにウォーリックを選びました。
このような人生を歩めているのも新陽高校での3年4ヶ月の経験があったからです。

***

実はだいぶ前に「留学を考えているので、ずっと新陽にはいないと思います。」と正直に話してくれた山上先生。「それでも働いていいですか?」と聞かれた時の私の答えは「もちろん!むしろ尚更、一緒に働いてほしい。そして新陽の先生として旅立って、生徒たちにその背中を見せてください。」でした。

同僚としてはとても寂しいし、学校として良い先生がいなくなるのは正直かなり痛いのですが、それでもやっぱり、挑戦しようとする人を見送るのはなんというか清々しい気持ちです。

山上先生の新たな挑戦を全力で応援すると共に、先生の母校として輝き続ける学校でいられるように、私たちも頑張りたいと思います。

壮行会後、職員室前の廊下には山上先生を囲む生徒が。
有志生徒によるFarewell Partyも盛り上がったようです。

【編集後記】
夏休み、先生たちはもちろん休みではありません。それでも授業がないこの期間は、普段できない体験やいつもと違う時間の使い方をして、先生たちこそ充電して欲しいと思っています。そういう私も買って積んだままの本を読んだり、溜めていた原稿を書いたり、すこしゆったりと過ごしたいと思っています。とはいえ北海道の夏休みは短いのですけどね・・・(笑)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?