痛いと言っているのに

術後の様子を見に母の病院へ行った。

会って早々ものすごい剣幕で今朝の看護師の対応を非難をし始めた。傷口を掴んだり、痛いと言っているのに乱暴に寝返りをさせようとすると。痛すぎて看護師の手を払ってもう触らないでと言ったそうだ。

傷口を掴むのはかなりナンセンスだが、乱暴にするというのは少し違うように思っている。昨日、手術の前に足の位置を変えて欲しいと言われてそっと動かしたのだが、あんたも乱暴ねと言われた。

ゆっくりと動かしたつもりだったけれど、私でさえも乱暴と言われるのだったら看護師さんの動作なんてさらにさっさとやろうとするだろうから暴力極まりないだろう。

難しい、接し方が本当に難しい。でも、その怒りを押しつぶしてしまうのは母の心理的ストレスを蓄積してしまうため、看護師さんに母の言い分を伝えに言った。やらなければいけないことがあるのはわかります。でも、手術後のため、せめて傷口を掴んで体を動かさないで欲しいと。

その後、実際に担当した看護師さんが来てくれて嫌な思いをさせてしまってごめんなさいと言いに来てくれた。ちょっとビックリした。そうなんだ、わざわざ言いに来てくれるのか、と。

母も分かっているそうだ、看護師さんたちは皆忙しいからあれこれやらなければいけないことと。でも本当に痛いんだと。

この問題、ほんと難しい。痛がっているけれどやらなければいけない看護師さんと、痛いからそっとやって欲しい母。でもゆっくりやっていたらでかい体を動かすなんてできやしないから勢い良くやる必要があり、結果的に乱暴的な扱いに捉えられ、母は拒絶する。

痛いのは母もわかっているから、痛がっているときはせめて優しい言葉をかけてもらえないのだろうか。「痛いの当たり前」とか「仕方ないとか」「我慢して」と強めの言葉を使わないでいただけないのだろうか。それだけで随分違うのに、といろいろなところから聞こえてくる看護師さんの言葉にそんなことを思った。

全ての人ではないんだけれど、口調がキツめの人に当たると最悪だなと私でも思う。

しかも、さっき母から、弾性ストッキングが痛いから外しに来てくれと電話があった。「深部静脈血栓症予防」のためにふくらはぎを圧迫しむくみを防ぐもので、それが痛くて痛くて、看護師さんに言っても外してくれないから今から来てほしいという。

ビックリした。
母はこんなこと言う人ではない。それほどに痛いんだ。でも、行くことを少し戸惑っていた。そしたら、来たくないならいいよもうと言い始める。

いやそうじゃない、行きたくないんじゃなくて、看護師さんがそこまでして止めさせないことを素人の私が止めさせて良いのか、すぐにわからなかったからだ。電話中にもう一度ナースコールをしてもらって（何度呼んでも来てくれないとさっき言っていたけど）、看護師さんに来てもらって弾性ストッキングを少し下げてもらい痛みも少し和らいだそうだ。

しばらくして、もう一度電話したらさっきより落ち着いていた。明日早めに行くからと言って電話を切った。

はぁ、、、「深部静脈血栓症予防」は理解できるけれど、痛くて眠れないと言っているほどに痛がっているのそこまでやるべきなのか疑問だ。

「痛い」ときの処置において、専門家と素人の差がありすぎて何が良いことなのかわからなすぎる。

2週間もこんなのが続くのかと思うと、早く家に連れて帰りたい。