独り言を言う人やぐるぐる歩き回る人がほぼ毎日来る図書館で思ったこと

 こんにちは。
 私は図書館で働いています。いつもご利用ありがとうございます。図書館は誰にも開放されている場所なので、いろんな人が来ます。
 本当にいろんな人が来ます。
 ソファに座って新聞を広げながら大声で独り言を言うおばあさん。
 図書館内を早足でぐるぐると歩き回って、そのまま出ていく青年。
 などなど、ちょっと変わった図書館の利用をしていく人々も訪れます。たくさん訪れます。そういう変わった利用をする利用者への対応はなかなか難しく、職員の頭を悩ませています。どうやって声をかけたらよいものか。声をかけて分かってもらえるのか。もし逆上をされたらどうすればよいのか。マニュアルのようなものはありません。
 当然、図書館には彼ら以外に他の利用者もいるわけで、大声の独り言や書架の間を早足で歩かれることはかなり迷惑です。もちろんクレームに発展します。図書館から追い出せとか、そもそも図書館に入れないようにしろとか、そういった意見もあって、直接言われることもあります。そうは言ってもやっぱり「仰せの通りに……」とはいかないんですよね。図書館利用規則としてもそうだし、図書館そのものの在り方としてもそうです。それにね、ストレスを感じているのは職員も同じです。誰だって職場で大声を出されたり、ぐるぐるぐるぐる歩き回ったりされるのはね、嫌ですよね。おっかないし、無視をしようとしても、声は聞こえるし、目にも入る。明らかにルールが守られていないというのは辛いです。
 そういうわけで、声をかけることにしました。
 追いだしたり、立ち入りを禁止するのはなんか違うような気がするし、かといってその場にいないものとして見ないふりで我慢するのもなんか違う。
 けっきょく、ほかの利用者と同じように図書館のルールの中で利用してもらうようにお願いするのがいいんじゃないかなと思うのです。
 独り言を言う人には「いかがいたしました?」
 歩き回る人には「ぶつかると危ないからゆっくり歩いてもらえますか」
 私の言葉は聞いてもらえることもあります。聞いてもらえないこともあります。「ごめんなさいね」と言って静かになる人もいれば、無視をされることもあります。しばらくしてまた独り言を言い始める人もいるし、立ちどまって「申し訳ありませんでした!」と思い切り頭を下げる人もいます。反応は様々です。私の声が届かず、さらに周りへの迷惑が大きくなってしまって、申し訳ないけれど警備員さんを呼ぶことになったこともあります。それでも、声をかけずにいたときよりはだいぶ気持ちが楽になりました。
 ああ、そうは言っても、私は勤勉でもなければ心根の優しい人間ではないので、前回のソファで寝ちゃう人への声かけと同じようにそのときの心のコンディションで声をかけに行けるときと行けないときがあるんですけれどね。お客さんに言われて「ですよねー」って顔をして「国が、国がなんとかしてくれー!」と思いながら声をかけにいくこともしばしばです。

 図書館にはいろんな人が来ます。
 先日のことですが、いつも高圧的に「駐車サービス券をくれ」と言ってくるオジサンの手が震えてるのを見たときハッとしました。だからってその人の職員に対するこれまでの態度が「しょうがない」になるわけでは決してないんですけどね。
 人を見下して馬鹿にするオジサンは、震える手で駐車券を受け取って不安そうな顔でこちらを見るオジサンでもある。
 本当にいろんな人が来ます。考えることが多いです。
 今日も一日、お疲れさまでした。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
のび

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