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東名阪でコンペを振り返る

最近は毎週神戸へ仕事で移動している。今も移動中。
ポジティブな案件ではなく、なかなか解決しないトラブルをシューティングしに行っている。

東京からの移動方法が飛行機・新幹線を経て、今回は車になった。
2年前まで走り屋をやっていたという先輩の運転のもと、神戸へ向かっている。深夜の首都高速が広くて・綺麗で・気持ちいいことを初めて知った夜。

とはいえ、神戸までは早くても6時間かかる。
先輩が運転している手前、寝ようとも思えないのでこうしてnoteを書くことにした(PCを触って起きてる分にはOK?)。
流れるライトを眺めながら何を書こうかと考える。

「これまで出してきたコンペについて書くのはどうだろう。」
脳内で1人が言い出した。採用。
結果から言うと、これまで出したコンペで残ったことはない。残らないと言うことはコメントもないということ。コメントがなければ、どこが良くてどこが悪いのかすらわからないということ。
成仏させてやれない感情だけが溜まっていた。

先日結果発表のあった宣伝会議賞への応募を振り返ってみる。
もし今回目を通してくれる人がいるならば、どんなコメントでもぼくは飛んで喜びます。
屈託のないご意見を…

そもそも宣伝会議賞とは?改めて調べてみた。

宣伝会議賞は、広告表現のアイデアをキャッチフレーズまたはCM企画という形で応募いただく公募広告賞です。

HPより引用

特に広告業界に勤めた経験のないぼくですが
「クリエイティブの世界は年齢関係なく面白いやつが勝つ」という言葉を胸に一旦応募してみたのでした。応募し始めた時はインド出張をしていたり…かれこれ半年近く前のことなんだと思うと面白い。
いかに貼り付けたのが当初の想いを書いた記事。
今回は自分なりに「気持ちよく書けたな!」というコピーをピックアップして見返してみる。

塚田農園

課題:
塚田農場が「ちょっと高いけどおいしい居酒屋」と改めて認知してもらうアイデア

人+【  】+人=おいしさ
空欄に入る居酒屋を教えてください。

あれ…今見返してみると、コピーが課題に対して合ってない気がする。
このコピーを見て「高いけど入ろう!」となる人はいないんじゃないか?と自問自答。

塚田農場のおいしさの秘訣を調べた時に出てきたのが、生産者と消費者をダイレクトにつなぐ「生販直結モデル」
そのビジネスモデルが、塚田農場のおいしさの理由であり、魅力であることを知ってもらいたい。という想いで書いたコピーだった。
キャッチコピーだとした時には「???」で終わるかもしれないコピーだけれど、ボディーコピーでビジネスモデルの話を補足したら使えない…?使えないか…

Tetra Tokyo

課題:
Tetra-X.aiにギグワーカーとして登録したくなるようなアイデア

「AI」は「I」より出でて、「I」より___。
見届けるのはあなたです。

個人的にはすっごい気に入ってたけれど、今見返してみると分かりづらいのだろうか。
Tetra-X.aiはコピーライティングを始めとして、クリエイティブ分野にAIを導入して面白くしていこうという会社。これからのAIがどうなっていくのかが気になる人、そんな人にこのコミュニティを見つけて・入って欲しいと言う想いで書いたコピー。

青は藍より出でて藍より青し。
と言う古語をベースにした上で、私たちから出たAIが私たちを超えちゃってるのかな?を考え直すきっかけにもなればと思っていた。
ただ、今思い返してみれば、自分がSiriやアレクサの目線になって言葉を残してみるって手法もあったのかなぁと。

サントリー

課題:
「C.C.Lemon」を魅力的にみせるアイデア

どの席にすわってる?

その人は クラスで1番頭がいい。
その人は レギュラー争いのライバル。
その人は いつもシニカルに笑いをさそう。
その人は めちゃくちゃ漫画にくわしい。
その人は とっても肌がキレイ。
その人は 笑顔が素敵。

自販機というクラスの中で、だれかの「好き」にC.C.Lemonがなっていく。

『今回のお題では、青春ド真ん中を過ごしている高校生をターゲットにします。』とサントリーがポイントとして書いていた。
男子校出身のぼくが青春ど真ん中の恋愛事情をノンフィクションで描くことはまだ難しかった。ただ、高校時代に自販機の前でたむろして・男気じゃんけんをしたりしたのを思い出した。

飲み物からしてみたら、自販機って一つのクラスルームだよな。と思ったのがこのコピーの構想のはじまり。
後は、その時に読んでいた名作コピー選の本で感動したロングコピーに刺激を受け、宣伝会議賞には求められているのかはわからないけれど長めに書いてみた次第だ。個人的には好き。

