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【やまのぼ エッセイ No.11】オイル交換で、老いるを交換する!?

 昨日の夕刻のことだ。

 行きつけのガソリンスタンドで、営業車のエンジンオイル交換をしてもらおうと立ち寄った。

 交換目安は、走行距離5,000Kごとと決めていて、先々週予定していたのだが、いつも待ち時間が長そうで、日延べしていたのだ。

 そのとき、スタンドマンから、「お客さん!今月中なら作業工賃はいただきませんから・・・」と言われ、スタンドを後にしていたので、そろそろ交換してもらおうかと思ったからだ。

 ところが、昨日対応に出た若い販売員は、開口一番変なことを言った。

「お客さん!今月初めもオイル交換しませんでしたか?」「・・・」無言でいる私に、「お車二台お持ちなんですか?」三十前後の男性は、無言の私に不満そうである。

「いえね~同じ車種で同じ色の車の交換をしたので・・・」販売員は、だんだん小声になった。

 私はおかしなことを言う人だと思いながら、言われるがままに、作業内容確認書に名前と住所と電話番号を書き込んだ。

「いつもの通りでお願いします。前回フィルターは交換したから、オイル交換だけでいいや!」「はい!ドアに貼ってあるので・・・わかります」と応えて、交換作業代の欄に500円とサラッと書いた。

「アレ!この間の人は、三月中なら工賃をサービスするって・・・」私が言い終わるのを待てずに、その販売員は、「ネット予約のお客さんには、工賃をサービス・・・」

 私は、緩く緩く吠えた!

「なに言ってんだ!今月中は・・・」「いえ!それはネット予約の・・・」「ネット予約なんて?一言も聞いていない!」

 私は、少しキツク吠えた!

 すると、その販売員は、「それでは・・・」と、口の中でモゴモゴいいながら、工賃欄を訂正した。

「スンナリと訂正するぐらいなら、最初から請求するな!

 私は、大きく吠えてしまった。たった500円なのに!

 でも金額ではない!

 彼は最近、新しく配属されたようだが、私は10年来の常連客だ、ガソリン補給はもちろん!洗車だって!エンジンオイル交換だって!ヨソでお願いしたことなど一度もない。

 さらには、ここ三年間、毎年暮れには、あの高価なKeePerコーティングを依頼している客なのだゾォ~。

「では、交換お願いします!」と、気を取り戻した私は、その若者にキーを手渡しながら思った。

 いつも、よく見かける、どこかのカウンターで、吠えている老人を忌み嫌っていることを、思い出し一人で赤面し苦笑した!

「山尾さ~~~ん!交換終わりました!」

 15分ほどしただろうか?自販機で買ったコーヒー缶を飲み干していたら、名前を呼ばれた。

「早かったね~」と、私が柔和な顔で言うと、「平日のこの時間帯に来てもらえると・・・ウレシイです!」その若者も上機嫌だった。

 五千なにがしかの代金を支払って外へ出る。

 見送りに出てきたその若者は、「お客さん!そろそろタイヤ交換時期ですね~!来月からテンパーセントは、値上げになりますから・・・今月中に」「そうだな~見積はもらってんだよ!」「そうですか?」

「コミコミで四万四千円ってね・・・」「それは安い!」「ダンロップの〇〇〇だけど・・・」「そうでしょ!ね~このタイヤも、それと同じほど安いですからね・・・」販売員が微かに笑ったような気がした。

 私は彼を心で睨みつけながら、鉄仮面でいた。

 帰り道、ハンドルを握りしめながら思っていた。彼は彼なりに、私に仕返しをしたつもりなんだろうかと。

 でも、それは私の老いたヒネクレ感情だ!と思い直した。

 オイル交換をしていただいて、老いるを交換していただいた!と、感謝している次第だ!

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