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【人間観察】あなたも一流!?

帰宅するとリビングからカミさんの愉しげな話し声が聞こえてきた。

「あなたも一流になったものネェ~」

関西の某県で、ひとり暮しする妹との電話中だったようだ。カミさんは大笑いしながら、妹のことを何度も一流一流と讃えていた。

カミさんの妹。すなわち義妹は、ちょっとした洋画家だ。

その義妹が、先日出掛けたフリーマで面白いモノを見つけたというのだ。

なんと自分の描いた六号の絵が売りに出ていたらしい。そして名札の下には三万円の値札。

義妹はカァ~と頭にきたらしい。

と言っても三万円の値付けに安い!と怒ったのではない。
なんと!その絵は義妹が描いたモノではなかったのだ。

「おじさん!私こんな絵を描いた覚えないんだけど!」
「・・・」店主のおじさんは、思いもよらぬ作者本人の出現に、自ら掲げた名札を素早く引っ込めながら平謝りだったとか。

「へェ~!それって贋作だったのか!」

<やまのぼ>は、やっとカミさんの「あなたも一流!」の意味がのみこめたのだ。

その絵の隅には、ご丁寧に義妹のそれに似せたサインまで描きこまれていたらしい。

義妹は確かに、かなりのメジャータイトルを何度か受賞し、地方紙とはいえ何度かインタビュー記事まで載った、あの地区ではちょっとした名士なのだ。

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