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僕は「詩人」ではないからこそ。

ライフスタイル情報誌『BRUTUS』の動画を観た。

言葉をテーマにした特集「一行だけで。」に惹かれて、いつものサブスクで誌面も見ていたけれども、この動画も味わい深いものだった。お酒を飲みながら話していることや、動画自体の色味やトーン、何より3人が醸し出すグルーヴがとても心地よく感じられる。

印象的だったのは、冒頭の自己紹介である。個人的に初見だった黒川隆介さんが、自身の職業を「詩人です」と話したのだ。

まず詩人というものが、いったい何かわからない。「中華料理つくってます」「アパレル店員やってます」と言われれば、なんとなくその仕事中の姿やビジネスモデルなんかの想像はつくものの、はて「詩人です」と言われたらどうだろう。詩を価値にして生きているのだろうか。となると読まれるための努力も必要で、今回の動画出演もその一環なのだろうか。さまざまな憶測が、僕の頭の中を飛び交っていく。

というのも、僕もこうしてエッセイを毎日綴るものとして、「たたずむこと」を大切にしているからだ。この世の中に、なるべくありのままで在ること。誰かに対して媚を売るわけでもなく、大きく見せるわけでもなく、等身大でいること。僕は日々の生活の中で、発見を得たり思考を深めたりしている。

すなわち自分が詩人ではないからこそ、詩というかエッセイを書けているような感覚なのだろう。今回あくまで詩人の実態は想像に過ぎないのだけれども、それはなんだか勇ましい生き方に感じた。えいやと意気込み、彼は書いているのだ。決して今の僕にはできないこと、そしてできなくてもいいこと。詩人ではない道で、粛々と文字を紡いでいたいと思う。

いつもいつもありがとうございます〜。