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八田亨さんの新たなる穴窯 -完成式典-

こんにちは、のぶちかです。

さて今回のnoteは八田亨さんが新しい穴窯を築窯され、完成式典にお声掛け下さったのでその時の記事をば。

⇧手前の大きな楠から名付けられた「くすのき窯」

八田さんがこれまでも穴窯で焼いてこられた事は周知の事実でしょうか、今回の新窯は旧窯での気付きや仮説をもとに理想の焼き上げを可能にすべく考えに考え抜いた構造となっているそうです。

⇧八田さんの新穴窯
⇧横から見ると立派さが分かります
八田亨
⇧翌日の火入れ式で焼かれる壺他が窯詰されていました。
⇧この日は大きな壺が一番火前に配置されていました。
どんな焼き上がりになったかとても気になります。
⇧初日のレセプションではミニライブも。
⇧聞き入る八田さん。
⇧会場にズラリと貼り出された築窯工程の写真の中で、のぶちかが一番惹かれた写真がこちら。
⇧御挨拶で感極まる八田さん。


初日は以上の様な雰囲気でお祝いに来られた多くの皆様と和やかな時間を過ごして終えました。


2日目式典 ~神事・火入れ式~

2日目は厳かに神事(撮影無し)を終えた後、いよいよ火入れ式。

⇧少し離れて拝見していたのですが、点火は火打石的なもので行っておられた様に見えました。
(⇧写真提供:八田さん)
⇧火を点ける八田さん
⇧無事着火
⇧山積みの薪
⇧薪には廃材も混ぜる為、燃料の質としては常に不安定、と八田さん。
燃料に均質感が無い事は焼き上がりに不安定感を引き起こすに事にもなるが、ここ数年、景色を狙わず焼き上がった姿を受け入れる事で気持ちが楽になったとの事。
⇧見事にお揃いとなった服装でツーショット。
のぶちかの前髪のえげつなさが辛い1枚。
⇧この日の窯焚き風景1
(⇧写真提供:八田さん)
⇧この日の窯焚き風景2
(⇧写真提供:八田さん)

所感

陶芸において「焼く」とは一体何なのか?

この問いに対し自分なりの答えを見出すべく月に1度は穴窯を焼く(※)という非常にハードな目標を自らに課されたという八田さんですが、考え続け焼き続けて数年が経った頃、ひとつの答えに辿り着いたそうです。

それは、

「土まで焼き上げる」

という事。

⇧工房にて

「釉薬だけが溶けていれば良いという表面的な事ではなく、そのボディとなる土までしっかり焼き上げる事こそ『焼く』という事」


八田さんはそう話されました。

A ⇧ガス窯1回焚きの皿の表情【青粉引リム皿】
清々しく清純なイメージ。
B ⇧ガス窯・穴窯と複数回の本焼きを経た表情【白掛輪花鉢】
複数の色合いが織りなし力強く奥深いイメージ。

その意味について言葉だけでは理解し辛い方もおられるかもしれないので、上記2点の写真A、Bを使ってのぶちかなりの解釈を添えますと、

AとBでは土、化粧土(AB共に白い土で化粧掛けをしています)に大きな差は無く、異なるのは焼成回数や穴窯(Bのみ)における八田さんなりの焼きが加えられたか否かとなります(ちなみに八田さんは作品によって本焼きをガス窯➡穴窯➡ガス窯・・・という感じで繰り返したり順序や回数を変えたりと、かなり変則的かつ実験的な焼成をされているそうです)。

⇧工房にて

しかしあまりにもその表情には違いがある為、化粧や釉薬が元々違う器と見てしまっても無理は無いと思いますが、焼きにこだわる事でこれほど表情を豊かにする事が可能になるという事が見比べる事で理解できます。

次に機能面から考えると、しっかりと土まで焼き締まった器は硬度が上がる為、欠けにくくなります。

器はあくまで使うものなので、欠けにくい方が良いというのは私達多くの意見となるでしょう。

⇧陶芸マニアの心をくすぐる薪窯ならでは多彩な表情。

上記の様な点が八田さんにおける「土まで焼き上げる」意義に属するのではないかと捉えています(個人的見解です)。

そしてここ数年の作品を見比べると、更に八田さんがその面白さに魅入られていっているのではと感じるほど、直近の作品により強い力を感じる様になりました。

そこにきて今回の新たなる穴窯の完成が掛け合わされると、もはやファンの私からすれば、これからまた更に八田さんの「焼き」の変化や進化が見られるのかと楽しみでならない訳です。

そして2023年10月にはJIBITAでも遂に八田さんの個展を開催します。
もちろんその作品は今回の新しい穴窯で焼かれるものですので、ぜひのぶちかと共にその日が来るのを楽しみにお待ち頂ければと思います。

※月に1度の窯焚きでは、大きな作品が入ると100点程、器のみなら数100点を窯詰されます。


◆八田亨(はった とおる)

1977年石川県生。
2000年大阪産業大学工学部環境デザイン学科卒業。
2003年陶芸家としての活動を開始。
翌2004年穴窯を築窯。
2022年4月、穴窯二機目を新設。
国内外にて作品を発表。


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