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思い出せない本のことから

パジャマはみんなお揃いで、私物は持たない。
お金は少し、職員が預かっていて
たまにお菓子を買いにつれて行ってくれる。
そういう認知症病院に母はいる。

認知症は、例えば差し入れられたお菓子がなくなってしまったときに
盗られた妄想を持ってしまう事もあるし、
それが元で 職員や入院患者とトラブルになることもありうる。
だから、仕方ないとはわかっている。
縛られたりしないし、虐待もない、ちゃんとしている病院なんだけど。
たぶん自分の将来と重ねてしまったりするのだろうと思う。

それでもお揃いのパジャマ を思うたび
その漫画の事を思い出してしまうのである。


山上たつひこのその漫画は
一つのシーンだけ覚えている。
地獄を旅して「生」の世界に戻ろうとする少年たち。
極楽に行こうと船に乗る人たちを見ると
みんな仏像みたいな同じ顔で。
少年たちに何か言われて
「元先生」が顔をつぶして自殺する。
「元先生」は、間違って生きたまま地獄に来てしまった少年たちを
密告するのである。

今更いろいろ突っ込みたくなることは別にして。
おんなじ顔で、おんなじ恰好をしていることが極楽なのか
それは絶対違うだろう と思ってしまうのである。

三十三間堂の仏像だって違う顔だ と言われているのに
と思ってしまう。

もう一度買って読みたいかと言われると、そうでもない。
検索したら教えてもらえるのは有難い。









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