プラチナトロフィー取得率、驚異の0.1%!ローグライク✕自転車=”ローグバイク”な『Descenders』にライドオンして獲りに行きたい!
世の中は『ゼルダの伝説』の新作でキングダムのティアーズしていた。
世の中は『ストリートファイター6』で町中の一般人をぶん殴っていたし、冷蔵庫やお掃除ロボットに襲われていた。
そんな中、私は約1ヶ月間自転車のペダルを必死に漕いでいた。正確には、R2ボタンが壊れるくらいに押し込んでいた。
余談だが、私は過去に交通事故に遭ったことがある。しかも2度。どちらも自転車に乗っていて、飛び出して車にぶっ飛ばされている。幸い大怪我には至っていないが、みんなは気をつけてくれ。運転手の気持ちになると、あんな飛び出しは回避不可能だとよく思う。「2度あることは3度ある」にならなくて良かったよ。今回は、そんな私が自転車のゲームに夢中になり、無謀にも0.1%の高みを目指した話。
🏆|「プラチナトロフィー」という輝き
まずは「トロフィー」についてちょっと触れておく。「トロフィー」とは、Playstationではもうお馴染みの機能で、ゲーム中で特定の条件を満たすと手に入るもので、SteamやXboxでは「実績」と呼ばれてるようなものだ。トロフィーには「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」といったグレードが存在し、最高位にあるのが「プラチナ」。全部の作品がそうではないが、すべてのトロフィーを獲得することが「プラチナトロフィー」を手にする条件になっており、それはその作品のほとんどを楽しんだ証の1つと私は思っている。
各トロフィーの取得率も表示されるのだが、本作ではその取得率が「0.1%」となっており、歴戦のトロフィー収集家も震えてしまうレベルになっている。意外とスポーツ系のゲームは取得率が低めな傾向。自分が知っている中で最強っぽいのは『カラオケ@DAM』で、3000~5000時間ほどかかるみたい。他に難しいと思われる作品の取得率を一部挙げると『Enter the Gungeon』は1.1%、『Hollow Knight』は1.6%、PS5版『ELDEN RING』は10.9%、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』は9.9%となっている。
📃|『Descenders』は「エクストリーム自転車ゲー」
さて本題に入る。『Descenders』は以下のように様々なプラットフォームで配信されている3Dアクションゲーム。題材となっているのは山に造られた急斜面のコースを一気に下っていく危険なスポーツの1つであるダウンヒル。Steamでは「圧倒的に好評」となっているだけあってかなり面白いが、クリアまでのハードルの高さを考えると人を選ぶ作品でもある。
基本としては、メインモードとなる「キャリア」で4つのマップを連続して完走することが1つの目標となる。各コースで設定される「ボーナス目標」を達成してライフを増やしつつ、最後に待ち受けている派手な「ボスジャンプ」を飛び越えていく。自転車の振動がコントローラーに伝わるような感覚と風を切る音やタイヤが擦れる音などの環境音が作り込まれており、非常にリアルな空気感に驚くことになるだろう。
また、用意されているのは山並みだけではなく、『SASUKE』のようなアスレチック形式のステージや箱庭形式の1つの大きな施設のようなステージなどが存在する。アスレチック形式のステージはアクション要素が非常に強く、メインモードとはまた違ったテクニックが必要となる。ライフに制限が無いこともあり、こちらもなかなかに歯ごたえのあるモード。キャリアモードを完走していても間違いなく苦戦を強いられる難易度に仕上がっている。オンライン要素としてはフレンドとキャリアを走ったり、野良で同時に走っているプレイヤーが見えるというくらいだが、特定のコースの練習中にマネしてくれるプレイヤーがいたりして、『風ノ旅ビト』のような言葉を使わない交流ができるのが面白かった。
開発はRageSquid。過去にリリースした作品としては、フリープレイにもなっていた『Action Henk』があり、本作でも見覚えのあるステージが用意されてる。開発の経緯としては「エクストリームスポーツ」のゲームが少ないので、それなら自分たちで作ってやろうというアイデアから『Spelunky』や『FTL: Faster Than Light』のローグライク的な要素を混ぜ込んで完成したのが本作らしい。素晴らしい融合。
ちなみに、ゲーム内の「デイリー」で更新される部分は、日本時間では朝9時となる。「あと○時間」って表示されるけど、一応書いておく。
💬|同じものとは出会えない? 自動生成されるコース!
