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上司とのコミュニケーションにおいて、”報連相”はあなたの評価を左右する重要な因子の一つではないでしょうか。正直なところ報連相は上司のエモーショナルな側面に与える影響が大きいため、時として評価を変える(良い方向にも悪い方向にも)決め手になり得るのだと私は考えている。

ビジネス書においてはタイミングや内容などについて触れているため、独自の観点から報連相をスキルの一つとして紐解いてみたいと思う。

上司からの評価される報連相のコツは「報告内容の粒度」「伝え方や場面」を調整することである。

まず「報告内容の粒度」から解説していこう。

1)上司タイプを見極める

これは性格に起因する部分が大きいが、大切なことは詳細まで知りたいのか?管理したいのか?である。まず私は上司が基本的に詳細まで知っておきたいのか?を見極める。Noの場合、Criticalな事項を中心に報告をあげる。Criticalな事項とは、コンプライアンスイシュー、売上高/経費に大きなインパクトがある事項、人事案件などである。上司タイプの見極めはレビュー会議などにおける質問の多さや粒度で判断する。質問が多い、細かい点をチェックする場合は”知りたい人”なんだなと判断する。次にYesの場合、Criticalな事項に加え、インパクトが大きくない案件について目的や背景などを報告する。その際、反応を観察することで興味の度合いを判断して、報告の粒度を大きくしたり小さくしたりする。次に”管理したい人”についてだ。必ずしも知りたい=管理したいではないのだ。よって相談の際、案件には自分の判断および背景を必ず添えておく「任せる」という言葉が聞かれる案件の粒度から上司が権限委譲する粒度を確認することができる。このようにいくつかのステップを経て上司タイプを見極めることができる。

2)時期により変える
上記で述べた上司タイプは主に安定している時期(着任直後など)で活かせるアプローチ方法である。よって、着任時期やプロジェクト会議時期には上司タイプの診断は機能しないケースも往々にしてある。特に着任早々はビジネスを把握できておらず、躍起になって詳細を確認することが容易に想像できる。よって、こういったタイミングでは粒度をハイレベルではなくローレベルなものも含めてアップデートしていくことを強くお勧めする。安易に上司タイプを判断して物事を進めることが後のトラブルを招く可能性は十分にあるのだ。数か月かけて粒度をコントロールしていけばいい。

3)逆鱗に触れる勘所を探しておく

上記のアプローチがまったく機能しないことが時々起こる。粒度などとは無関係に大切にしている勘所を誰しも持っている。例えば、マーケティングの経験があるため、ポジショニングには拘りがある、財務の経験から経費管理には厳しいなど。一つは上司の職務経歴から推察することが可能である。よって、上司のビジネスのみならずパーソナルな歴史を熟知することは墓穴を掘るリスクを軽減できる。くわえて、上司とステークホルダーとのコミュニケーションについての情報を得ることも有用である。何に引っかかっていたのか?拘っていたのか?意外性が強ければ社内でも噂になるだろう。そういった情報は収集しておくべきだ。

次に「伝え方や場面」について話を移したいと思う。1-on-1による双方向コミュニケーションにおける報連相を軸にしてメールやチャットを効果的に活用することをお勧めする。

