本について

自分は本が好きである。

それは読書が好きということでもあり、本そのもの、いわば物体・物質としての本が好きということでもある。

本の良し悪しはたいてい、中身によって判断される。文章の巧拙やら、物語の面白さやら、その辺りが重要なんだろう。

ただ、その「本の良し悪し」の判断基準はそれだけではないと自分は思う。

紙の本には紙の本の良さがある。重さ、感触、におい……どれも本の良し悪しを左右する重要な要素である。

そんなわけで、自分は電子書籍よりも圧倒的に紙の本が好きである。そのせいで、部屋はぎゅうぎゅうだ。本屋に行けば毎回10冊の本を買ってしまうし、中身も見ずに見た目や重み、においだけで判断して買ってしまうこともある。

おかげで、自分の部屋は本という物体・物質に囲まれたある種のユートピアになっている。中島敦の「文字禍」を読んでから見渡せば、ある意味ディストピアかもしれない。本棚が何かの理由によって揺らぎ、本たちが落ちてきて、寝ている自分――電子化の波に乗っていこうとしない時代錯誤ともいえる自分を押しつぶさないことを願う毎日である。

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