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コミュニケーションの体系化。

2009年に設立された地域おこし協力隊は、知らぬ間に誕生から丸15年を数えようとしている。それなりの歴史を重ねた制度であり、徐々に世間へ広まりつつもあり、令和5年度時点の隊員数は7200人だという。

それだけの隊員がいれば、当然さまざまなデータが集まる。基本的に最長3年といわれる任期を満了した後の“進路”、そのひとつが変わらず地域に居続ける定住率、あるいは自ら起業する割合。またネットで出回るのは大概わるいニュースだなあと寂しい感覚も僕にはあって、すなわち地域に馴染み、そして自分独自の活動も進めながら事業や雇用を生み出す「好事例」が生まれていることも確かである。

となれば、その好事例を体系化して伝えようとする人も現れる。どのように地域に入り、自分の活動を打ち出していくべきか、アドバイスするような役割だ。行政として民間に委託するような動きもあり、それだけ需要があるのだろう。

ただ、正直その動きを懐疑的に思う自分がいる。いや、たしかに効果的なコミュニケーションは、より良いとされる伝え方や伝えるべき順番は、ある。それ以前に良好な関係性が築けていると、なお良いだろう。それでも、それをたとえば教科書やマニュアルのように一律で表現し教え込むような、それこそそんなコミュニケーションのあり方が甚だ疑問である。隊員の個性や主体性は、どこへ行くのだろうと不安になる。

失敗すらもその人の活動だと、その人の人生だと思っている。アドバイスするような人は“転ばぬ先の杖”を用意して、長く地域で生活するためのアシストを担っているのかもしれないが、僕は転んでしまってもいいと考えるわけだ。何かトラブルを起こしてこその協力隊、とは言い過ぎだが、個性や思いを持って地域にやってくるからこそ、衝突は起きる。ある意味、健全な作用である。そうか僕は、体系化や一元化によって個性が損なわれる可能性を、危惧しているのだろう。

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