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水のように自由自在に在る ダニ・アウヴェス

現在、母国サンパウロFCでプレーする、ダニ・アウヴェス。
欧州時代には、超攻撃的サイドバックとしてヨーロッパで名を馳せた名選手だが、サンパウロでは、インサイドハーフやトップ下、右サイドMFとしてプレーし、37歳になった今年も進化し続けている選手である。複数のポジションを世界トップレベルでこなせる彼の考え方、取り組み方は多くの日本人にとって学びとなるものである。今回は、彼のインタビュー内で興味深かった話題をまとめながら、一流選手の世界観に触れてみようと思う。

プロフィール

ダニ・アウヴェス。プロサッカー選手。ブラジル・バイーア州出身。
ブラジル1部リーグのサンパウロ所属し背番号10番をつける。
ポジションはSBだが、その超攻撃的なプレースタイルでWGを務めることもある。世界年間ベストイレブンに、合計8回選出され、FCバルセロナ在籍時には、UEFAチャンピオンズリーグやリーガ・エスパニョーラも制覇。その後移籍したユヴェントス、パリ・サンジェルマンでも国内リーグを制覇を経験する。ブラジル代表でのタイトル数も含めれば40回の優勝を経験している。右サイドバックを本職としてきたが、現在所属するサンパウロではサイドMFやトップ下でなど、複数のポジションでプレーをする。

40個のタイトルを取ったが、今後の目標は?

キャリアで40個のタイトルを取ったけど、
もっと多くのタイトルを取り続けられたらいいね。
どうなるかわからないけど、先を見てみよう。
僕の人生のほとんどが、挑戦することなんだ。
高いレベルでプレーするためには、常に準備できていなければいけないし、関わる全ての人といい関係を築かなければならない。
共通の目標を持ち、感情も共有するんだ。
クラブの歴史を守るためにプレーしなければいけない。
サンパウロというビッグクラブでプレーするという事は歴史を背負うことと一緒なんだよ。

サンパウロFC入団について

僕がここにきた理由は、サンパウロのユニフォームを着るのが子供の頃からの夢だったからなんだ。
サンパウロに来た時、チームの状況はあまり良くなかった。
チームとして、もっと高い順位に行く為にやらなければいけない事が多かった。常に高いレベルにいることが課せられているチームだからね。
だから僕は、クラブ内で良い雰囲気をつくることを考え、選手同士や選手と監督がいいハーモニーを生み出せるようにしたんだ。
人々がもう一度、サンパウロというクラブを喜んで応援したくなるようにね。こういった挑戦ができるのは、偉大な戦士たちだけであると信じてる。
挑戦することは間違いではないし、人に要求されたものだとは考えていないね。僕は人生で数々の試練や困難を乗り越えてきたけど、今の僕は我慢の時期だね。今はクラブがより良くなるために、辛抱強くならないといけないんだ。サンパウロのようなクラブは、常に勝たなければいけない。
1位の座を目指してチームの安定感を保つんだ。
その為に確かなことをすれば、必ず皆が知っている「サンパウロ」になれると感じているよ。

過去と比べて

前より成長したかな。
特に大きく変わった事はないよ。
意欲も変わらないし、考え方もそんなに変わってない。
成長しただけだね。
明らかなのは、前と比べてフットボールの見方が変わったこと。
自分のスタイルを超えてゲームを読む事ができるし、チームに必要な事も理解できる。チームメイトはどういうプレーをするのか、チームメイトのポジショニングはどうか、チームメイトはどうやってボールを受けたいか、どういうコンビネーションがしたいのかってね。
たくさんの異なる選手と一緒にプレーした体験が自分の経験となり、様々なことが分かるようになったんだ。

