岡田光信
4. ワールドカップ級のチーム
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4. ワールドカップ級のチーム

岡田光信

アストロスケールは、宇宙にまったくの素人である私が一人で始めた会社です。

8年がたち、今は世界5拠点に200名の社員がいます。エンジニア率約70%と技術主体の会社です。女性比率約30%、国籍10カ国以上と多様な人材の集まりです。社内公用語は英語です。
私はこのチームが自慢です。ワールドカップ級じゃないでしょうか。世界のどこに出しても恥ずかしくないチームだと思います。時々国連などの国際機関でスピーチする機会を頂きますが、私の代わりに、堂々と登壇できる人材も10名以上います。

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チームが強いなぁと思う理由は3点です。
1つ目は、目指す理想が高く、かつ謙虚に学ぶ精神に富んでいることです。間違いや失敗も多いのですが、学んで向上するベクトルは強いものがあります。2つ目は、コロナの影響で、この15ヶ月ほど国をまたいだ渡航ができていませんが、グローバルに連携がよくできていることです。ELSA-dでのグローバルな運用などを見ていると特に強く感じます。3つ目は、どんどんと社員が強くなることです。離職率が他のベンチャー企業に比べて低いことが特徴ですが、さらに、それでも合わなくて辞める人は時々います。不思議なのは、その後チームが一層必ず強くなります。経験したことのない循環です。


組織づくりに魔法はないと思っています。私は決して組織づくりのプロではありません。バラバラと思いつくことを書いてみます。

・ 丁寧にタイムリーに、各人のJD(職務内容)を見直しています。エンジニアの作業計画は非常に細かくバラしています。ベンチャーなので職務はどんどん変わるため、常に整理するという基本の徹底は重要な要素でしょう。

 ・ 当社に転職したエンジニアが口々に言うのは「こんなにエンジニアリングばっかりやってていいんですか」です。はい、余計な会議や作業には関わらせません。とにかくエンジニアリングに集中してもらうことが必要です。

・ よくない組織は内向きのエネルギーが強くなります。人を指差したり、陰口をたたいたり。アストロスケール社はミッションが明確かつ難易度が高いので、その解決に向けてエネルギーを外向きに発することができていると思います。

でも、根本的には、日々の社員同士の思いやりでしょうか。
ELSA-d(エルサディー)の打上げ前に、射場(バイコヌール宇宙基地)にエンジニアは8名を派遣しなければなりませんでした。2月6日(土)の早朝が出発だったのですが、緊急事態宣言中だったので社内では見送りはしないことになっていました。
この派遣隊はきっと不安だったでしょう。現地でコロナにかかったらどうするのかと。その不安を押し殺して旅立つ彼らを見送らないわけには行きません。私はこっそりとお忍びで羽田空港にいきました。そうしたらどうでしょう。驚いたことに、うちの社員が沢山見送りに来ているではないですか(笑)みんな、それぞれに派遣隊への思いがあったのだなぁと思いました。
もちろん見送りはマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保つなど、感染予防対策に気を付けながら行いました。

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こんなとても素晴らしいチームですが、私は心配性なので、こうした好循環が急に逆回転を始めてしまったらどうしようといつも心配しています。ブログの投稿で書いたように、自信50%、心配50%なのです。
社員が1,000人になっても、10,000人になっても強いチームを作り続けることができるのか。これは私にとって、ワクワクするような、しんどいような、でもやっぱり楽しみな課題です。


次回は「下町と呼ばれて」をお送りします。

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岡田光信
株式会社アストロスケールホールディングス 創業者兼CEO。1973年生まれ。兵庫県出身。東京大学農学部卒。 国際宇宙連盟(IAF)副会長、英国王立航空協会フェロー、世界経済フォーラム(ダボス会議)宇宙評議会共同議長等を兼務。 著書「愚直に、考え抜く。」(ダイヤモンド社)