3章 太陽の下、栄冠は輝かない
三章
母さんの葬儀が終わってしばらく経っても、まだ我が家の周りのセミは忙しなく鳴いている。セミって案外、寿命が長いんだな。
「……少年野球の頃から、お前の一番のファンはおばさんだったよな」
大和は麦茶を飲みながら、そう言葉を零した。
机にコップを置くと、カランッと氷がコップに当たる音が響く。大和の視線の先には、仏間で親父の遺影の隣に増えたおふくろがいる。炊きたての線香の奥で、おふくろは良い笑顔を浮かべていた。
「ああ、一番のファンで、一番のアンチだった。俺がフォアボー