ただ、全て読ませないと「C.C Lemon」魅力的だなぁ!と思わなかったり、読んだとしても購買意欲につながらなさそうだからダメだったのかな。
最後まで選出された方のコピーはまだみれていないのでどんな言葉があるのかをみてみようと思った。

大塚製薬工場

課題:
脱水症状を身近に感じてもらうアイデア

おじいさんは山へしば刈りに、
おばあさんは川へ洗たくに、
行ったきりでした。

少しだけダークなユーモアを使ってみたかった。
少し古いデータになるけれど、熱中症での死傷者数が令和2年は1,528人で、65歳以上が1,316人と86.1%を占めた。ほとんど高齢者。
併発するケースの多い脱水症と熱中症。
お年寄りの発症者がこれ以上増えないようにと願いをコピーに込めた。

小さい子にも馴染みのある桃太郎からフレーズを引用、仮にどちらかが脱水症状で倒れていたら桃太郎は拾われていなかったかもしれない世界線がぼくの中では浮かんでいた。
それに、小さい子が読んだ時に少しの「?」が残るコピーにすることで、一緒にいる両親や祖父母へそのままどういうことか?を聞いている姿もぼくの中では想像できた。

ぼくのコピーは選ばれなかったけれど、自分の身近な人をはじめに今年の脱水症状者が少なくなってほしいな。

どうして地球と私は
同じくらいの水でできているんだろう。

脱水症状を考える上でこんなコピーも考えてみていた。
いま見返してみるとぼんやりとしていて、芯を喰っていない気がした。

私たち人間の体の水分含有量は約70%(年齢によって差異がありますが)
地球表面を覆う水分の量も約70%。一緒だ。

地球の水分量が2%〜5%でも減ったら。
そうしたら水源や食料が確保できなくなる可能性があるらしい。そう考えると、かみさまが地球と私は同じくらいの水で作ったのは、それぞれの問題ではなく、一つの問題として考えられるようにするためだったのかも知れないな。
そう考えてのコピーだった。
コピーとして良いかはわからないけれど、地球と人の水分量が近いことには何か意味がありそうだからまた考えてみたい。

GENDA GiGO Entertainment

課題:
普段あまりゲームセンターを使っていない人にGiGO(ギーゴ)に興味を持ってもらえるアイデア

わざわざ遊ぶのにはわけがある。

PC, Switch, PS5を筆頭にした家庭用ゲーム機やスマホゲームが台頭している。それは音楽で例えるならサブスクサービスに近いと思った。
プロダクトへの距離が近く、便利になったということ。

ただ、その中でもレコードやMDは人気があり、コレクターがいるほど。
どうしてだろう。肌感覚で空気・声・音などの数字には表せない「熱気」を感じて、体験が心に刻まれるから。
「わざわざ」することでしか得られない「何か」があるんじゃないかと常々思っていた。

それはゲームセンターのもつ体験にも重なり、より強く表立つ。
プライズゲーム、ビデオゲーム、音楽ゲーム。そこにあるのは生の「熱気」
年齢・人種・性別は意味を持たない。
その体験には絶対であり、平等だ。
そう考えた時に出てきたコピーだった。

これも選考には残らなかったけれど、どうして昨今アナログな文化が台頭しているのかを考えれるいい時間になった。
デジタルへのカウンターカルチャー的なものなのかも知れないけれど、どうして「わざわざ」するのか。これについてもまた考えてみたい。


以上が応募したものの中で「気持ちよく書けた!」と思えるものたち。
ぼくの力不足で日の目を見る機会はなかった、すまん。

こうして振り返ってみてわかったことがある。
自分で5, 6個振り返るだけで意外と時間が必要だったこと。
審査員はこの何千・何万倍という数のコピーの中から「これいいな!」を決めていると言うこと。
そりゃ、一言でグッと引き込まれる世界をどれだけ作れているかが大事だと感じた。

小説のように文字数が多くなれば多くなるほど伝える言葉や文字の組み合わせが増えるので伝わりやすくなるのは当たり前で、だからこそ、少ない文字数で世界が広がる一言を掘り起こすことが求められていたのかも知れない。

ぼくのコピーは30万の応募の中で埋もれてしまったのだろう。
パパパパって処理する時にどうやって目に留まるのか?なのかも知れない

今年の残ったコピーたちをぼくはまだ見ていないが、振り返ったいま見てみたら良い意味で面食らうんだろうな。筆を置いて見にいこうと思った。

あとは書いた総数が35件と少ない。
ぼくには何百という数のコピーを頭と心の器を空っぽにしてまで生み出した経験がなかった。空っぽになったところから捻り出していく経験をしていなかった。
ちょっと妥協していた自分にも気づいてしまった。

妥協のラインをもっと高いところに置いて、めげずに生み出していこうと思った。面白い言葉をもっと見つけたい。

気づけば車は東名阪を走っている。
夜明けまではまだもう少しあるみたいだ。

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