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水彩で綴る 「船窓より」


「船窓より」  a.s.k

「船窓より」
新潟港からジェットフォイルに乗って、佐渡へ。
年に一度真夏に、でも今年は初めて春になりました。
島の影が遠くに見え始めるころ、晴れたおかげで水平線あたりが
白く光って、舳先の波も穏やかに、近くほど濃い青がうねる。
何とかこの瞬間を捉えたくて、
厚いガラスの窓ごしに懸命にレンズを向けて。
そんな一枚から、この絵を描きました。
写真よりももっと、海の深さに緊張するように。
空と海との間に島の影が見える安堵の気持ちが、
ほんの少し滲んでくるような。
 
春の佐渡は、新しい発見がたくさんありました。
いくつかの集落がそれぞれに行うちいさな祭り。
眺める足元の草が清々しい色の小花を咲かせていたり、
用水路の壁に濁り色の蛙が張り付いていたり。
あちこちで出くわす獅子の対になって踊るリズムが、
風の音や鳥の声に合わせているかのよう。
帰りに寄った湖は、周りの樹木や丘や家々にしんと溶け込んでいて、
なんとも静かな景色でした。