1)1on1でのコミュニケーション


上記のセクションでは上司の反応を見ながら粒度を調整する重要性を紹介した。多忙な上司との1on1ではアジェンダを予め決めておくことは当然のことであるがプライオリティや順番も重要である。もちろん、上記で述べたCriticalな案件は1on1での優先アジェンダである。私はポジティブな案件を冒頭に置くことを心掛けている。ご機嫌な導入はネガティブ案件な交渉困難な案件をスムーズな解決に導く。ポジティブな案件が多数ある場合は、冒頭と最後にサンドイッチのように置き、ご機嫌で1on1を終えるようにすると良い。ネガティブな案件は順番は難航しそうな案件を後ろに置くようにしている。それはなぜか?マネジメント層は時間が限られている。事実、私も上司との1-on-1は30~60分/週であり限られた時間で問題を解決しなければならない。私もダイレクトレポートのマネージャーとの1on1は30分/週であり、タスクに費やす時間はその半分の15分程度である(約半分は個人の近況やプライベートな雑談に使うため)よって、難航しような案件は自分が導きたい回答を得るには上司に考える時間を多く与えてはならない。端的に結論およびそれに至った背景を説明して、Yesと言わせればよいのだ。加えて、ネガティブな案件には感情変化がつきものであり、メールやチャットでのコミュニケーションでは感情を逆なでして悪化させるリスクを伴う。上司の感情変化を感じながら言葉を選んでコミュニケーションする必要がある。

2)メールでのコミュニケーション


1on1でカバー仕切れない、もしくはカバーする粒度ではない案件はメールでの報連相が次の手段である。しかしながら、メールでの報告は相手にとってストレスをかける場合がある。多忙なマネジメント層はメールの受信数が多く処理するために膨大な時間を割いている。私自身も300~400通/日以上を処理するため、メールでの報連相はストレスになる可能性を秘めている。それではどのような場合にメールを活用すればいいのか。まずはネガティブな案件は可能な限り避けるべきである。メールを読むというストレスに加えネガティブな内容であれば負の感情が増幅してしまう。次にディスカッションが必要な案件は避けるべきであり、1on1での議論をお勧めする。どうしてもメールをする必要がある場合は「次の1on1で議論したい」という言葉とともにメールすることをお勧めする。そのほか、フラットな案件はメールでのコミュニケーションに適しているがいくつか注意点がある。

A)メールの目的および上司が取るべきアクションを明確にすること
…タイトル冒頭に「承認案件」「報告」などを記載することで上司がとるべきアクションがクリアになるストレスを軽減できる

B)文章形式と箇条書きを組み合わせて内容をシンプル化すること

…ダラダラと文章形式が続くと読む気を喪失するため、箇条書きを基本としてNarrativeが必要な場合のみ文章形式とすることで読むべき文字数を最小化してストレスを軽減できる

C)図表はもっとも重要なスライドをメール本文に貼り付けて説明すること
…売上高などの数字を確認してもらいたい場合、最も大切な図表をメール本文に貼り付けて本文で解説することで、ファイルを開かずとも全体像が把握できるためストレスを軽減できる

D)添付ファイルがある場合は、本文とファイルをリンクさせること
…添付ファイルは開くだけでストレスをかける。加えて、メール本文とのリンクを見失うとチェックに時間を要する。よって、メール本文にSlide〇番目
などと記載しておけば容易にリーチできるためストレスを軽減できる

E)CCの使い方は要注意、勘違いしないこと
CCに入れておくだけで上司は知っているはずという解釈は評価を下げるだけでなく、業務上のリスクを孕んでいるため、要注意である

3)チャットでのコミュニケーション

昨今でもっとも容易なコミュニケーションツールとなったチャット(Teams、Slackなど)だが、使い方には留意が必要である。とくにTeamsのチャットは既読することでアテンションが消えるため、忙しいマネジメント層こそ見落としするリスクがある。重要な承認案件やファイルの確認依頼をTeamsのみで実施することは避けたほうがいい場合が多い。メールで送信して本文にリンクを貼付する方法が無難である。一方、チャット機能は個人の好みにも依存するため、反応性の良さやフォローアップの状況を観察して相手に好ましい活用方法を見出し、使い分けることをお勧めする。

先日、同僚とコーヒーを飲んでいて「報連相って当たり前だけど、意外に難しいんだよね」という話になった。普段、何気なく実践している報連相だが、言語化すると思った以上に奥が深いな・・・と感じました。私自身、外国人の上司と向き合っているが、日本においても海外においてもこのスキルは通用するのではないかと感じています。


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