見出し画像

地域に居続けられる仕組みを。

久しぶりに連絡した地域おこし協力隊の仲間が、任期満了を待たずに退任していたようだ。彼と僕はそれぞれ違う自治体で活動していたが着任時期が同じ“同期”で、研修やイベントで顔合わせることが少なくなかっただけに、寂しく感じられもする。

ずっと模索していたという起業の可能性に見切りをつけ、今は奥さんと日本各地を旅しながら次の定住先を見定めているという。起業を断念したのは「マネタイズがむずかしかったから」とのことで、そりゃあ自身の生活費を確保できなければ、新天地を求めて当然ではあるだろう。

ふと、いったい何が大切なのだろうと考える。

地域おこし協力隊の最たる目的は、おもに若者が都会から地方へ移住し、そして定住すること。協力隊事業を担う行政を主語にすれば、3年という限られた時間の中で事業を起こして、税収や雇用を生み出すことが理想的だろう。ただ、それは決して簡単ではなく、起業する隊員の割合はおよそ2割といわれている。

とはいえ、起業はあくまで豊かな人生を送る手段のひとつに過ぎない。地域を主語にして考えてみれば、きっと任期を満了しても、変わらずそこに居てくれることが何よりだと思える。離れて暮らしても地域貢献してくれる人はいるものの、物理的な距離は精神的な乖離を生み出し、具体的な活動を遠ざける気がする。まあ、かなり個人的な感覚も含んだなあと、自覚もしている。

「離れて暮らしちゃおしまいよ」じゃないけれども、ひょっとしたら最も必要とされているのは、隊員が卒隊を迎えても、その地域に居続けられる仕組みではないだろうか。まちが委嘱するのか、民間に就職するのか、あるいは起業するのか。当然ながら、住民も含む地域の環境と隊員自身の相性を考慮する必要もあるだろう。もし僕が隊員をサポートする立場になれば、定住のための選択肢を探ることに注力したい。まずはその地域に居続けることで、活動や事業が広がる可能性が拓けるのではないかと思うからである。

いつもいつもありがとうございます〜。