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おじさんの観た、又吉直樹原作 映画「劇場」 その感想

今回は感想だけ記す。行定勲監督、映画「劇場」(20年)

香港のAmazonプライムは、はっきりいって三流だ。新作も殆どなく、レンタルもない。唯一いいのは、Amazonが関係した日本の作品が見れるというだけ。
なので解約するつもりだが、その前に一本くらいはちゃんと見ておこうと映画「劇場」を観賞した。

原作者ピースの又吉直樹は、もうお笑い芸人というよりは、芥川賞作家として扱った方がいいような人。顔も名前も売れているので、その分プレッシャーもあるだろうが、なんでもできるという良い立ち位置に来ていると思う。

又吉氏の太宰治好きは広く知られているため、どうしても太宰よりのものを想像していたが、この「劇場」もそんな作品だった。

山崎賢人扮する主人公 “なが君”は、小演劇をやりたくて上京。貧乏ながら演劇に打ち込んでいるが、ある日かわいい松岡茉優扮する “さきちゃん”に出会う。

山崎賢人は「キングダム」に出てた、ハンサムガイだと途中まで気がつかなかった。ということは上手に演じているということ。松岡茉優は、「万引き家族」「遠雷と蜂蜜」で見てて、可愛いし上手なことはわかっていた。

まぁ、おじさんから見るとだらしない男だ。経済力もないくせに、自分が一番才能があると自惚れていて、その上嫉妬深く、女性に養ってもらっている。
その女性も、良い人すぎて(まるで天使のよう)、愛しているがゆえにダメ男との関係を切れない。

いつの時代もこんな人間はいるし、こんな人間関係はある。

だからかもしれないが、ぼくは見ながら、ATGの映画を思い出していた。
ATG(アート・シアター・ギルド)の映画とは、日本の映画界が斜陽になった60年〜70年代に、低予算ながら実験的な芸術映画を製作していた集団のこと。

ATGは、よい作品もいっぱいあるが、若い頃のぼくには、どれも貧乏臭くて、救いのないものが多かった。あたかも、四畳半の中を一つの思想がぐるぐる廻ってるような映画郡だった。そんな印象なのである。

この「劇場」も、ダメ男のどうしようもない部分を延々見せられる。2時間16分は長すぎる。

純文学の映画化の宿命として、ナレーションが多いのもダレさせる原因だ。

そうやって我慢を強いる映画だが、ラスト近くやっと映画が動き出す。
自分が才能がないとわかってる男は、親友に言われる。

「さきちゃんだけには否定されたくないんだろ?」

クリント・イーストウッドを褒めただけで、叱られるさきちゃん。

そんな二人が劇場で迎えるラスト。

このくだりはなんか気に入った。

下北沢、新宿、高円寺。舞台は、いかにも演劇やってる人間が集まるところ。
今頃、小劇団の人たちは、下北沢の安酒場で、「映画の『劇場』見た?」とあーだこーだ、演劇論をぶっているのだろうな、と想像してる。

その議論はぐるぐる廻って、終わりはないんだろうけれど...

てなことで。


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