僕のキャリアでずっと変わらないのは、自分はチームプレーヤーであるという事。自分のだけを考えてプレーした事はないんだ。
自分だけの喜びのためにプレーしたこともない。
自分のプレーがよくても、チームが負ければ何も残らないからね。
僕がプレーすることによって、「チームメイトがいい気分でいられる」
「いいプレーができる」「ゴールを決めることができる」、それが出来なければ、僕にとってプレーする意味はないんだ。
僕ではなくて、チームが強くなければいけない。
そして、愛情を注いでくれるファンを勝たせなければいけない。
夢のある話ではないかもしれないけど、フットボールとはそういうものだよ。

サンパウロで取り組んでいること

僕はここで、チームでフットボールを作り上げること、そのための考え方を作り上げたいんだ。そうすればより優れた選手になれるし、代表でもプレーしやすくなる。
難しい挑戦だけど、僕はいつも難しい挑戦しチャレンジするようにしているんだ。それによって生まれる全ての問題も乗り越えようとしているし、チームが良い雰囲気を作り出せるようにもしている。
様々な事がうまく行くようにね。
僕の人生の経験で、見るということを学んだんだ。
よく見れば、現実以上の何かが見えるんだよ。観察するということ。
観察するということを通して、だんだんと自分のやり方を見つけたかな。
「人は水のように在らなければならない」と僕はよく言ってるんだ。
水みたいに自由自在に動ければ、周りの環境にあった対応ができる。
これが僕の考えていることかな。
僕が大きな挑戦を前にした時、いろんなことを変えようとするんだ。
環境に適応しようとするし、様々な考えを持った人とコミュニケーションを取る。こういった取り組みは、新しい環境で新たな歴史を作るためには欠かせないね。大きなプロジェクトを実行したいなら、そのプロジェクトを心から信じるんだ。そうすることで、プロジェクトが段々と形になってくる。

ファッションについて

僕は自分のスタイルを貫いてるよ。
それぞれが自分のスタイルを持っていると思う。
「自分である」ことが「生きる」ことなんじゃないかな。
自分のスタイルであるという事が生きてることを感じさせてくれるんだ。

現在地と今後のキャリア

自分が「どのような人間か」ということを、まず自分が理解しなければいけない。自分がどのような道を辿ってきて、今どこにいるのかも理解する必要があるね。僕は、自分がどのような人生を送ってきて、今どこにいるのかをよく理解している。あとは、やるべきことをやるのみだよ。
チャレンジに対して恐れを抱いたことは人生で一度もない。
自分がやろうとしてる事が、大きな挑戦だということもよく理解している。
自分がプレーしたすべての場所で、関わった全ての人やクラブに自分が信じてきた何かを残すことができたんだ。
だから、サンパウロでもやることは変わらないよ。
何試合勝てるか分からないし、チームや、関わる人に何を与えられかはまだ分からない。
けど、できることは全てやっていきたいね。

まとめ

これだけ強烈な個性を持った選手が、自分はチームプレーヤーだと言っており、自分だけのためにプレーしていないということ。
僕たち日本人は、「チームのため」という概念の前提をもう一度見直す必要があるように思う。
周りの真似をすることは、「チームのため」ではないということ。
皆で同じことをできるようにする(団体行動志向)から、それぞれが、「自分にできること」をチームに還元し、自分のやるべきことを遂行するというあり方が必要なのではないだろうか?
それは、フットボールだけに限らない。

「人は水のように在らなければならない」という考え方もアウヴェスを表している。インタビュー途中で言っていてのだが、彼は様々なポジションを経験したそうだ。CF、WG、トップ下、サイドMF、ボランチ、SB。
子供時代、本来のポジションは攻撃的なポジションだったのだが、周りの選手が皆FWでプレーしたがるので、他のポジションでプレーし始めたそう。
彼は、「スピードと技術には自信があったから、他のポジションもできたんだ」と言っていた。
アウヴェスは、自分の能力が発揮できれば、ポジション、役割は関係ないということを教えくれる。
ポジションに執着するのではなく、自分の個性をチームに当てはめて、自分が力になれそうな役割を担うということ。
自分のやるべきことは周りが作り出してくれるのだ。

インタビューのフル動画はこちら

以前に彼のプレーについてまとめた記事を書いたので、興味があれば読んでいただきたい。




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