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奥只見シルバーラインの怖い話&衝動だけで旅をしたって話。只見編

衝動だけで旅するやつ、シリーズにしますわぁ。
ただただ、地図見てここの景色ってどうなってるんだろうって思って行く旅シリーズです。目的地はありません。走るだけです。

さて、私の以前の私の記事であまりに退屈すぎる奥只見について言及しました。

実は奥只見を楽しむのにはもう一つのルートがあり、どちらかといえばこっちの方が一般的です。地図を見るとかろうじてまだ何かしらあるのです。今回はそちらを訪れてみました。
相変わらず動機は「どんな景色なんだろう」です。
どんな景色だったんでしょう。
その前に何故だかこの夏ぴったりの背筋も凍る体験をしてきたので、ちょっと怖い話しますね。

初っ端山場を迎える〜恐怖と戦慄の奥只見シルバーライン〜

実行日は8月11日。っていうか今日。お盆の帰省ラッシュともあり、普段遅くとも朝6時までには家を出る私ですが、今回はそれすら遅すぎると見ました。

そこで草木も眠る深夜2時に家を出発。日の出くらいに新潟の小出ICを降り、午前中に福島を横断して、昼過ぎに栃木から帰ってくれば渋滞に巻き込まれずに済むという計画でした。

しかし、ふと一つの思いがよぎります。

「日の出くらいに小出にいるってことは、滝雲もワンチャンあるのでは?」

そう。あの記事で紹介した枝折峠の滝雲です。もっかい貼りましょっか。

時期的には秩父の雲海同様、夜と朝の温度差が激しい秋が見頃ではありますが、見れない可能性がないわけじゃない。天気予報的にはそんなに条件が悪いわけじゃない。
そして滝雲メインで行くわけではないのだから、仮に見れなかったとしても「ま、しょうがないか」で済ませる事ができる。
妥協案も見出しつつ、早速小出ICを目指しました。

まさか、奥只見シルバーラインが悪い意味でこの日の一番のメインになることなど、この時の私には知る由もなかったのです…

小出ICが近づくにつれ、周囲の状況から心配な点が2点出てきます。

1つは夜が明けきってしまうということ。
雲海は日が昇るか昇らないかの瞬間がベストタイムです。日が昇りきってしまうと、太陽の温度で雲は蒸発し、バラけてしまいます。
小出ICを降りた時点で周囲はすでに明るく、太陽こそないものの、日の出まで猶予はありません。

2つ目はそもそも晴れてないということ。
東北には台風5号が迫り、少なくとも群馬は快晴だったのですが、谷川岳を挟んで新潟側に青い空は望めませんでした。
晴れてなきゃ雲海は見れません。まぁ、山の上だから確率が0ってわけじゃないですけどね。
実際魚沼市の空は曇天ですが、低い雲もまた尾根伝いに纏わりついていました。

しかし、この2つの理由が私を枝折峠ではなく、奥只見シルバーラインに導いたのです。

その前にちょっと地理関係を説明します。
枝折峠へは2つのアプローチがあります。
一つは小出ICから国道352号を進みそのまま枝折峠に向かう道。
もう一つは国道352号→奥只見シルバーライン→洞内分岐で銀山平→枝折峠というルートです。
後者は枝折峠から下った先まで行って小出方面へ引き返す感じです。なんだか遠回りに思えますが、実は後者の方が峠までの上りが少ないので早いんです。

普段の私であれば、峠の方がスリリングで楽しい道だし、引き返すのが嫌いなので前者を取りますが、前述したように時間の猶予がないので素直に後者のルートを選択しました。

…それが全ての間違いだったのです。

奥只見シルバーラインは今回で三度目。
あの記事で熱心に魅力を語っていましたが、今更新しい感動はありません。あっ、もう一度貼っておきますね。

なのでとりあえず銀山平に向けてアクセル踏みます。いざ、入り口であるシルバーラインの料金所跡地へ。

ピピッ

ん?

私の愛車にはセンサーで標識を認識し、速度制限や侵入禁止をモニターで知らせてくれる機能があります。
特に侵入禁止の際はピピッと音が鳴って侵入禁止を知らせてくれるのです。

しかしいくら冬季通行止め期間が長いシルバーラインでも8月は流石に解放されていますし、現に通れます。
一応料金所跡地には歩行者や二輪車の通行を禁止する標識があったのでそれを誤認したのだと思い、アクセルを踏みます。

今思えば、最初の警告でした。

スノーシェッドをいくつか越え、短めのトンネルが連続する区間に入ります。

ピピッ

あれ、また侵入禁止出てる…

トンネルないにはいくつか信号機などを知らせる標識がありますが、誤認する形や色ではありません。

ピピッ

…んん?

