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日本の昔の住まいが持っていた思いやりが、旅館へ良い影響をあたえ、現代では外国人を魅了するようになった

お・も・て・な・し という言葉、流行りましたね。インバウンドが復活した後も使われることでしょう。ザ・ニュースペーパーという政治社会風刺のコントグループがいますが、小泉純一郎元総理大臣に扮したメンバーの1人(YouTubeで探してみてください。この人のは面白い)が、「お・も・て・な・し、思ってないし!」という捻りを加えて会場をどっと沸かせていました。だからという訳ではないのですが、おもてなしという言葉を気軽に使ってしまうと、今や軽い感じがするので私はセミナーで思いやりという言葉を使っています。

さて、古民家の調査と再築(川上幸生著)によると、江戸時代後期の屋敷では、客人を招き入れる表座敷は、玄関から2間先の南側の庭を眺められる最も良い場所に設けられました。女性や子供は玄関の使用はできず土間や、台所に設けた勝手口から出入りしたそうです。

現代では一家団欒の場としてリビング・ダイニング、そしてキッチンが一体となっている間取りが一般的ですが、これは西洋の就寝分離の発想から来ているとのこと。アイランド型キッチンという洒落たのもありますね。水回りが主役なのです。
一方で江戸時代の屋敷では水回りはわき役であり、北側に竈(かまど)に配置されていました。ちなみに妻という言葉の語源は、建物の端を意味します。女性はいつも建物の端にいたために妻というようになったと言われるそうです。
伝統構法で作られた木造住宅は、夏の涼しさや免震構造など良い点もあれば、現代のライフスタイルにそぐわない点もある。

都心から離れて郊外や地方を歩いていて古民家を見ると懐かしい感じがします。その古民家の中で、100年以上経っているものは江戸時代後期の屋敷の間取りがそのまま残されていますね。屋敷は客人をもてなすことが主眼にあったことがその間取りからも読み取れるわけです。私は当時の宿場町に立ち並んでいた小さな旅館もその流れを汲んでいると考えます。

日本の思いやりの原点は旅館にあり。旅館の歴史をゆっくり紐解いてみたいと思っています。旅館に成り立ちについてはまた追々書きたいと思います。

古民家の定義は、築50年以上で木造軸組工法の伝統構法または在来構法で建てられた建物のことを指します。

伝統構法のメリット
・夏に涼しさを確保
・免震的構造
・地産地消の循環型建築
・四季の移ろいを感じられる
・人がやさしく感じられる自然素材を使用
・コミュニケーションを重視する

やはりなんとなく木造旅館が持っている特長と共通するものが多いですね。古民家と木造旅館、知れば知るほど面白いです。
日本の昔の住まいが持っていた思いやり。これが旅館が提供するサービスに良い影響を与え、今や外国人まで魅了するようになったのは過言でもない気がします。

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