本作の大きな特徴は自動生成されるコースだ。「すごろく」のようなマス目を1つずつ進んでいって、ボスコースをクリアすると次のマップに行くという流れになる。このマス目の配置はプレイする毎に変わっていくため、同じルートで進めることは不可能となっている。もしかしたら、ある程度パターンはあるかもですが。
さらには実際に走ることになるコースも毎回変わっていく。各コースに設定されている「険しさ」「カーブ」「スタント」の数値を参照して自動生成されるため、簡単なステージもあれば激ムズなステージにぶち当たることも少なくない。本当に稀だが、ルートが入り乱れたり、スタート直後に地面を通り抜けて落下し続けるという事故に遭遇するが、これは運が悪かったと諦めるしかない。
⭕|美麗なグラフィックで描かれる、非日常的なシチュエーション
先に貼っているゲーム画面を見てもらえればわかるかと思うが、美麗なグラフィックが目を引く。お手本のような「山」をベースとしたシチュエーションにゲーム側が用意した舗装されたメインコースが敷かれている。もちろん無視してコース外を突っ走ることもできる。素直にキレイ。
マップが進むごとに森や峡谷、雪山、果ては火山といったシチュエーションになり、非現実かつ運転が非常に難しいエクストリームなスポーツになる。クリアまでの緊張感とクリア後の達成感は本当にスポーツをしているようだった。特定の条件を満たすことでたどり着ける隠しマップは、開発者が「0.1%以下のプレイヤーしか見ることができないだろう」と言い放っており、その絶景は一見の価値がある。
⭕|時間の概念による程よい難易度調整の妙技
「ボスコースに行かず、マップに長く滞在してライフを稼げばヌルゲーになるんじゃないの」と思ったあなた。
正解。
本作はとにかくライフを稼いで、多少のミスをしてもカバーできる状態を作り上げることがとても重要。
しかし、ゲーム側もそう簡単にそんな状況は作らせてはくれない。遠回りをしていると時間が経過していき、夕方、夜と視界が悪くなっていく。最終的には、自転車のライトのバッテリーも切れ、暗闇を走行する羽目になる。ただ、この暗闇も程よく見えるような感じで「走れなくもないが、障害物がちょっと見えにくくて事故りそう」というちょうどいい暗さになっている。腕に自信があるならリスクを犯してでも暗闇を走り抜ければいいし、自信がなければ夕方くらいにはボスコースに行けるようにするといったプレイヤー毎に戦略の幅が出るのも良い。
⭕|現実では不可能な、スピード感あふれるダウンヒル!
子供の頃に坂道をノーブレーキで駆け下りた経験がある人は結構いるのではないだろうか。私は今でもやる(危険)。でも、それはもちろん止まれるスピードを考えたりしながらのこと。本作では時速70kmを超えるスピードで一気に下ることも可能だ。もちろん失敗したら大ダメージを受け、身体は彼方まで吹き飛んでしまうが、これこそが「ゲーム」の良さ。現実ではできないことを実現する。ゴールの瞬間に大クラッシュさせるのは何回やっても止められない。オンラインで他のプレイヤーもゴールと同時に大クラッシュしてて、万国共通感を覚えた。
⭕|高揚感を与える、心地よいBGM
本作のBGMはゲーム音楽として書き下ろされたものではなく、オランダのドラムンベースレーベルである「Liquicity」と提携し、ダウンヒルに適したサウンドを提供してもらっているらしい。個人的に好きなジャンルということもあるが、どれもエモーショナルで、一聴すると「ダウンヒルのゲームのBGM」とは思えないものが多いが、不思議とガチッとハマってくれる。ランダムでずーっと流れ続けるのだが、好きだったのは『Youniverse』『Once Upon A Time』のようなピアノの音が入っているキレイめな曲。Spotifyでまとめてくれている方がいたので、プレイリストを貼っておく。
💭|完走をするための心得
キャリアモードを完走するのは非常に難しい。限られたライフで、自動生成される20以上のコースを走り切るには相応の実力と集中力が必要だ。そこで、それ以外の部分で意識してもらいたいことを書いておく。
ライフは「増やすこと」ではなく、「減らさないこと」が大事