こうした誤作動は珍しい現象ではありませんが、大抵一回の誤認で済みます。

しかし…

ピピッ

連続するのです。目の前に標識すらありません。長く暗いトンネルだけが続きます。前回、前々回には起こらなかった現象です。
今回、私の隣には母が同乗していました。
母はいわゆる「感じる人・視える人」であり、私は冗談まじりに「なんか、入ってくるなって言ってるみたいだね」と言いました。

「でもさぁ…実際、さっきからトンネルの中、息苦しいんだよね」

そう一言呟くと、続けて「こんな感じに潰される感じ」と私の胸椎を押しました。

実はこの前にも母とシルバーラインを訪れていて、その際は「横から顔が浮かび上がってくる」と言っていました。
まぁ、その、出る場所みたいです。
トンネルだし、仕方ないよね。

しかし今回はちょっと様子が違いました。

ピピッ…ピピッ…ピピッ…

相変わらずひっきりなしに車は虚空に侵入禁止を捉えます。
それはまるで

入ってくるな入ってくるな入ってくるな入ってくるな入ってくるな入ってくるな入ってくるな

と何者かに侵入を拒まれているようでした。

そうこうしているうちに、母は胸椎を抑え
「ふーっ…ふーっ…」
と息苦しそうに呼吸をし始めました。

例えばあの有名な心霊スポット、吹上トンネルはたかだか600メートルの長さです。何か霊障が起きてもトンネルさえ抜ければ大概終わりなのですから、一瞬のことで済みます。

しかしここシルバーラインは2キロ近い長さのトンネルが連続します。そしてそのトンネルの何処を走ろうと

ピピッ…ピピッ…ピピッ…
「ふーっ…ふーっ…」

怪現象は終わらないのです。まるでシルバーライン全体が私たちの通行を拒んでいるかのようでした。

いよいよ私も説明のつかない、現時点で起こっている事実に背筋が凍りつき、恐怖感が増していきます。
そして、それと同時に図らずも増していくものが…

それは高揚感でした。

「ごめん!今、めっちゃ楽しい!」

私は以前、有名な心霊スポットでもある神流湖を通過中に、何度再生しても車内オーディオが止められるという分かりやすい霊障に遭いましたが、こんな感じでした。心霊モノは好きでも「視えない・感じない」人間なので恐怖半分楽しさ半分でした。色んな意味でテンションマックスです。
あっ、神流湖付近の道路事情について言及した記事がありましたよね。貼っときます。

しかし、本当に霊障が終わらない。洞内には霧が立ち込め、すっかり素掘りの様相を呈し、こうなるともう、観光地ではなく心霊スポットそのものです。

ようやく明神トンネルの道内分岐に入り、すっかり夜の明けた奥只見の自然が目に入りました。

ピピッ…

それを最後にその日一日、愛車が虚空に侵入禁止を捉えることはありませんでした。山の中という都合上、幾度もトンネルは通過したんですけどねぇ…
不思議なことって、あるんですね…(稲川淳二)


今考えると、たぶん時間がいけなかったんだと思います。いや、もう朝なんですけど。
とにかくシルバーラインに夜が明ける前に行くのは推奨しないです。何かしらの霊障に遭いたいなら是非お気をつけてどうぞ。

さ、こっからは普通の旅行期に戻りますよ。


いよいよ枝折峠へ…滝雲は見れるのか…!?(もう山場無いからスキだけ押して帰ってください)

母の息苦しさもトンネルを後にすればすっかり元どおり。曰く「左右からの圧迫と胸の圧迫でめっちゃキツかった」そうです。

銀山平から枝折峠へ。そう言えばこの記事で枝折峠から銀山平の間にあるスノーシェッドがかっこいいとか言いつつ、写真載っけてなかったですよね。

天丼は3回まで。そんなこと知りません。
とにかく今回はその神々しいお姿をご覧に入れましょう。

色・フォルム・長さ、全てにおいて完璧だ!

かーっくいい!緑の中に赤があるからかっこいい。まるで山の中の神社の鳥居です。神のスノーシェッドです。

さて枝折峠に着くと、既に10台近い車が止まっていました。これで車が無かったらもう完璧見えないってことなのでたぶん出てるんでしょう。出てました。いや、出てるのかこれ…

コップからちょっと漏れかけた水みたいな滝雲

うーん…惜しい!
本来なら右手の雲がブワーッと左の山に流れ落ちるんでしょう。
まぁ、下手したら滝雲も何も見えなかったって事も充分有り得たのでこれで良しってことにします。

枝折峠の道幅はこんな感じ。高いぞ狭いぞ気をつけろ

いざ、新規開拓。六十里越へ!

