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哀れなるものたち

あらすじ
風変わりな天才外科医ゴドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって死から蘇った若き女性ベラ(エマ・ストーン)が、“世界を自分の目で見たい”という強い欲望に導かれ、放蕩者の弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)の誘いに乗り、壮大な大陸横断の冒険の旅へ出る。時代の偏見から解き放たれたベラは、平等と解放を知り、驚くべき成長を遂げていく。

胎児の脳を移植したのである。
胎児であるから未発達であり、少しずつ、でも加速度的に発達する。

ごく最初の頃の彼女は乳幼児のメイクもされていたのかもしれない。
乳児の無垢な顔であった。歩き方までおむつをした乳児のようで。

食器の類をずいぶん割った。
手術室に乱入して、「刺すのは死人だけにしろ」と言われて
死人を刺したりした。「価値」とか知らない乳幼児だから。

それからゴドウィン博士に閉じ込められていることに気づき
性欲を感じ始め駆け落ちという名の家出をする。
相手の男がだんだん深みにはまっていくのに彼女の方は違う。
他者との関係性や「情」は知らず、
性欲と知識欲と好奇心だけで生きている。
発達的に何歳くらいかを考えるのも面白かった。


膝小僧を見せているのも、幼児性の象徴なのか

第二の監禁場所である船の中で、知性がものすごく発達する。
遊び人だったのに彼女に本気になってしまう駆け落ち監禁男は
全てに嫉妬するが、彼女は冷静に次の寄港地を船員に尋ねる。
老婦人は「老いる事」と読書を教え、連れの青年は
貧しいものの存在と「厭世観」を伝え

娼館の存在感のあるマダムは商売における虚しさを教えたのか?
娼館では初めての同性の友人もできる。
「自立」という概念もここで知ったのではないか。
彼女を作ったゴドウィンはほったらかしで見ていただけなのかと思ったら
後半に行くにつれ、科学者みたいな論理的な思考をするようになる。
そういう中で、「養父」に対する情愛みたいなものができていくのか。


科学者の父親の実験台にされ続けた人生


建築物もファンタジックだったが、空がとにかく美しかった。
完全な青になる前のオレンジから薄紫に変化していく雲が。


雲の向こうに月がありそうな


第三の監禁を冷静に冷酷にでも殺人は犯さず脱出し
理性も知性も身につけた彼女があの気弱なくらいの婚約者と
さらに娼館で得た友達(?)と
意外と良い関係を作るのだろうか と考えたりする。




Ebiさん、傘籤さんが絶賛だったので
朝早くとか夕方遅くなどの時間にしか上映しなくなる前に、と
頑張って見てきたが相当面白かった。
口内炎も治りそうなストレス解消具合である。
グロいといえばグロいのかもしれないが、私などは
戦争映画や時代劇などで人がばたばた死ぬ方が見たくないと思う私である。

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