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◆濱中史朗氏 ロングインタビューVOL.6

のぶちか
「磁器を始められたのが三十歳位の時とお聞きした事がありましたが、それは佐々木さんの後になりますか?」

史朗さん
「後だね。」

のぶちか
「当時萩の土壌で磁器を始められた時に、何かしら風当たりとかあったかなぁと想像するんですが、いかがでしたか?」

史朗さん
「でも俺は周りと接触してなかったから無いよ(笑)。」

のぶちか
「なるほどですね~。」

史朗さん
「周りは言ってたかもしれないけどまぁ、それはあんまり…、接触が無いから(笑)。」

のぶちか
「(話は変わって)個展ではテーマというかコンセプトを設定されますか?」

史朗さん
「テーマ決めてやる訳ではない。間に合わない。服だとねぇそういうテーマってサンプル作って、で展示会してそこから発注っていう感じだけど、俺らの場合はもう既に作ってあってそれで終わりって感じ。ちょっとスタンスが違うっていうか、最初にテーマ決めてる時間が無い。」

のぶちか
「お父様に対しての印象はいかがですか?陶芸家の側面もあられるでしょうし…」

史朗さん
「…やっぱ影響を受けた人よね………。やっぱ自分を垣間見る時がある、似てるというか…、似てるって言ったら変だけど、押さえどころというかね………」

のぶちか
「お兄様についてはどうですか?」

史朗さん
「………結局こう、もまれてきたっていうか親父とか兄貴とか……、まぁ色々面倒見てくれたし……、兄貴がビートルズ聞いてたら俺はそのヘッドフォンでプリンス聞いてるとかそんな(笑)。違うんだけど…あぁやっぱりそういう人が居るからそんなにこう偏らないっていうか、凝り固まらないっていうかね(笑)。そういう要素があるかもしれない。」

のぶちか
「凝り固まらないって言いますと…」

史朗さん
「自分の好きな世界もあるけど、身近に違う世界で成り立たせている人の影響も受けれるから、違うエッセンスっていうか…。」

のぶちか
「あぁ、その意味で偏らないって事ですねぇ」

史朗さん
「偏れない(笑)。一方ではこういう事するけど、兄貴と仕事しようって言ったら兄貴の方に寄って仕事ができる(笑)。兄貴寄りで仕事する事で違うインスピレーションが沸くっていう(笑)。」

のぶちか
「じゃあ自分の興味の範囲以外の部分に触れる事で、ある程度の効果というのは予見してるというか、自分から取りに行く訳じゃないんだけど、お兄さんの好みに…」

史朗さん
「好みっていうか分かんないけどね、そっちに意識がいくっていうか…、自分だったら今このグリップ(※目の前のカップも持ちながら)なんだけど、これやったらこっちにしようって(笑)、違うひらめきが出るとか、幅が出るというか…、それでなんか増えていくっていうところもある…。」

のぶちか
「へぇ~…」

史朗さん
「猿山さんのとこでやるんだったら『もうちょっと詰めような?』とかさ。なんかその、意識がそっちに行くっていうか、その現場によってね。すごい微妙なとこもあるけど…、ささいな詰め方もするし(笑)。よう見たら変わってないっていうのもあるけど(笑)。」

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のぶちか
「じゃあ今のお話だとroarとコラボされた時に、あの時のハンドルというかグリップが、トリガーガードがモチーフでしたが、あの丸い感じは史朗さんの線じゃないなぁとかって…」

史朗さん
「うん、(自分の)線じゃない。だから…、トリガーガードの線(笑)。」

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のぶちか
「なるほど(笑)。ちょっとそういう感じで寄せるとか…、(そのこと自体を)楽しめてる感じもあるんですか?自分の線じゃない事を…」

史朗さん
「たぶん自分の線が無いんだと思う。あのぅ、完全にはね。だからいまだにこの絵(ベルメールの本を指さして)を見て『良いなぁ、こんな線できんかなぁ?』って思ったりするもん、ロクロでね(笑)。っていう意識をずっと持ってる。まぁこれだけじゃないけど…、他のもあるけど…。」

のぶちか
「僕らファンからすると完全に史朗さんのラインってできてるなぁって(笑)」

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史朗さん
「いやぁだから、インプットはしてきたかもしれないけどアウトプットが全然追いついてなくて…、だから…ずっと同じ事してるんだけど、やっぱ得たものをまだ消化しきれてないって気がする…。」