さぁ、メインの只見ルートに向けて出発!
只見ルートは六十里越と呼ばれる峠を越えるルートです。国道252号がこれに当たります。
六十里の由来は六里(24キロくらい)が10倍の長さに思えるほどの険しい峠だという由来があります。
ちなみに六十里越の北には八十里越があります。
この辺りの自然厳しすぎだろ。

そんな六十里越の入り口がこちら

やっぱこれだねー真っ赤なシェッド(トッポの歌風に)

ワクワクしてきました。流石豪雪の只見。スノーシェッドの宝庫です。覆道好きには堪りません。

ちなみに空模様ですが雨に降られてます。ええ。新潟は雨でしたよ。

そんな六十里越えですが、景色は奥只見にそっくりです。そりゃ近いからそうなんだろうけど、嫌なトラウマが蘇ります。

しかし!六十里越えと虚無只見(勝手に命名)には大きな違いがあるんです!
それがこちら!

じ…人工建造物ー!

六十里越えは只見線と一緒!それなりに並走してくれます!まぁ、電車は本数無いので見れたらラッキーです。見れませんでした。

水墨画の様相を呈してきた

さて虚無只見とは違って峠に抜けるのは早いです。
六十里越峠を超えていざ福島県側へ。

絶景の田子倉湖

スノーシェッドからチラチラ見えるこの絶景。福島県は雨が降っていませんでした。

これ足で越えるとか昔の人おかしくない…?

この絶景からぐわーっと下ります。
いつまでも続きません。どこの道路ですか?入り組んだ湖沿いにひたすら道路張り巡らしてるの。

只見線も合流。どこ走ってたの君。

そして空には夏の青が。
ちなみにちょっとでも車止めるとすごいハエとかハチっぽい虫が集って来ます。トンボさん仕事してください。まだ奴らこんなに残ってますよ。一匹残らず食ってくださいよ。

只見湖。奥只見湖と比べたら水溜りみたいなもんです(失礼)

峠を下り切ると、ご褒美みたいな夏の絶景です。っていうかご褒美です。

めーっちゃ綺麗な只見湖
山に抱かれている感じ。

さぁ、252号もそろそろお終い。起点は会津若松ですが、このクソ混む時期に行くかそんなとこ!っていうかこないだ行ったわ!めっちゃ良かった!

ので、ここからは289号線で南会津から栃木を目指します。只見町の田園風景を突っ走れ。

あー…いい。最高。

さて、山に抱かれ、コンビニもデイリーヤマザキくらいしかない田舎っぷりの只見町ですが、お家は比較的新しく綺麗なものが多い上、公園や公共施設などはめちゃくちゃ綺麗です。移住者とか多かったのかな。

やっぱ住むならこういう自然豊かな場所だなぁ。
あっ、ここめちゃくちゃ雪降るんだっけ。
じゃ、いいや。

そして南会津へ。そろそろ栃木も見えてきた。
南会津は実はトマトの名産地。特産ブランドの南郷トマトはこれからが旬です。
一応一般のトマトはもう旬のものが出回ってますが、南郷トマトはこれから甘く美味しくなるって道の駅のおじさんが言ってました。
道沿いにはトマトのビニールハウスがいっぱい。
私トマト大好きなんですよ!…加熱したやつならね。

奥の…白い…分かります?それです。それがビニールハウス

夏の田園風景を一通り堪能したら、再び深山を栃木に向けて出発。まだお昼前です。
ここまで渋滞一切無し。帰りもそうでありたい。

道の駅。さぁ、関東へ帰ろう。

そしてお盆の日光の渋滞をどうにか自らのセンスで切り抜け(山王峠→霧降高原→宇都宮方面へ下り東北道へ)(いろは坂と東照宮は絶対に避ける)帰省ラッシュの下り線を横目に上り今に至ります。

渋滞完全回避!

地味にこれ、私の旅のノルマなんです。
いかに渋滞を避けることが出来たか。これが大事。
そのために良さげなルートは常に頭にインプットされてます。仮にそちらがかえって遠回りになるのだとしても、渋滞よりマシです。私は私の道を往く。

今回の六十里越はおススメできるルートです。
私がおススメしなくても既にツーリングのメッカですけど。少なくとも虚無只見よりおススメできます。

道の高低差、それに伴う絶景、シェッド、開放感のあるのんびりとした田園風景…何より豪雪地帯の人の暮らしが垣間見えること。

なんか初っ端からエラい目に遭いましたが、ともかく良い景色が見れました。
お盆はわざわざ混むとこ行かないで、こういうとこ行ったら良いんじゃない?って話です。

あと、なんか塔のへつりとか行きましたよ

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