【超短編小説】遠(その2)#140字小説
明け放った窓から、遠くの花火の音がささやきかける。あれから五度目の夏が来た。遅れそうだと、花火会場へ急ぐ妻と幼子は、ドライバーの無謀な運転の犠牲になった。遺品だと渡された、真新しくて小さなピンクのズック靴は、私の両手の中で泣いていた。「ママ!痛いよ!」と、今年も私の胸を掻き毟る。
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明け放った窓から、遠くの花火の音がささやきかける。あれから五度目の夏が来た。遅れそうだと、花火会場へ急ぐ妻と幼子は、ドライバーの無謀な運転の犠牲になった。遺品だと渡された、真新しくて小さなピンクのズック靴は、私の両手の中で泣いていた。「ママ!痛いよ!」と、今年も私の胸を掻き毟る。
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