各コースではスタート時に「ボーナス目標」が設定される。「指定されたトリックをキメる」「指定された速度以上を出す」といったことを達成するとゴールした際にライフが増えるのだが、コースによっては達成が非常に難しいことも少なくない。特にFOREST以降の「減速せずにフィニッシュに到達」はかぐや姫状態。少しでもライフを増やそうとギリギリを狙ってボーナス目標に挑戦する心意気は非常に良いが、そのせいでライフを失うのはおマヌケすぎるので、無理だと思ったらすっぱり諦めよう。
「カッコ悪い」を恐れない
スタントでカッコ良くトリックをキメたくなったり、ハイスピードでギリギリを攻めるような走りをしたくなるのは当然の衝動だ。だが、そのせいでライフを失ってしまうのはもったいない。ブレーキ全開で、時速10kmのような速度で下って行ったり、無理そうだったらジャンプ台を避けるという姑息なやり方も時には大事になってくる。「難しすぎる!」とTwitterで愚痴っていたら、本作を開発した偉い人からも「早く走る必要はない。ブレーキを使え」とアドバイスをいただいたので間違いない。調子に乗りすぎるな。
気分転換も大事
本作は何十回もトライ&エラーを繰り返し続けるゲーム。BGMは良いが、何時間も聴き続けるのは正直しんどいところがある。そんなときはSpotifyでプレイリストを用意して、好きな音楽を別に流したり、Youtubeで好きな動画を垂れ流して気分転換をすることをおすすめする。私は「好きなゲーム音楽」をまとめたプレイリストがあったので、それをずっと流し続けていたり、Netflixで動画を再生していた。
⭐|「レースゲーム」とはまた違う、自転車を使った高難易度アクションゲームの良作!
「決められたコースを走る」ということはなく、毎回違ったコースが用意されるので、何回でも繰り返しプレイができるのが強い。その分、毎回コースの自動生成に時間がかかってしまうのはマイナスなポイントだが、まだ許容できるレベル。Youtubeで確認した感じだと、PS5の方はPS4と比較して倍以上早い気がした。気のせいかも。
キャリアはFORESTが難関で、そこを超えられるようになれば完走も近いと思うので、今プレイしてる人は諦めないで頑張ってもらいたい。
「バイクパーク」や「THE GROUND TOUR」は遊び心が満載で、端から端まで堪能するのは困難を極めるレベルに作り込まれていて非常に好印象。
自身の実力が如実に顕れる作品で、スティックの入力角度がほんの少しでもズレると違うトリックが出てしまったり、ミスが立て続けに起こったりと非常にデリケート。私はこういったものが好きなので2〜3週間の間はほぼ毎日5〜6時間はプレイし続けていたが、あまりストレスは感じなかった。人によっては数プレイで「もう無理!」となるのもよくわかるゲーム性なので、そのあたりは自分の性質に合わせて対処して欲しい。
前回プレイした『ペルソナ5S』の時も書いたが、おそらく私のプレイ環境の問題と思われるエラーによる強制終了が多発したのが精神的に一番キツイ部分だった。あらゆるタイミングでブブブッとノイズのような音が鳴り、画面がブラックアウト。そして、エラーを報告するという青い画面。1日に4回以上は目にした気がする。PS5が欲しいわね。
🔚|そんなこんなで、0.1%への挑戦の果て
ゲームのシステム上、トロフィーコンプリートまで最短でも16日はかかる本作。5月中旬からほぼ毎日、「納得できる走りができるまで寝ない」とプレイし続け、空が白んでから寝るという日々を送ってきた結果、無事に念願のプラチナトロフィーを獲得することができた。約1ヶ月の戦いだった。
プレイ時間はおそらく80〜90時間といったところだろうか。集中力が無く、凡ミスが非常に多いタイプなので、根性でねじ伏せたという感じ。めちゃ嬉しい。プラチナトロフィーの条件に含まれない追加されたトロフィーの難易度は他と同様にキツイので、猛者はぜひとも挑戦して欲しい。「DESCENDERSの友」になりたい方は、タイミングが合えば協力させていただくので、なにかしらで声をかけてくれればと思う。足を引っ張ってしまったらすみません……。
それでは。
おわり。
🅿|P.S. 累計REPについて
「REP」は、本作で危険な走りやトリックをキメたりするともらえるポイントやスコアのことで、「Reputation」の略らしい。REPの数値が多ければ多いほど「結構やってんのね」という指標になるのだが、私がトロコンした際にどれだけ貯まっていたのかを載っけておく。
累計REPが25万で獲得できるトロフィーの取得率が2.6%だったので、これは「かなり結構やってんのね」と思ってもらっていいのではないだろうか。よう頑張った。