のぶちか
「でもインプットが枯れないってすごく理想的ですよね?」

史朗さん
「インプットって言っても二十代の頃のインプットとかもある。それがまだ消化しきれてなかったりとかね…。ただどんどん入れたら良いっていう訳やなくてなんかその一個一個は消化してないっていうか(笑)。それが今頃出たっていうか…。」

のぶちか
「不満がある訳ではないんですよね、その状態に…」

史朗さん
「うーん…不満、…うーん…、まぁ自分で見つけたりするからね、不満があるならば。次の題材…、これに近付く為…とかさ。取り敢えず自転車もちょっと一通りこうピストからロードからミニベロから全部やってみんと分からんから(笑)」

のぶちか
「※(部屋の天井にぶら下がっている史朗さん所有の数台の自転車を見ながら)ハハハ(笑)!」

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史朗さん
「高野山にも三台位あるから(笑)」

のぶちか
「(笑)!これはもう造形というよりはじゃあ自転車っていう…」

史朗さん
「トレーニングトレーニング(笑)。」

のぶちか
「トレーニングとして!?」

史朗さん
「あの、脳トレ(笑)!体のトレーニングじゃなくて、組み立てるんだよね。」

のぶちか
「組み立てる!?」

史朗さん
「組み立てたり、まぁ塗装はしてもらったりするんやけど、それのトレーニング。組み立てるとか、もの感を(育てる)というか(笑)。(自転車を沢山所有する)なんか言い訳みたいになってるけど(笑)。」

のぶちか
「いやいやいやいや(笑)!いや~なんでしょう、深掘りされるからこそでしょうし…」

史朗さん
「深掘りかは分からん(笑)!」

のぶちか
「遠回りに見える様でいてその行為が何年後に醸成されて」

史朗さん
「そうそうそうそう」

のぶちか
「ボンと出てくるっていうか…。でもなんとなく僕の勝手な印象とすると、いつかどこかで出るきっかけになるという事を…、もう色んなこれまでの前体験の中で、『あれが今回これに影響した』とかっていう事を何度も繰り返してる内に、こういう事(自転車を組み立てたり等)を入れるという事は重要なんだっていう風に、無意識にでも思われてるのかなぁ?って…」

史朗さん
「まぁ習性みたいなものよね。そういう習性。で、中学校の時もね、してたの。それで、あの…、受験勉強とかあるじゃん、それでもしてたの。それが親父に封印されて、」

のぶちか
「えー(笑)!?」

史朗さん
「自転車を小屋に入れて鍵かけられた(笑)。」

のぶちか
「あー!受験勉強中に自転車の組み立てを?」

史朗さん
「うん…。封印…されて…(笑)。」

のぶちか
「ハハハ(笑)!」

史朗さん
「それでぇ、仕事始める様になって『そういうのはやめよう』と思って(笑)。やめようっていうか、『先ずはやっぱり仕事や』と(笑)。技術(を先につける)…。でまぁ感覚的なものや知らない物はまぁ美術館とか行ったり、まぁ違う分野、骨董とかね…。で、自転車とかそういうのはやめようって(笑)。それで何年か前に、10年前かな?あるきっかけで、封印してたものが…出たっていう(笑)」

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のぶちか
「あー(笑)!」

史朗さん
「数年で(こんなに自転車が増えちゃって)(笑)」

のぶちか
「(※天井の自転車を見ながら)爆発の結果がこの(笑)」

史朗さん
「爆発…、まだ足らんと思っとるけど (笑)。」

のぶちか
「へぇ~(笑)!」

史朗さん
「この前も1台(自転車を天井から)下ろして、ハンドルとか変えて…、でまた上げてね(笑)。」

のぶちか
「じゃあもうライドよりはバラシて組んでみたいな…」

史朗さん
「まぁバランス見たりとかね。」

のぶちか
「バランスも見れるんですか(笑)!?」

史朗さん
「でもライドを想定した組み方だから。」

のぶちか
「おー!じゃあそこは実利に適わないと…」

史朗さん
「まぁ適う…、体が敵わないんやけど、トレーニングしてないからさ。でもイメージ。これで広島行く…レベル…とかね。」

のぶちか
「え、行った事あります?」

史朗さん
「中学校の時、行った事ある。それはあのテント積んだりして友達と行ったんやけどね。」

のぶちか
「へぇ~!」

史朗さん
「ツーリングはしてた。益田(島根県)行ったり…。中学校の時…。それから封印された(笑)。規制されて…、そういう趣味はやめようと思って(笑)、仕事始めたら…。」

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